身寄りのない女76歳の終活。盲導犬協会への寄付の遺言を撤回するたった一つの理由

(再びパーソナリティ)

ドリアン助川:
もしもしい?

相談者:
はい、はい

ドリアン助川:
あ、これはこれとしまして・・決定なさったら、長生きされて下さいね。

相談者:
あーどうもありがとうございます。ご親切に。。

ドリアン助川:
ええ、あーはい、ええ

相談者:
はい

ドリアン助川:
楽しく生きられて下さい。

相談者:
ありがとうございます。

ドリアン助川:
はいはい

相談者:
お世話様になりまして、

ドリアン助川:
どうも、

相談者:
ありがとう存じました。

ドリアン助川:
はい、失礼します。

相談者:
はい、失礼致します。

(内容ここまで)

涙拭けよ、盲導犬協会。

 

別に資産家でなくても、相談者のような人って、これからしばらくは増える一方だと思うよ。
だって、まともに生きてりゃ、持ち金ゼロで逝くって難しいし、身寄りがないんじゃね。

実は、それを見越したパイの争奪戦はすでに始まっていて、日本赤十字社や日本アグネスユニセフ協会なんかは、大キャンペーンを張っている。

美辞麗句に彩られたお誘い文句。
「ご遺産はわたしたちに」(寄越せ)

 

結局、婆さんが明らかにしなかった盲導犬協会への遺贈をやめるワケを言おう

婆さんの相談の趣旨が弁護士に伝わらないもんで、聞いててもどかしい。

アタシはすぐ分かったけどね。
母親に鍛えられてるから(笑)

別に、盲導犬協会に遺贈したい気持ちが変わったわけじゃないし、病院に寄付したいという強い気持ちがあるわけでもない。
婆さんは、人の手を煩(わず)らわしたくないだけ。

婆さん  「遺言書なくてもお国に行くならそれでいい」

婆さんの気掛かりは、公正証書遺言を残したとして、自分亡き後、一体誰がそれを速やかに実行に移してくれるのか?にある。

この疑問は至極もっともで、亡くなったタイミングで自動的に公証役場に通知がいく仕組みなんてもんはない。

それに、遺言が出てきたとして、不動産を換金するという大仕事を誰がやる?

不動産の遺贈先に指定された盲導犬協会だって困る。
寄付の受付は現金のみで、不動産を処理できる担当部署すら存在しない。
たとえ、事前に、そんなことを、どこぞの婆さんから言われたって返事のしようがない。

婆さんが遺言書を撤回する気になったきっかけは、こんなとこでしょ。

そういうことにならないためには、自分に近い人を遺言執行者と決めて、その人に公正証書遺言のコピー(謄本)を渡しておく方法が考えられる。

身寄りがなければ、他人に遺言執行者を頼むしかないが、当然金銭を伴う契約ごとになる。
この辺のところをソーシャルワーカーと相談しろってことだ。

弔い方を遺言に残したはいいけど、遺言書が開けられたのは荼毘に付された後という笑えない話にならないように。

 

遺産を国庫に入れるために発生する多大な行政コスト

塩谷:
遺産が国に帰属するというのは、最後の最後の受け皿で、仕方ないから国が引き取るという性格。国のために役立てる趣旨とは違う。

フム。
これ、この婆さんに限らず勘違いしてる人が多そう。
趣旨が違うというのもさることながら、かえって国に負担を強いることになる。

もらい手のいない遺産を国庫に入れるためには、

  • 相続財産法人を成立し、
  • 相続財産管理人の選任。
  • それを官報に掲載して、相続人が名乗り出ないことを確認して・・
    以下省略。

金融資産でなければ、さらにこれに競売の手続きが加わる。

掛かる行政コストは大変なもので、この婆さんの「迷惑掛けずに」どころの話ではない。

めぼしい財産がなく身寄りのない人こそ、遺言はしっかり残しておかないといけない。

 


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