実態とかけ離れた法定相続分の不公平感まざまざ。救いは農地の宅地転用
(再びパーソナリティ)
加藤諦三:
はい、どうも失礼します。
相談者:
はい、ありがとうございました。はい、すいませんでした。
(内容ここまで)
女 機械なんかよう扱わんし
機械はそうだろうけどさ。
3人産んで育てたバツイチで農業は手伝う気なし。
こんなんしか嫁の来手がなかったのね。
代々続いた農家がまた一つ消える。
さて、リスナーにはなぜか不人気の相続事案。
アタシは好きだけど。
裏にあるドロドロに思いを馳せるのが。(笑)
大抵は相談者の欲深さに行き着くんだけど、今日のはどうだか。
最初、加藤先生もそんな雰囲気だったけどさ。
加藤 「で、あなたとしては何が問題になるわけですか?」
この女にとって、一人困ったやつがいるわけよ。
まず、正確に法定相続分を出してみよう。
中川さんも最後グダグダだし。
絵にするとこんな感じだ。
義父の後妻の実子と義父が養子縁組していないとすると、義父が亡くなったとき、相続人は3人いた。
配偶者と子供2人。
義父の後妻と、相談者の夫と、義妹だ。
そのときの法定相続分は、後妻が2分1。
残り2分の1を相談者の夫と義妹で等分するから4分の1づつとなる。
で、後妻が亡くなり、2分の1はそのまま実子が引き継いだわけだ。
で、次。
相談者の夫が亡くなったときの相続。
相談者の実子と亡くなった夫が養子縁組していないとすれば、2人には子どもがいないから、夫の遺産の法定相続分は、妻が4分の3、夫の兄弟姉妹が残り4分の1。
これを義父の遺産で考えると、夫の法定相続分は4分の1だったから、
4分の1 × 4分の3 = 16分の3
これが今現在、相談者が権利を有する、義理父の遺産の法定相続分だ。
義妹は、父親からの法定相続分4分の1に加え、
相談者の夫である兄からの法定相続分が、
4分の1 × 4分の1 = 16分の1
合計すると、
4分の1 + 16分の1 = 16分の5
まとめると、義父の遺産分割は、
- 義父の後妻の実子が2分の1
- 夫の妹が16分の5
- 相談者が16分の3
3人の合計は1となる。
フム。
実情とは全く逆の取り分になってる感。
この一家と最も遠い処で生きてきた後妻の実子が一番多くを相続し、嫁いだ妹が2番目に多く、跡を継いで長年にわたって田畑を守ってきた相談者(の夫)の取り分が一番少ない。
不公平感ハンパないが、得てして法定相続分はこういうことになる。
だからといって民法のこの定めなしに、当事者の事情に任せて相続を処理しようとすれば、それだけで日本の司法はパンクしてしまう。
今だと3人の合意だけで処理できるんだが、誰かが亡くなったりすると、その人の配偶者や子どもが相続人として加わってくる。
遅まきながらではあるけど、相談者が焦るのは正しい。
で、本題はここから。
相談者は一体何を心配しているのか?だ。
要は子どもたちに今住んでいる家屋敷を残したいんだな。
で、警戒しているのが義父の後妻の実子だ。
27年間も同居してた相談者の夫である義理の息子に一銭も残さなかった後妻。
相談者の言うとおり、農家なんだから、本来、金融資産は家族共有の財産のハズだ。
それを後妻は、晩年になって、わざわざ自分名義の口座に移した。
この後妻、自分の実子が夫の遺産にまったく権利を持たないことを知って、さらに義理の息子と自分が養子縁組をしていないことをいいことに、実子だけにカネ目のものを残そうという強い意志が伺える。
で、棚ボタのクセして、これ幸いと実母の葬儀費用すら出し渋った実子。
(これも道義上の話ではある)
この実子が、相談者の死後、主がいなくなった家屋敷の持ち分を強く主張してくることは想像に難くない。
なんせ、2分の1の権利を持っている。
ま、だけど、1800坪の田畑が宅地に転用できれば、相談者は450坪の自宅の土地をどうにか手にできそう。
てか、その住んでる土地だって、田畑と一緒に換価した方が良さそうなもんだけど。
そして、最後にそれらを手にするのは、義父の後妻の連れ子と相談者の連れ子。
土地の土すら触ったことのない、農家一家とはほとんど縁のない連れ子たちだ。