自宅が競売に。中小企業融資の実態がここに。
(回答者に交代)
坂井眞:
いくつか整理しますが、最初に、お爺さんが担保に入れたのは、叔母さんの旦那さんがお金を借りるときに、土地、建物を担保に入れているだけで、債務者にはなっていないと思うんですよ。
物上保証っていうことじゃないかなと思うんだけど、そのあたりのことはお分かりですか?
相談者:
分かります。
9000万に対して、うちは保証人にはなっていないと、保証協会さんからは言われました。
坂井眞:
なっていないですよね。
だから、9000万の返済義務をお爺さんや、お父さんが負っていたわけではないという理解でいいですか?
相談者:
はい。
そう聞いてきました。
坂井眞:
だから、お父さんが亡くなって、あなた方も9000万を返さないといけない関係ではないということですね。
で、お母さんが住んでいる土地・建物の遺産分割協議は終わっているんですか?
相談者:
はい。
坂井眞:
それは、どなたが相続したんだろ?
相談者:
母親と私です。
坂井眞:
そうすると、債務者ではないけども、銀行が、今は保証協会が担保にとっているから、もう随分前に倒産しているから、債務不履行っていうか、返すのが滞っている状態が長く続いているんで、銀行でも、保証協会でも、いつでも強制執行ができる状態だということになるんです。
それを今月末まで、待ってあげると。
だから、いつでも、一括で返せと、で、返してくれないんだったら、土地と建物を競売にかけるよと、こういうことを今、信用保証協会が言っているわけですよね。
で、それを止めるためには、少しづつでも払っていかなくてはいけないって言うんですけど、でも、任意の代位弁済と言って、債務者じゃないから、おそらく、叔母さん?、お父さんの妹さんは債務者だろうと思うんだけど、(あなたやお父さんは)その代わりに払っているので、いくら払っても土地・建物の担保はなくならない状況なんですよ。
それはお分かりですか?
担保を消すためには、9000万の残りを全部返さないと、消せないよ、と言うと思うんです。
相談者:
言われました。
坂井眞:
その辺のことは、信用保証協会さんと話した方がいいですよね。
「頑張って600万払ったら、(担保)を消すことはできないんですか?」、ということは聞いてもいいですよね。
これが、物上保証人として、担保を差し出したあなたの立場で、やるべきことですよね。
だから、(月々の返済を)増やしてくださいって言っても、担保は消えないっていうことは、よく頭にいれておいてくださいね。
600万返したら、担保が消えるってことは、このままだと、そうはならないので、そこは話しを詰めないと頑張った甲斐がない。
それと、叔母さんと従兄弟に請求できるのかということなんですが、一つは、これまで払った分とか、物上保証で入れた分っていうのは、元々の債務者は叔父さん、それを相続した人は同じ立場なんで、相続した人、おそらく叔母さん、
相談者:
そうです。
坂井眞:
叔母さんに対しては、保証人とか、物上保証人とかは、求償っていいますけど、払った分を求めていくことは出来るわけです。
だけど、従兄弟の方は、相続しなかった、って仰ったでしょ?
相談者:
そうです。
坂井眞:
相続は会社関係ないから、自分のお父さんを相続しなかった。
そうすると、相続した叔母さんと違って、息子とはいえ、負債は引き継がないんです。従兄弟さんは。
法的には、従兄弟にかかってくる根拠はほとんど無いだろうなと。
そのために相続放棄したんだから。
別の名で再建して、会社をやってるんですよね、その従兄弟が。
それも、昔の会社の機械を使っているので、釈然としないということですよね?
相談者:
そうです。
坂井眞:
法律論としては、 叔母さんが引き継いで、2年で潰れちゃった、おそらく事実上、倒産しちゃったということなんだろうと思うんだけど、新しい会社って、すぐ動き出したんですか?
相談者:
ちょっと期間があります。
坂井眞:
ある程度落ち着いた頃に、前の会社の機械を、どういう処理をしたのか分からないけど、使える形に法的な処理をして、やり出したわけで、前の会社とは・・、同一性と言いますけど、同じ会社だとは言えないんじゃないかと思う。
実質同じで、一族がやってるから、同じだって見えるけど、会社としては別の人格だということになるんです。
そうすると、前の会社の負債を払う義務は無いだろうというのが、おそらく正解なんですよ。
法的に、立て替えた分を払ってくれっていう権利を認めるのは難しいんじゃないかと思います。
ただ、それはそれとして、従兄弟の立場からすると、お父さんやお母さんのために、叔父さんや、従兄弟や叔母さんが苦労しているんだと。
それはありがたいことだから、自分が肩代わりしていきたいです、と。
それは最終的にお母さんを助けることにもなるじゃないですか。
お母さんには、かかっていける(求償できる)わけだから。
元々、お父さんが作った借金なんだから、払ってくれないかと。
無理は言わないけど、少しづつでも払ってもらえないかと。
それがあなたのお母さんを助けることにもなりますよ、と。
そういう言い方で話をしてみるのはいいんじゃないですかね。
それは筋が通っているでしょ?、逆の立場でも。
相談者:
そうですね、自分の母親ですからね。
坂井眞:
その辺の全体の構造を理解して、進めれば問題ないと思いますけど。
相談者:
はい、分かりました。
進むべき道が開けてきたかなと。
(内容ここまで)
物上保証、初めて聞きました。
相談者は乗り切れるんでしょうか。
600万でチャラにすることは問題ありません。
だって、保証協会からの提示だからです。
(坂井さん、話聞いてなかったの?)
問題は月々の支払い額と叔母との交渉。
相談者も言ってなかったので、ちょっと分かり難かったんですが、息子だけじゃなく、叔母も相続放棄してますよね。
9000万の借金なんて相続するわけないし。
でも、だとしたら、融資はがされるだろうし、会社2年も続けられるわけないし。
じゃ、相続したんだろうか?
そうだったら、倒産と同時に自分も自己破産してるよね、間違いなく。
んー、分からん。
9000万に対して、600万の土地なんて、ほとんど無担保じゃん。
だいたい、9000万の保証なんてピカピカの黒字が最低3期は続いてないと下りないよ。
まして、家族経営でしょ、まして、開業時でしょ、もう、あり得ないって。
加えて、40年経って、元本が減ってないし。
これ、作り話とは言わないけど、相当、事実に細工してるんじゃないかな。
いずれにしても、亡くなった相談者のお父さんは、自宅を維持するためだけに、2万を払ってたってことだね。
もっとも、たった2万で、協会もよく、合意したもんだ。これも不思議。
普通は、この時点で強制執行でしょうに。
さて、法的には、払った全額を叔母に求償できるんですが、支払い能力がね。
そこで、甥からの善意に期待するわけなんですが、さて・・。
あと、倒産してんだったら、何で機械等の動産が手付かずなの?
普通、貸し手が換金して、ぺんぺん草も生えてないでしょう?
でもね、
中小企業向けの融資なんてこんなもんです。
必ず、経営者の連帯、個人補償をつけるわけです。
なので倒産すると、立ち直れません。
今回のように、遺族、親族まで迷惑をかけます。
大企業向けなんて、巨額でも簡単に債務放棄するくせにね。