相続か姓か?養子縁組の目的にギャップがある再婚夫婦
(再びパーソナリティ)
柴田理恵:
だいじょぶですか?、分かりましたかあ?、はい
相談者:
はい、分かりましたあ。
柴田理恵:
やっぱ、あのお
相談者:
色々ありがとうございました。
柴田理恵:
はあい、あの、先生も仰いましたけどお、親子になるっていう、ことだと思うんですよね。
相談者:
そおなんですね、うん・・
柴田理恵:
だから、その、まだあ、あのお、あなたも65歳でまだまだ若いしい、息子さんの、生き方にも関わることなんでえ、
相談者:
はい
柴田理恵:
だから、あのお、ゆっくり話、してください。
相談者:
そおですね、ありがとうございました。
柴田理恵:
あわてないで
相談者:
色々ありがとうございました。
柴田理恵:
はあい、失礼しますう。
相談者:
失礼しますう。
柴田理恵:
はいー
(内容ここまで)
10年前の再婚時、
相談者55歳 旦那56歳 息子28歳 長女既婚 次女学生
「子どもは作らなかったんです」
「作らなくていいって言ってくれて」
そ、おですか・・
あくまで、お二人のご意思でそうなさったということなんですね。
これさ、もう、息子と長女にとってみれば、
お母さん、第二の人生お幸せに、ってとこでしょ。
同居するスネかじりの次女だけが養子縁組したっていうのも、いたって普通のこと。
それだって、たぶん次女は100回は聞かれたね。
「えー!、結婚したの?」
「相続する」と「継ぐ」は違うから
質問からして、相談者自身、どうして養子縁組が必要かが分かってないと思うの。
息子に財産を残したいだけなら、旦那は遺言書を残すって言ってんだから、それで済む話。
養子にならないと、割り増しの相続税(*)がかかってしまうんだけど、それって今日初めて知ったことだし。
(*)割り増しの相続税:
故人の1親等以外の者が相続、もしくは遺贈を受けた場合、通常の相続税の2割増しとなる。
それに、旦那が逝って、相談者も逝けば、今のままでも息子が相続できちゃうんだし。
思うに、息子の養子縁組の話の出どころは旦那。
相談者は息子孝行になるから、これ幸いにと旦那の意向に沿ってるつもり。
だけど、ちょっと考えれば分かるけど、旦那にとっては相続人が妻と次女だけなのと、そこに息子が加わるかは全く関係ない。
じゃ、旦那の意図はどこにあるかと言うと、
姓、氏(うじ)、すなわち家の存続がかかっているわけよ。
だから、財産を譲りたいんじゃなくって、跡継ぎが欲しいわけ。
旦那はおそらく一人っ子。
未婚を心配していた両親は、半ばあきらめて亡くなった。
旦那本人だって、名家でもない家が自分の代で途絶えることにプレッシャーも感慨もなかったんだな。
今までは。
だけどねえ、年とってくると少しづつ考えが変わってくるんだよ。
家族、親、そして自分がこの世に存在した証(あかし)が消え去ってしまうことの寂しさとか、後ろめたさとか。
自分で選んだ人生なんだから、し方なかったんだけど、そこに希望の光が見えてきた。
それが息子との養子縁組。
再婚時に一度拒まれた話を、10年経ってもあきらめきれずにちょくちょく口にしているわけだ。
だけど、妻にちゃんと伝わっていない。
家を継いで欲しい = 財産を譲りたい
相談者はどうも、こういうふうに解釈してるふう。
実際はそうじゃなくって、
家を継いで欲しい ⊃ 財産を譲りたい
こうなの。
(A ⊃ B と書くと、BはAに含まれるという意味)
財産を相続することは、家を継ぐことの一つの結果でしかない。
家を継ぐってことは、姓を名乗り、氏を守り、家を守り、墓を守り、だ。
旦那が養子縁組に期待しているのは、そうしたことなんだけど、ムリがあることも知ってるわけ。
嫌々養子になられてもしょうがないし、ダメ元的なんだな。
だけど、その控えめな態度が夫婦間にちょっとした誤解を生んでいるの。
中川氏が言うように、相談者がぶっちゃけた話を息子にするのはいいんだけど、旦那の意図を理解していないと、
相談者 「養子にならない?」
息子 「いいよ(断る)」
相変わらずこんな会話を母子で繰り返すだけになる。
旦那が息子に継いで欲しいと思うのは、家の存続もあるけど、何より、息子のことを気に入っているからだ。
だからこそ、遺産をエサになんて下品なことはしないし、遺言書で息子に遺贈することはかまわないの。
片や息子はと言えば、相談者が遺産をチラつかせてもなびいて来ない。
いいねえ。
出来た二人の男に囲まれて。
一人目では随分長く苦労させられたけど、50過ぎていい人にめぐり合ったもんだ。
この二人の男をくっつけるのがあんたの役割。
そう難しいことじゃないと思うんだけど、10年間も何やってたん?
家に呼ぶとか、一緒に飯食うとか、息子と旦那をくっつける努力をしないと。
ていうか、旦那も息子も、養子の責任を理解しているからこそ抑制的なんじゃない?
あんただけが分かってなくて、なんで話が進まないだろう?って電話してきた感じ。