借りたか、貰ったか? 離婚後に相手から請求される住宅資金
(再びパーソナリティ)
今井通子:
お分かりいただけましたか?
相談者:
はい、どうもすいませんでした。
ご迷惑かけまして。
わたしも、はっきり、そういうこと確かめておかなくて、電話したのがまずかったです。
今井通子:
(笑)
はい
相談者:
もうしわけ■△%◇
今井通子:
はい、どうも
相談者:
はい、すいません
今井通子:
失礼しまあす。
相談者:
失礼します。
(内容ここまで)
モゴモゴ、モゴモゴ、何言ってるのか分からん。
一応、善人ではある模様。
はなからバックレようとは思っていないみたいだし。
でも、もし、バックレるつもりなら、十分戦えると思うよ、これ。
息子がヨメ親に渡してた金は小遣いだって、言い張ればいいだけだもん。
離婚後は渡してないってことが前提だけどね。
なんなら、家をヨメ親との共有名義にして相手に700万円分の持分を認めればいい。
ヨメ親にとってはオーバーローン(*)の不動産の持分をもらったところで何の意味もないんだけど、次男は借りたんじゃないっていう理屈は通る。
(*)オーバーローン:
不動産の時価 < ローンの残り の状態。
不動産を売却してもローンが完済できない。
それに、700万をもらったことにすると、贈与税が発生していたことになるし。
もっとも、そこまでして3千万のローンを払い続ける意味があるのか?ってことなんだけどね。
だって、2世帯住む予定だった家に、45歳と18歳の男2人で住んでんだよね?
なんか笑えるわ。
結局、自己破産しちまうのが一番いいんじゃないの。
借金は無くなるし、ヨメ親と争うこともないし。
つまり、次男にとって700万の請求は渡りに船だっていうこと。
にしても、今日の相談で一番の違和感は、何であんたが相談してんの?ってこと。
当の次男って45でしょう?
こんな使えない爺さんがしゃしゃり出てこなくちゃいけないくらい、次男は使えないわけ?
ヨメ親へのカネの渡し方にしたって、次男から母親に渡して、それから母親がヨメ親に渡してったって言うんだけど、なんじゃそれ??
この家族そのものに、深ーい、問題がありそう。
離婚時の財産分与はプラスの財産だけ
相談者がちょっと不満に思ってたことで、不動産がオーバーローンになってんだから、その負の財産は別れたヨメ側に請求出来るじゃないか?ってことなんだけど。
これ、実はダメなんだな。
確かに離婚のときに財産分与ってあるよね。
婚姻期間中に築いた財産は、それが夫婦どっちの名義になっていようが、夫婦共有のものだから、半分半分で分け合うっていう処理。
この財産分与の対象になるのは、プラスの財産だけなんだな。
負の財産、つまり借金は財産分与の対象にはならない。
遺産相続なんかは、プラスも、マイナスも引き継がないといけないから、もしかして今日の相談者みたく勘違いしている人もいるんじゃないかしら?
だから、今日の相談で、もし不動産がオーバーローンじゃなく、残債よりも時価の方が高ければ、ヨメは最低でもその分の二分の一に相当する金額を不動産の持ち主である夫に請求できるわけだ。
じゃ、婚姻中の借金や、住宅ローンはどうするかって?
どうもしないよ。
ローン組んだ人が返さなきゃいけないし、配偶者が連帯保証していればそのまんま。
もちろん、離婚したんだから、連帯保証は外してくれ、みたいなことは必要にはなってくるけれど、銀行は簡単には応じてくれないし、財産分与とは、全く別の話になるわけ。
だからねえ、今日の相談で、もし嫁がローンの連帯保証なんかしていたら大変なことになる。
700万の請求を契機に夫が自己破産したら、ローンはそのままヨメに降りかかってくるんだから。
まさにヤブ蛇。