35年前の相続。代が替わって相続人が総勢13人。法定相続分に不満な女
(再びパーソナリティ)
加藤諦三:
もしもし?
相談者:
はい、もしもし
加藤諦三:
要するに・・今、坂井先生がおっしゃった、通りで、り、理屈では分かるけど、感情が受け入れられないってことでしょ?
相談者:
そうですねえ。
加藤諦三:
うーん。感情と理屈は、また別ですから、
相談者:
そうですね。
加藤諦三:
ええ、まあ、人間は・・欲で動きますからね。
相談者:
そうですねえ。
加藤諦三:
でもね・・欲で動くと、最後人生悲惨なことになりますから。
相談者:
そうですねえ。
加藤諦三:
うーん
相談者:
はい
加藤諦三:
ですから・・
相談者:
そうだと思います。
加藤諦三:
うん、坂井先生が、ご説明下さったような形でね、
相談者:
はい、ええ、はい
加藤諦三:
これは、そのような、ことで、処理して、らどうでしょうか。
相談者:
え、あのお、専門家のお話聞けて、ちょっとこ、気持ちが・・整理できて、スッキリし、て来ました。
加藤諦三:
はい、分かりました。
相談者:
ありがとうございます。
加藤諦三:
はいどうも失礼します。
相談者:
はい、お世話になりましたあ。
加藤諦三:
人は、不公平ということで、何ん、でもないことを、大変な、大事(おおごと)にしてしまいます。
(内容ここまで)
絵にするとこんな感じだ。
民法に規定される相続順位は、まず故人の子、いなければ親、それもいなければ兄弟。
ここまで。
故人に配偶者がいれば、この3パターンのいずれの場合でも、それ以外のいかなる場合でも相続人に加えられる。
つまり今回、兄弟に相続権が回ってきたということは、叔父には養子も含めて子がいないことを意味する。
このときの法定相続分は配偶者が3/4で、兄弟が残り1/4。
この1/4を6人兄弟の長男(叔父)を除く5人で分け合うから、一人頭1/20だ。
もし叔父が亡くなった時点で兄弟が亡くなっていれば、その子どもが1/20をそのまま相続する。
これを代襲相続と言う。
今日の相談者も、叔父の妹である母親が亡くなっているので、相談者が代襲相続人になりそうだが、それはちょっと違う。
叔父が亡くなったときには妹である母親は生きていたわけで、相談者の母親が相続人であることは間違いない。
ただ、遺産分割をする前に母親が亡くなってしまったので、相談者が母親の相続人として1/20をそのまま相続するだけだ。
事実上は代襲相続と同じことなんだが。
Xもこれと同じで、叔父の養子でもないXは叔父の相続人ではない。
だけど、配偶者であった母親の相続人として母親が相続した3/4をそのまま相続するわけだ。
ちなみに、配偶者に代襲相続は発生しないので、もしBが叔父より先に亡くなっていたら、叔父の遺産はすべて兄弟で山分けできた。
さて、もちろん相談者に兄弟がいれば、1/20をさらに兄弟で等分することになる。
相続人は13人で、そのうちXが一人、叔父の妹が一人。
残り11人が叔父の4人の妹弟の子どもたちだ。
金融資産3千万だけで考えると、1/20は150万。
2人兄弟なら一人75万、3人兄弟なら一人50万だ。
結構なことじゃないか、棚ボタの50万。
ところが、Xに2千万を超える配分が行くと分かった途端、50万円の嬉しさなんてどっかに吹っ飛んでしまう。
不思議なもので、損した気持ちにさえなる。
だけど、これはし方がない。
法定相続分もだが、沸き起こる感情が。
不公平感はわたしたちの遺伝子に組み込まれたプログラムだからだ。(*)
(*)不公平感は遺伝子プログラム:
もし不公平感がなければ、他から搾取されるだけで、その種は生き残れない。
こうして進化の過程で不公平感を持つ種だけが残った。
それが、今この世界に生きているわたしたちだ。
本能なんだから、性欲とかと同様、恥とか、プライドとか、道徳とか、あるいは法律で抑え込むしかない。
もし、民法に法定相続分の規定がなければ、今ごろ日本の司法は争続によってパンクしていた。
わかりやすく説明していただいてありがとうございます
相続の話は感情がはいるからややこしくなるんですよね
知識として法律のことがわかっていれば諦めもつくしいつまでもグチグチ言うこともない
どうしようもないこと考えるのは時間の無駄