認知の親を巡る攻防。公正証書遺言を隠した妹 vs 上書きを企む兄&寝返った姉

(再びパーソナリティ)

柴田理恵:
大丈夫ですか?

相談者:
はい

柴田理恵:
はい、あの、お父さまと、

相談者:
はい

柴田理恵:
お母さまが・・

相談者:
はい

柴田理恵:
出来るだけ長く、長生きなさる事・・

相談者:
はい

柴田理恵:
心よりお祈り申しております。

相談者:
ありがとうございます。

柴田理恵:
はい

相談者:
あのどうも、ありがとうございました。

柴田理恵:
はい

相談者:
はい

柴田理恵:
失礼しまあす。

(内容ここまで)

姉兄とのつき合い方を訊かれて、いきなり親の法要を話題にする大迫女史。

先生!、存命、存命

【2019/5/25 追記】
相談者の方から「お葬式とか」って口にしてましたね。m(_ _)m

 

だからって、柴田の最後のコメントもとってつけた風。
これ、皮肉として言ったのなら惚れるけど・・

 

さて、相続関係自体は、最終的には親の遺産を兄妹だけで分けるという至ってシンプルなもの。

いささか面倒なのは、遺産の大半が不動産で、家業の継承が絡むこと。

 

柴田 「その公正遺言書はどこにあるんですか?」

バカなこと訊かないで。
(公正証書遺言は公証役場にしかない)

相談者 「わたしの手元にあります」

それはコピー。
原本が訂正されたらタダの紙切れ。

 

相談者 「監査役として経理を、わたしずっとしていたんですけれども」

(笑)
あり得んよ。
受験生が答案を採点してるようなもん。
ま、同族経営ですらない”さんちゃん会社”(*)だ。

(*)さんちゃん会社:
小規模な商売を揶揄する言い方。
父ちゃん、母ちゃん、〇ちゃん。
〇には普通、”爺” とか、”婆” とかが入る。
今日の場合は”兄” 。

解雇なんて言い方しないから。
役員は労働法の蚊帳の外。
監査役の任命権者は社長ではなく株主。

取締役会で父から兄への株式の移動を承認し、株主総会で取締役の父と監査役のアンタを解任する。
解任理由すら必要ない。

 

さて、相談者に同情票が集まってるみたいだけど‥

相談者  「(姉が)公正遺言書があるという事を(兄に)話してしまったんです」

兄には内緒だったわけだ。
なぜ?

愚問だった。
アンタが貰いすぎだから。

相談者:
兄には一つの土地を与えて、
姉には200万近く父から借りていたお金の返済を免除する。
残りの住んでいる土地と現金などその他は次女のわたしに残す。

姉との差は言うまでもなく、兄の土地の価値が分からないけど、不公平な分配だからこそ隠す必要があったの。

ちなみに、もし遺言書がなくて、出るとこに出れば、法定相続分である兄妹均等がベースとなるだけ。

アンタは介護の寄与分を主張したいだろうけど、残念ながら認められない。

なぜって、アンタの介護によって親の財産の目減りを防いだとか、増やしたとかいうことがないから。

というより、むしろアンタは親から対価すら得ていた。
親の収入で生活費を賄い、アンタの持ち出しはゼロに近い。
さらにタダで住んでいる。

これが3人兄妹の中でアンタだけが親から受け取っていた利益で、介護と相殺されるわけさ。

裁判所の判断がこうなるってことだけど、たぶん兄と姉のアンタに対する気持ちだって、これと同じ。

もっと言うと、貰ってた給与にしたって、介護込みだ。
経理といっても帳簿をつける程度のお飾り。
だからこそ簡単に追い出されるの。

 

アンタと父親のどっちの主導で公正証書遺言を作ったか知らんけど、本来なら父親が長男に一家の安泰を託さないといけない。

なのに末娘だけにゴマすって、長男には内緒。
自分亡き後に何が起きるか分かりそうなもん。

だけど、5年前の時点でも脳梗塞で要介護3。
認知の診断が3年前と言ったって、突然発症するわけじゃない。

アンタが弱った父親に積極的にアプローチして作らせたと考える方がスッキリする。

 

だからね、アンタ、兄と姉がアンタをスルーして父に日参しているのが気が気でないようだけど、それ、5年前にアンタがやったことなの。

電話に出ないらしいけど、兄の立場になってみ?
怒らない方が不思議だ。

まずはアンタが謝るところからしか始まらない。
もう遅いけど。

もっとも、兄妹仲の修復を諦めさえすればアンタの勝ちだ。
父の容態からして公正証書遺言の訂正は難しかろう。

 

ここは骨肉の争いを期待して兄に戦術を指南しよう。

どうするかというと、父の財産を遺産となる前に自分のものにしてしまえばいい。

不動産の名義を父から兄自身に変えてしまうわけだ。
父の実印と印鑑証明書さえあれば手続き可能。

もちろん、相続時に生前贈与は遺産に持戻ししなきゃいけないけど、金融遺産が十分に残っていなければ意味をなさない。

最大のネックは、生前贈与と公正証書遺言との間の矛盾。
ここが争点になるけど、当の父親はこの世にはおらず、兄と妹が互いに非難し合う、まさに骨肉の争いになる。

兄の立場で言うなら、負け戦だったのが、五分の戦いに持ち込めるわけだ。

ひょっとして、テープレコーダー云々は贈与が父の意志であることの証拠作りかもしれん。

もっとも、これに対するアンタの防御策は簡単だ。
名義変更が出来ないように父の実印を管理すればいいだけ。

今、誰が持ってる?
ひょっとして兄じゃない?
会社の書類作るときに使っただろうし。

役所に実印の紛失届を出すことも考えた方がいいかもしれん。

子どもたちが入れ代わり立ち代わり会いに来てくれて幸せな爺さんだ。(笑)

 

認知の親を巡る攻防。公正証書遺言を隠した妹 vs 上書きを企む兄&寝返った姉」への19件のフィードバック

  1. 今日の大迫先生は残念でした。
    確かに「相続をめぐるきょうだいとのつきあい方」については、答えていたし、内容も納得できたのですが、
    相談者のこのケースの場合、どう対処していったらいいかについて、全く触れられてなかった。

    相談者が公正遺言書を、兄に隠していたことについて、訊ねてほしかったし、兄が、遺言書を作り直そうとしていることに対して、どう行動したらいいかも、答えてくれなかった。
     その為には、時間の枠が足りないから仕方ないが、相談者は、兄や姉の行動にどう対処したらいいかの方を聞きたかったのではないかな、と思う。
    実際相談者は「相続をめぐるきょうだいとのつきあい方」について聞きたい、とはっきり言ってたから仕方ないけど。部外者の私が聞いてても、すっきりしない回でした。

    1. ↑書いたものです。
       相談者も、兄に隠してた時点で、遺産を多く貰おうとしてたわけだし、相談者も含め、全員腹黒い。
       兄と姉が、介護を全く手伝わないという相談者の話が事実なら、相談者の心情的には分からなくもないけど、会社のゴタゴタも絡んで、一筋縄ではいかなそう。弁護士に頼んだほうがよさそう。

  2. これは、弁護士にお金払って相談したほうが良いんではと思いすた。
    会社の規模や内容によるのでしょうけど、不当な解雇・株の名義を勝手に書き換えなど手遅れになる前にひとつづつつぶしていかないと後々めんどくさそう。経理してたならわかるだろうけど会社の収益と借入によっては連帯保証との関係で相続放棄することにもなるかも。

    1. 解雇はないですね訂正します。
      株主総会の決議取消しの訴えを提起(手遅れだけどw)
      会社法831条1項で手続きに問題があったと訴えてみては?

  3. 知り合いの資産家の1人娘が子沢山を目指して不妊治療をしています。どうしても血縁に相続させたい両親のためだと言っていました。半世紀経って同じような状況にならなければいいなと願います。

  4. 同居していた娘が 長い間 親がかりで、いいとこ取りしてて、最後に親が弱ってきたら介護を武器に相続を有利に持って行ったっていう感じ。

    世の中には親の介護費用を手出しして介護している(せざるを得ない?)子供達も居るんだよ~ 見捨てるわけにいかんからね~

    この相談者と兄姉達って、もし親の会社に借金があったら、親ごと放棄しそうな一家だね。

    経営も相続も介護もごちゃまぜの、ちょっと儲かっている的な零細企業案件ですね。

  5. 待ってました(笑)管理人さんの解説!
    今回もわかりやすかったです。
    私がもしこの手の相談をするなら、管理人に相談したいです(笑)

  6. ほんと管理人さん頭キレすぎ!いつもするどい解説にただただ唸るばかりです。管理人さんがどんな人なのか、何者なのか、知りたい気持ちがつのる一方です。

  7. ラジオで生で聴いてました。相談内容から大迫弁護士がいいなと思っていました。
    担当が大迫弁護士で期待しましたが、がっかりでした。
    まるでウルヴェ同じ感じ。スカッとしない…
    相談が今後のつきあい方だったから
    仕方ないか。

    1. 同感です。今後のつきあい方なんて、きれい事ですよね。勝手に自分に有利な公正遺言書を作った相談者が、財産の行方がどうなるか聞きたかったんだと思います。

  8. 大迫先生って兄弟姉妹間の話題になると
    必ず確執を話し出すよね。
    特に姉妹での長女の立ち位置とか・・・。
    自分の経験談を話すし自身の妹が嫌なのかしら?
    大迫先生は好きだけど姉妹間、兄弟間の話は
    私情と持論を出してきてスッキリしないケースが多いです。

  9. 意識してるのか無意識かは分からないけど、自分以外の人間が悪いと印象付けようとする話しで相談が始まりましたね。
    「ケイリ」「カイシャ」「カイコ」
    単語の語気が強くて、性格の怖さが出てます。
    様々なことに怒りを持ちやすい人なんでしょう。

  10. 大迫先生のお話し、教科書ではなく、弁護士実務経験のうらうちのあるもので、とてもためになりました。

  11. 親が会社経営してて、その遺産のことで兄弟姉妹ともめてる50歳くらいの女性って、テレ人に度々登場しますよね。
    怒りで言葉がつっかかって、いかに自分の兄弟姉妹がひどいかを分かって欲しくて、愚痴を話すんだけど、本人のエゴも相当なもので、聴いててイラつきます。

    女性って、合理的だ自分のこどもや家庭の為に必死になるから、夫の兄弟は取り分をもってく邪魔な奴でしかなく、でも、それは普通のよくある心理では?

    独身の相談者は真面目な人なんでしょうけど、家庭を守ろうとする女性の心理を理解して、自分が譲るくらいの気持ちでないと、生涯もめ続けるでしょうね。

  12. 年齢性別に関係なく健康や金銭面に不安な人、信じられる人がいない人は
    余裕がなくなるのではないでしょうか。
    相談者さんは独身で50代といえば体力や健康面でも
    今までのようにはいかないと感じることが多くなる年頃。
    子供もいなくて老後も心配。
    怒りというより必死なのでしょう。
    将来の不安を先回りして内緒の遺言書を作成してもらったのでしょうが
    それが反対に兄弟からの不信感をかうことになってしまった。
    こういうことがあるということが経験なくして学習できるところが
    人生相談のいいとこですよね。

    でも初読のときは「解雇」というワードで酷い冷血兄弟と思ってしまってました。

  13.  大変だな~と思いつっ

     相続関係図の父83歳と母82歳の
     のーてんき な(^o^)に救われたょ・・・。
     

  14. 入所しているのは父親だけ。
    母親を入所とは語られていません。
    また監査役は退任で、解雇されたのは経理としていた会社の従業員を辞めさせられています。
    次女は収入無しの状態で父親の施設費用支払いをし、母親を介護している状態です。
    また公正遺言書を新たに作成する時、印鑑および印鑑証明書が必要ですが、
    医師が現在判断力が無いと証明している状態での上書き遺言作成なら不可能です。
    公正遺言書の作成当時、父親に判断力があったかどうかは、その頃の介護認定調査票や主治医意見書など、証明できる物はあると思います。
    また要介護者のリハビリ担当者など、老人との会話内容が辻褄が合っているかどうか、などケアマネに報告もあります。
    何年頃から認知症の症状が出始めたか…など、記録に残っているもの、証言してくれる人はいると思います。
    長男は両親を介護していた妹を解雇した。
    父親は公正遺言書を作成するに至るまで、
    長男の人間性を分かった上で行っていると思う。

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