【KBC限定】請求額2千万円の内容証明郵便。ある日突然横領事件に巻き込まれる姉妹
(再びパーソナリティ)
今井通子:
お分かりいただけましたでしょうか?
相談者:
はい、分かりました、あのお、はい、どうもありがとうございました。
今井通子:
少なくとも、あし、明日、明後日から行動して・・
相談者:
はい、分かりました、はい、分かりました。
今井通子:
大丈夫?
相談者:
はい、分かりました。
今井通子:
はい
相談者:
はい、ありがとうございました。
今井通子:
じゃあそれ、妹さんにも言った方が良いしね?
相談者:
はい、はい、分かりました。
今井通子:
2人で共同してやってください。
相談者:
はい、どうもありがとうございました。
今井通子:
はい、どうもお、失礼しまーす。
相談者:
はい、失礼致します、どうも。
(内容ここまで)
2016年春の珍事、KBC限定回はこれでおしまい。
偶然なんだろうけど、KBC限定相談はいずれも佳作揃い。
全てにコメントを書いたので、まだの方は良かったら読んでください。
さて、
今回のも1局だけに留めておくには惜しいシュールな内容。
ちょっと待った!、相続放棄。
災(わざ)い転じて福となす、てか?
イチャモンもいいとこだけどね。
内容証明郵便とやら。
整理しよう。
登場人物は以下の通り
- マヌケ商事(弁護士が代理人になっている)
- マヌケ商事の元代表(叔父の養子先の身内)
- 叔父(故人。元代表が振り込んだ先の口座名義人。養子に出されたから姓は父と違う。5年前に他界)
- 父(故人。叔父の相続人)
- 相談者姉妹(代襲相続人)
どっから疑うべきか悩ましいけど、横領事件が事実だとしたら、その関係者は1~3までだ。
相談者が話す郵便の内容から推察すると、どうやら叔父は、元代表に口座を貸した模様。
あとのやり口は色々考えられるけど、たとえば元代表が架空請求書を起こし、代金をその口座に振り込んでいたとか。
で、
”口座を貸した叔父も賠償責任は免れない”
これが内容証明郵便の一方的な主張だ。
仮に、ここまでを是とすれば、父親がその債務を相続することには文句のつけようがない。(*)
(*)文句のつけようがない:
もし叔父が特別養子縁組で出されていた場合は、父との兄弟関係も消滅していて、相続そのものが発生しないので、まったく謂(いわ)れの無い請求ということになるが、まさか、そこまでバカな真似はしないだろう。
で、父親が他界しているから、相談者姉妹が代襲相続人となって、その債務を相続したんだから支払え。
こういう理屈なんだな。
戸籍を正確に辿って内容証明を送りつけて来たということは、本物の弁護士には違いない。
むこうとしては、「弁護士+内容証明郵便」でビビらせて払ってもらえれば御の字だ。
内容証明郵便の最後の決まり文句、
「支払いがなければ法的処置を取る」
やってることは請求詐欺に近い。
だけど、金額2千万だよ?
専門家に相談するに決まってるじゃん。
ま、代理人弁護士としてはダメ元でも、送付先ごとに手数料がプラスされるしね。
ひょっとすると相手は、叔父の口座に相当の残高があると踏んでいるのかもしれん。
横領した元代表が口座に寝かせておくことは考えにくいけど、可能性はゼロではない。
だとすれば、
坂井さんのアドバイスである相続放棄の手続きは一寸待った方がいい。
相談者に請求していること自体、叔父には子がいないことを意味するし、配偶者だっていないかもしれない。
つまり、叔父の口座のカネは、相談者と妹で最大で二分の一づつの権利。
残高の可能性と相まって、思わぬ臨時収入が転がり込んでくる可能性がある。
今井 「少なくとも、明日、明後日から行動して」
そう。
だけど、それは相続放棄の手続きではない。
まずは、叔父の口座の残高照会だ。
銀行は相続人である相談者には答えてくれる。
どうやって口座を突き止めるかってことだけど、これは代理人の弁護士に聞くのが手っ取り早い。
相手だって残高を知りたいハズ。
で、
しょぼい残高だったら、そこで相続放棄だ。
もし、大金が残ってたら?
一つは叔父まで遡(さかのぼ)って賠償責任の有無を争う姿勢を示すことが考えられる。
賠償責任の証明はむこうの役目で、その難しさは坂井弁護士が説明していたとおり。
もう一つは、マヌケ商事に山分けを持ちかけてもいい。
なにせ、棚ボタ遺産を知らせてくれた親切な人たちだ。
もちろん、山分けと言っても等分なんかではない。
賠償責任の有無を争うカードをチラつかせながら、強気で行け。