依存的敵意。姉に言い返せない62歳の女。構造が分れば憎しみは許しに変わる

(再びパーソナリティ)

加藤諦三:
もしもし?

相談者:
はい

加藤諦三:
あなた、あの、お姉さんとの関係以外にも、割と、臆病なところがある、ことないですか?

相談者:
臆病っていいますと?

加藤諦三:
なんか、信じられないんですよね?何にも。

相談者:
兄弟は・・

加藤諦三:
そうですね。

相談者:
姉は信じられないです。

加藤諦三:
信じられないですよね?

相談者:
はい

加藤諦三:
だから、どうしても警戒心が強い。

相談者:
そうです。
本音は言えないです。

加藤諦三:
本音は言えないですよね。

相談者:
小さいときから。

加藤諦三:
小さいときからね。
それでえ、お姉さんが、あなたに、非常にね、お嬢さんが、離婚したのに、
「あなたの娘だから離婚したのよ」
って言われたら、ま、辛いだろうと思います。

相談者:
はい

加藤諦三:
でえ、夫・・の話をしたところが、

相談者:
はい

加藤諦三:
まあ、下っ端だからって言われたら、やっぱり、傷つくと、思います。

相談者:
そうですねえ。
別な会社だから。

加藤諦三:
ねえ。

相談者:
はい、大きな会社だから分ります、◆△%&、はい。

加藤諦三:
それでえ、弟が決めたのに、あなたが決めたから、こうなったと。

相談者:
はい

加藤諦三:
割とお・・小さいころから、自分の責任でないことでも、あなたの責任に押し付けられて、それを黙って、いたっていう・・

相談者:
そうですね、なぜか言えないですよね。

加藤諦三:
なぜか言えないですよね。

相談者:
あ、はい

加藤諦三:
あの、それはあの、ずうっと小さい頃かから、本当の自分の意思とか、考え方とか、感情を、言うのが怖かったんでしょう?

相談者:
たぶん、そうだと思いますね・・うん

加藤諦三:
それで、その、今、話が出てきてないんだけれどもね、

相談者:
はい

相談者:
小さい頃怖かったのは、ほんとは、誰が怖かったの?
ほんとの自分のことを言う・・ことが怖い。

相談者:
怖かった・・の・・

加藤諦三:
自分のほんとの、思っていることとか、ほんとに感じたことって言えなかったわけですよね?

相談者:
うん・・どうしても、姉かしらね。

加藤諦三:
お姉さん?

相談者:
うん・・
なぜか、怖い、
なぜか、押し付けられるように・・

加藤諦三:
なぜか押し付けられる。
それでね、お姉さんは、誰が怖かったんだと思う?

相談者:
姉は親かしら・・あ、あたしかな。

加藤諦三:
いや、今、ちょっと言ったけど、そこ、あなたの、正解だね。
お姉さんがほんとに怖かったのは、親ですよ。

相談者:
親?

加藤諦三:
うん、お母さんか、お父さんか。

相談者:
母ですと思う。

加藤諦三:
お母さんが怖・・ほんとに怖かったね。

相談者:
はい

加藤諦三:
すと、お姉さんは、の気持ち考えると、どうなりますか?

相談者:
・・

加藤諦三:
お母さんが怖いと、お母さんとの会話、どんなに不満で、

相談者:
うーん

加藤諦三:
お母さん・・に言いたい事も言えなかったら、

相談者:
うん

加藤諦三:
その捌け口をどこに持ってくる?

相談者:
あたしですかあ?

加藤諦三:
そうです。

相談者:
確かに、お前はいい、って言われてました、姉は。
要領がいいって言ってた。
あたしのことをね。

加藤諦三:
うん。
つまり、お姉さんが、本当に非難したかったのは、あなたじゃなくて、母です。

相談者:
あ、性格そっくりです。
母もはっきりと、ズケズケいいます。
あたしのとこでも。

加藤諦三:
お姉さんがね、本当に、攻撃性を持ってたのは、あなたでなくて、お母さんなの。
その攻撃性は、お母さん怖くて言えない。

相談者:
ああ、はい、はい、ええ

加藤諦三:
そうすると、その攻撃性どこに持ってきます?

相談者:
きっとわたしですよね。

加藤諦三:
そうです、あなたです。

相談者:
あー、あたしにね・・

加藤諦三:
小さい頃から。

相談者:
・・

加藤諦三:
で、おそらく、お母さんは、お父さんも含めて、あなたの家では、子どもは自由にものが言えなかった。

相談者:
はい、言えなかった・・

加藤諦三:
もうちょっと、言うとね、お母さんが家の裁判官だったんです。

相談者:
だと思いますよ。
隠れた裁判官だと思う。

加藤諦三:
そうです。

相談者:
何か一番大事なときは母が、立って父を抑えてもやったと思います。

加藤諦三:
そうすと、このお母さんに、お姉さん、逆らえないですよね。

相談者:
はい

加藤諦三:
お姉さんは不満になりますよね。

相談者:
はい、なりますね。

加藤諦三:
その不満は、どこに持ってくかっていったら、あなたですよね。

相談者:
自然とあたしのところに来るってこと・・

加藤諦三:
うん、自然と。
だから、あなたがね、

相談者:
うん・・

加藤諦三:
ほんっとに家で守られたっていう体験がないんですよ。

相談者:
あ、無いです、それは。
いつも寂しかったです。

加藤諦三:
その寂しさが、ぜんっぶ、あなたの我慢する原点です、言えないことの。

相談者:
うーん・・

加藤諦三:
何か言って人から嫌われる、
何か言って人から拒否される、
それが怖いんですよ。
一人になっちゃうことが。
寂しいから、自分が。

相談者:
そうですね・・

加藤諦三:
もう一つ、あの、難しい言葉言うと、孤立と追放が怖いんです。

相談者:
はい・・

加藤諦三:
ですから、あなたが、その孤立と追放を怖れて、寂しい、誰からも守ってもらった体験がない。

相談者:
んん・・

加藤諦三:
そこに、お姉さんの攻撃が出てくる。

相談者:
ああ、弱いとこに来るんですね。

加藤諦三:
うん。

相談者:
あー、そっか・・

加藤諦三:
つまりね、あなたの、心の底にあるのはね、2つの感情なんです。
恐怖感と屈辱感なんです。
心の底にあるのは。

相談者:
◆△%&■でしょっか、はい・・うん

加藤諦三:
で、これに苦労してるんですよ。
で、お姉さんは、だから攻撃性の置き換えで処理しちゃってる。
あなたは、苦しむ以外に持ってき場所無いんだ、今は。

相談者:
はい

加藤諦三:
あのね、人間て、小さい頃、自分が守られてるっていう感情持った人とね、自分は守られてないって思った人では、全然違うんですよ。

相談者:
はい

加藤諦三:
だから、一番母親を求めてんだけれども、母親は嫌いなんだよ。

相談者:
ありますね。

加藤諦三:
うん

相談者:
母にも、本音ではしゃべれません。

加藤諦三:
しゃべれないです。

相談者:
うん

加藤諦三:
お母さんに依存してんだけど、お母さんに対する敵意があるから。

相談者:
ああ、ありますね。

加藤諦三:
だって守ってくれてないから。

相談者:
うん、うん、そう。

加藤諦三:
だけど、お母さん求めてんです。

相談者:
そうですね・・

加藤諦三:
それでね、結局、あなたもう、分りましたでしょ?、62年間の自分の人生の、構造。

相談者:
うん・・はい、分りました。

加藤諦三:
これがあなたの、運命なんです。

相談者:
そうですね。

加藤諦三:
これがあなたの運命だっていうことは、もう、受け入れざるを

相談者:
はい

加藤諦三:
得ないですよね。

相談者:
はい、分ります。

加藤諦三:
そうするとね、お姉さんに対する見方。
少し変わりますよね?

相談者:
変わり・・うーん・・

加藤諦三:
つまり、お姉さんは、あなたを攻撃してんじゃないんです。

相談者:
母ですよね?

加藤諦三:
そうです。
お姉さんが嫌いなのはあなたじゃなくてお母さんです。

相談者:
難しいな・・

加藤諦三:
もう、お姉さん自身がどうしようもない、追い詰められてるんです。

相談者:
追い詰められてる・・はぁー

加藤諦三:
自分の中の敵意を処理しきれないんです。

相談者:
あ、しきれないからね・・

加藤諦三:
そして、その敵意をあなたに向けて、言いたい放題言ってんの。
お姉さんの言葉ってのも、根拠はないから。
怒りだから、ただの。
ところが、あなたは、また、長年に渡って、恐怖と屈辱感がありますから、そうすると、その、あなたの長年にわたる、恐怖と屈辱感を、お姉さんの言葉が刺激するんです。

相談者:
そうですね、一言一言がね。

加藤諦三:
うん、ちょっとしたことが、ものすごい堪(こた)えるんです。

相談者:
そう、そうです。

加藤諦三:
だから、それはね、あなたの心の中の長年にわたる蓄積された感情に火を付けた言葉なんです。
言葉そのものじゃないんです。
ここを理解するとね、お姉さんに対する感情が少し違うんですよ。

相談者:
うーん

加藤諦三:
あのね、見方が変わると世界が変わるんです。

相談者:
や、可哀そうだと思うわけにいかないし・・そんなわけには・・

加藤諦三:
うん、今は、可哀そうだと思うわけにいかない、今はね、お母さんに対する憎しみでいいです。
お姉さんに対する憎しみでいいです。
今、許せって言っても無理です。

相談者:
・・

加藤諦三:
うん、だから、今はとにかく、とことん憎みなさい。
で、その後に、自然と許しの感情が来ます。

相談者:
そうなるように、努力ってことは、わたしは、あんまり、出来ないかもしんないけど、じゃあ、なるべく、

加藤諦三:
いや、今までは出来ないですよ。
それは、あのお、そういう環境で生きてないから。
でも、これ今、分ったら、努力するようになります。

相談者:
はい。
分りました。
良かったです、お電話さしてもらって。

加藤諦三:
はい

相談者:
ありがとうございました。
助かりました。
ありがとうございました。

加藤諦三:
はい、どうも失礼します。

相談者:
失礼いたします。

加藤諦三:
あなたが本当に嫌いなのは誰ですか?
攻撃性の置き換え。
解決はできません。

(内容ここまで)

孤立と追放

人がもっとも怖れるものは、孤立と追放である。
<エーリヒ・フロム(ドイツ)>

 

好きな人に嫌われたくないのは当然。

だけど、

誰からも、
好きでもない人からも、
自分が嫌いな人からも、
好かれようとする、嫌われまいとする。

こうなると、ちょっとヤバイ。

お前は市長にでもなるつもりか?

 

加藤氏が嫌われない症候群と呼んで、説明で引用したのが上のフロムの言葉です。

本来は誰もが抱えている。

とはいっても、それは程度問題。

すべて人が同じように「孤立と追放」を怖れるわけではない。
「孤立と追放」をもっとも恐れるのは、愛情飢餓感の強い人である。
<加藤諦三著 だれにでも「いい顔」してしまう人:嫌われたくない症候群>

そして、その愛情飢餓感の要因として、

小さい頃信頼できる人がいて、その人といっしょにいて安心して眠れる。そうした安心のときを経て、人は情緒的に成熟した人になれる。
<加藤諦三 同>

さらに、

自分を出してつきあっていたら、会いたくなる。
嫌われるのが怖くて、自分を隠してつきあっていれば、何年一緒に生活しても、それは歴史となって積み重なっていかない。
<加藤諦三 同>

相談者が姉と疎遠でも平気なのは、こういう理由。

離れても平気な人だったら、嫌われたっていいわけで、そういう人にまで迎合することは、矛盾もいいとこなんですが、「嫌われないようにしよう」と、考えてやってるわけじゃないからなの。

「なぜか、反発できないんです。」

相談者がこう告白するように、もう無意識。
行動様式として染み付いている。

結局、誰に対しても自分を出せず、
結果、誰とも触れ合えず、
誰と一緒にいようが、いつも一人。

相手に服従することで人間関係を維持しようとする人はいつか破滅する。
終わってみたら何も残っていません。
<加藤諦三 同>

 


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