「目を見て話せ」と言われる全盲のマッサージ師。他人との会話がはずまない

(再びパーソナリティ)

ドリアン助川:
もしもし?

相談者:
はい、もしもし?はい

ドリアン助川:
あのお、随分ね?

相談者:
はい

ドリアン助川:
えー、この日本にも、外国からの観光客がどんどん来るようになりましたけども、

相談者:
はい

ドリアン助川:
お兄さんのお店には外国の客さんはいらっしゃいますか?

相談者:
・・いえ、まだ、そんなには・・おりません。

ドリアン助川:
あ、でも時々はいらっしゃる?

相談者:
はい

ドリアン助川:
これからはね、外国語の一つ、二つできる人も・・重宝されると思います。

相談者:
はい

ドリアン助川:
僕ね、フランス語の勉強、49歳から始めたんですよ。

相談者:
あ、そうですか。

ドリアン助川:
で、周りはね?
「その年齢で外国語をやってどうすんだ」って結構否定的だったんだけど、

相談者:
はい

ドリアン助川:
やっぱり、やって良かったなあって、今思うんです。

相談者:
はい

ドリアン助川:
ですから、まさに44歳、これから何でもできますので。

相談者:
はい

三石由起子:
そうだよ。

ドリアン助川:
未来は明るいですよ。

相談者:
はい

三石由起子:
そうだよ。

相談者:
モヤモヤした、物が消えて、行きます。

三石由起子:
はい

ドリアン助川:
はい、良かったでーす。

相談者:
ありがとうございます。

ドリアン助川:
はいはい、どうも、失礼しまーす。

相談者:
どうもどうも、失礼しました。

(内容ここまで)

キー局は特番でお休みなんだけど、相談は特番向けに選んだ雰囲気。

言うまでもなく特番とはチャリティ・ミュージックソン。
音の出る信号機を設置するための募金を募る24時間番組。

 

やはり、テレビは聴くものではなく、観るものなんですね。

でも、先天性の方って、その文字情報をどうやってイメージに変換するんですか?
文字情報のままなのでしょうか?
と素朴な疑問。

あと、どんな夢をご覧になるのでしょうか?

 

まずもって、フォーマルな会話に関してはドリ助の言うとおり。
無問題。

てか、書き起こし人から言わしてもらうと、お世辞抜きで、テレ人の相談者のうちのトップ10%に入る会話スキル。

って、比べるもんのレベルが低い・・

 

もっとも、男が気にしてるのはそういうことではない。
インフォーマルなコミュニケーション。

いわゆる雑談。
目的のない会話。

目的は場を和ますため、お互いを知るため。

これ、ちょっと想像したんだけど、とてつもなくハードル高いと思う。

だって、風景とか、着てるもんとか、視覚情報に関するものはこっちからは振れないんだもんね。
受け身にならざるを得ない。

そもそも、健常者の雑談っていうのは、相手の表情とか、態度から、話題を変えたり、拡げたりする。

相談者の場合、弾む会話は、相手の積極的な協力があって初めて成り立つものだ。

 

記事タイトルだけど、これ最初は健常者の不用意な言葉だと思ったのですが、浅はかだったみたい。

相談者  中々それが上手く行ってないようで

つまり、たとえ見えなくても、相手の顔の方を向いて話しなさいという意味なの。

「目を見ろ」というのは彼らに通じる厳しくも温かい指導。
少しでも差を埋めるための努力なんですね。

 

淀川長治(*)さんの話を思い出した。

(*)淀川長治:
よどがわ ながはる
我が国映画評論の草分け。
1998年没 89歳

講演を終えて車で帰る際、後部座席の窓越しにファンと握手をしていた。

と、一人の少年が左手を差し出す。

淀川さん、
「握手は右だよ」

それでも、相変わらず少年は黙って左手を差し出しまま。
変な子だな、と思いながらも、少年の左手を軽く握って、車を出す。

ふと後ろを振り返った。

慌てて、車を停めさせて、少年の所に戻った淀川さんは少年の左手を両手で強く握りしめます。

少年は右手を失っていたんですね。
淀川さんは、振り返ったことを神様に感謝したとか。
サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。

 

実は、同じようなイタイ経験がアタシにもある。

お箸の持ち方厨のアタシは、おかしな持ち方の後輩に指摘したわけよ。

でもね、その子は、ある指が曲がらなかったの。

どうしていいか分からないというのはあの時のこと。
時間を戻してくれって思った。

アタシはもとより、淀川さんでさえ、普段は健常者しか頭にない。

 


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