末っ娘夫婦にリンゴ園を継いでもらうための遺言書

(再びパーソナリティ)

今井通子:
それじゃ、よろしいですかあ?

相談者:
はい、はい、どうも、ありがとうございましたあ。

今井通子:
はい、失礼しまあす。

相談者:
はい

(内容ここまで)

今井  「月の収入ってどれぐらいあるの?」
相談者 「売り上げとしては、1千万くらいでえ」

月!?
い、いや、年間でしょ?

そもそも、収穫期のある農業で月収って聞き方がおかしいよ、今井さん。

経費500万の粗利500万ってとこじゃないの?

 

娘ムコが60歳まで20年。
相談者夫婦90歳。
ここでバトンタッチするとなるとちょっとムリがある。

やっぱし、ムコに早期退職してもらわんと。

話には出てなかったけど、孫が6歳と4歳だっけ。
こっちに期待してもいいんじゃないの?

もし、高卒で継いでくれれば、12年と14年後。
大学出たってムコの定年よりは早い。
今からなら十分洗脳できると思うけど。

 

遺留分の放棄と相続放棄との違い

 

坂井 「生前に相続放棄は出来ないけど、遺留分の放棄は出来る」

これ、理解できた?

だって、
遺留分というのは、遺言書にすら左右されない相続人の強力な権利。
これを放棄するってことは、相続を放棄することになるんじゃないの?

こう思うのが普通だよね?

 

つまりね、こういうことなの。

今日の相談の場合で言うと、双子の息子と娘が遺留分の放棄を済ませてから、相談者が亡くなったとしよう。

双子の息子と娘にはそれぞれ八分の1づつの法定相続分がある。
だから、これを主張して構わないし、実際に貰うことも出来るわけ。

もし、分割協議の話し合いがつかなかったら、調停でも審判でも、主張し続ければいい。

この点は、遺留分の放棄の手続きをしたことは、まったく何の影響もない。

唯一、遺言書があるときにだけ、遺留分の放棄の手続きが利いてくる。
遺言書は法定相続分よりも上位に来るものだから、これに従って分割しないといけない。

そして、遺言書よりも上位に来るものが遺留分なんだけど、これを放棄しているんだから、遺言書で、たとえ遺産がゼロと書かれてあっても、遺留分減殺請求は出来ないということになるわけだ。

せっかくだから、最後に、相続放棄と遺留分放棄を対比しておこう。

生前の手続きは? 
相続放棄は不可
遺留分放棄は可

裁判所の許可は? 
相続放棄は要
遺留分放棄は生前は要で、死後は不要

相続権は?
相続放棄をすると相続権を失う。(相続人として存在しないことになる)
遺留分放棄をしても相続権はある。(相続人であることには変わりない)

目的は?
相続放棄は借金の相続を免れるため。相続放棄する本人に経済的メリット。
遺留分放棄は遺産分割を特定の相続人に手厚くしたいときに、遺言書とセットで行う。遺留分放棄する本人に経済的メリットはない。

 

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