自立する子どもへの寂しさ。娘の忘れ物を気に掛ける本当の理由
(再びパーソナリティ)
加藤諦三:
ええ
あのお、忘れ物ない?って聞くこと、があ、
相談者:
はい
加藤諦三:
で、あなたが、
相談者:
はい
加藤諦三:
あのお、なんていうのかな、まだ自分が必要とされる存在だっていう位置を守ろうとしてるんですよね。
相談者:
ええ
そうですね。
加藤諦三:
だから、逆に言うと、結構、忘れ物ない?って聞かないで、
相談者:
はい
加藤諦三:
送り出すのは、結構大変なことだと思うんですよ。
相談者:
はい
やってみます、でも
加藤諦三:
もう、この年で・・
はい?
相談者:
やってみます
加藤諦三:
ええ
あなたの金のわらじ、素直さですよ
相談者:
はい
大原敬子:
あーそうかもしれない
相談者:
行ってらっしゃいだけ言って、送り出します。
加藤諦三:
うん
あのね、も、すっごい財産です。
相談者:
うん
加藤諦三:
あのねえ、年金よりも、すごい財産だ。
相談者:
(笑)
加藤諦三:
素直さ、その。
あのね、素直さがあればね、人がなんとか困ったとき、助けてくれるんです。
相談者:
はい
分かりました
加藤諦三:
素直でない人っていうのは、なかなか人が助けてくれないです。
相談者:
分かりました。
加藤諦三:
あなた今、ものすごく、大変な仕事してるときです。
大変な仕事っていうのは、親子関係で。
相談者:
はい、はい
加藤諦三:
あのね、子どもが自立していくときっていうのはあ、
相談者:
はい
加藤諦三:
やっぱり親寂しいでしょ?
相談者:
はい
加藤諦三:
だけど、そこが親の踏ん張りどころだから。
相談者:
分かりました。
はい
加藤諦三:
ねえ、あの、だから、すごい、仕事をやってるんです、今。
相談者:
そうですね・・そうですね
加藤諦三:
ええ
相談者:
分かりました(笑)
加藤諦三:
つまり、忘れ物ない?って、聞かないように、することで、
相談者:
はい
加藤諦三:
あなたも、お嬢さんも、自立していくんじゃないですかねえ。
お嬢さんの方もね、
相談者:
はい
加藤諦三:
忘れ物ない?って聞かれるとイライラするんですけども、
相談者:
ええ
加藤諦三:
聞かれないと、もの足りないんです。
相談者:
(笑)
そうですかね
加藤諦三:
ええ
だから2人ともね、あのお、
相談者:
あー
加藤諦三:
必要なくなった段階で離れられなくなってんの。
相談者:
ああ
加藤諦三:
だからこれは、
相談者:
うん
加藤諦三:
2人が大きく成長する、
相談者:
はい
加藤諦三:
今、時です
相談者:
はい
分かりました。
加藤諦三:
よろしいでしょうか?
相談者:
はい
加藤諦三:
はい、どうも失礼します
相談者:
ありがとうございました。
すいませえん。
失礼します。
加藤諦三:
母親にとって最も難しい仕事、自立していく子どもを励ますこと。
(内容ここまで)
素直ってのもそうだけど、余裕が感じられる相談者。
子育てが終わったってこともあるけど、根アカなんだと思うよ。
だいたい、相談が娘の忘れ物って、それが最大の悩みかよ!
ってやっかみたくなる。
「子育て中は楽しくて」
母子家庭で、サラッとこのセリフは出てこんよ。
作ってる感じしないし。
こうだから、母娘の仲もいいんだな。
娘も大らかに育ってるふう。
フルタイムで働いていなかったみたいなこと言ってたけど、経済的な余裕も大きいのかもね。
養育費か、実家からの援助か、あるいは福祉か。
これが素直な人は誰かが助けてくれるってことか。
感心したのが、
相談者 「で、娘の忘れ物については?」
これ。
そうだよね、相談したことにちゃんと答えてもらってないもんね。
でも、なかなか言えないよ、ふつー。
相手、大原さんだし。(笑)
この人、相談者を置いてきぼりすることがよくあるんだけど、今日の相談者は合わせながらも、持っていかれてない。
単に素直だけじゃないね、この女。
これからは、
「忘れ物ない?」
って聞かないようにする、か。
フム。
なんか、そうしなくてもいいような気がしないでもないけど。
ま、親の役割を少しづつ降ろしていく、ってことね。
だけど、今のこの3人の生活は大切にした方がいいと思うよ。
だって、もう、そう長くはないから。
いずれ、2人とも家を出て行く。
過ぎてしまって分かる何気ない日常のありがたみ。
娘も、そんとき初めて母親の小言が宝だったって身に染みるだろうよ。
加藤諦三
「母親にとって最も難しい仕事、自立していく子どもを励ますこと」
最も難しいとまで言うのは、それだけ、出来ない親が多いってことなんだな。
逆に妨害しちゃう。
今日みたいなのは、まだいいと思う。
社会に向かって成長していく様子が明らかだし。
難しいのは、子どもが小さいときや、思春期。
親から見ると、あたかも後退してるように見えるときだ。
口答えをするようになる。
隠し事をするようになる。
親の希望とは違う方向に行く。
こういうのだって、間違いなく自立の過程なんだけど、芽を摘む親が多いってこと。