病院によって診断が違うので不安
(回答者に交代)
森田浩一郎:
病名を仰らないので、アレなんですが、私も医者なんで、
大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)かなんかじゃないんですか?
相談者:
解離性大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)で救急車で運ばれました。
森田浩一郎:
そうでしょう、それだけお聞きして、私はそれ以外にないと思うんだけどね。
大動脈瘤というのはね、血圧がうんと高いと、いつ爆発するかわからない爆弾を抱えてるようなものんなんですよね。
だから、血圧を下げないといけないわけですよ。
10年前ということは71くらいのときですよね。
相談者:
そうです。
森田浩一郎:
私は、大動脈瘤とか、循環器系の専門医ではありませんけども、まあ、普通の医者の常識というのは持っております。
大動脈瘤のCTをとると、幅とか、長さとか、血管の色んな・・、
今、三次元のCT取れば、血管系の厚さも分かりますのでね、大きいから破裂する、小さいから破裂しない、とかいう問題じゃないんですよね。
相談者:
あー、そうなんですか。
森田浩一郎:
はい。
だから、あんまり、あなたがご心配にならないで・・
1、2、3、って病院を変われば、お医者さんの判断が違うんですよ。
相談者:
あー、そうですか。
森田浩一郎:
病気がどうとかじゃなくて、その方の、なんていうのかな、見方が違うんですよ。
紙を2つに切ったら、1/2になって、また2つに切ったら1/4になるって言うけど、病気というのはそういう風に割り切れないんですよ。
相談者:
はい、そうですねー。
森田浩一郎:
私はよく言うんですけど、病気というか、持病は、その方の命っていうのとは、まったく連動するっていうのか、並行しないんですよね。
とにかく、4年半もったわけでしょ。
相談者:
そうです。
森田浩一郎:
これは、あなたが生かされている命があったからだと思うんですね。
相談者:
やっぱり、寿命なんですねー
森田浩一郎:
私はそう思いますよ。
相談者:
私もそう思ったりするんですけど・・
森田浩一郎:
だからね、あなたも、一箇所、二箇所、三箇所、替わられているけど、三箇所目のところでは、お薬をもらって、血圧が下がられているわけですよね。
相談者:
そうです。
森田浩一郎:
その状態でおやりになったらいいんじゃないでしょうか。
相談者:
は、そうですか。
森田浩一郎:
で、時々CTをとって、ちょっとでも、いわゆる動脈瘤が大きくなるようだったら、年をとればとるほど、危険性は高くなりますからねえ。
まだ、81でしたら、全身麻酔をかけたり、いわゆる外科的な処置ができると思いますから、お任せして、この三番目のお医者さんにずっと管理をしていただいたらどうでしょうか。
相談者:
は、そうですか。
森田浩一郎:
それと、もう一つあなたが仰ったけど、医者の前に行くとはっきりしたことを言いにくいって言うけど、皆さんそうなんだけど、私は医者の立場から言うけど、言ってもらった方がずっと、治療しやすいんですよ。
言いなさいよ、かまいませんから。
そのために医者っているんですから。
相談者:
は、そうですか。
森田浩一郎:
はい。
それを聞かないで、うるさいよ、って言う医者だったら替えた方がいいですよ。
相談者:
はー、そうですか。
森田浩一郎:
私はもう5回も癌をやっているんです。
その度にうまく取れたり、放射線かけたり、ずっと、今元気ですよー。
相談者:
あ、そうですか。
先生、甘えて、こんな話していいか・・
森田浩一郎:
いいですよ、どうぞ。
相談者:
あのー、耳を手術しまして・・
森田浩一郎:
え、なーに?
相談者:
耳の手術をしまして・・
森田浩一郎:
耳ね、はい、はい。
相談者:
そして、片耳が聞こえなくなったんです。
森田浩一郎:
それは、私もね、放射線かけたんで、右の耳があまり聞こえないんですよ。
相談者:
すっごく不自由なんです。
森田浩一郎:
ふ、ふ、不自由ですよ。でもね、年を取ればね、目は老眼だし、耳は遠いしね、私は申し訳ないけど、歯は義歯なんですよ。
相談者:
(笑)私もそうです。
森田浩一郎:
ね、でもそれは自然なんですよ、あなた。
相談者:
はい。
森田浩一郎:
んなね、元に戻してって、無理な話。
もっと自然にね、奥様ね、ご主人亡くされて、17年、独りで生きてきたんでしょう?
相談者:
そうです。
森田浩一郎:
幸せに、お嬢さん、2人いるんでしょう?
相談者:
はい。
森田浩一郎:
ときどき会いにきてくれるんでしょう?
相談者:
はい。
森田浩一郎:
お孫さんもいるんでしょう?
相談者:
はい。
森田浩一郎:
人生なにも言うことないじゃないか。
あとは、もう、自分の・・、お薬飲んで、このお医者さんを信じて。
いいですか。
このお医者さんがCT取って、
「大きくなったから、取りましょう」って言ったら、お願いしますって・・
時々あなたが聞いた方がいいですよ。
大動脈瘤・・、外科的にしなくていい・・、これ、おそらく循環器の内科の先生でしょ、診てもらっているのはね。
相談者:
今、外科の先生・・
森田浩一郎:
今、外科の先生。
いや、よけいいいわ。
相談者:
そうですか。
森田浩一郎:
ええ、ありふれた病気ですから。
相談者:
そうですか。
森田浩一郎:
はい。
お任せしたらいいんじゃないでしょうか。
ただ一番困ることはね、あなたが気持ちで、イライラすると、病気が悪くなるよ。
相談者:
涙が止まらなくなって・・
森田浩一郎:
それは、独りだしね、だんだん心細くなるんですよ、年をとると。
たとえ病気になったって、心まで病気にならなくていい、というのが私の主義なんです。
いいですか。
せっかく81まで生きたんだから。
もっと楽な気持ちで生きていきましょうよ。
相談者:
はー、そうですか。
森田浩一郎:
これはね、年寄りの医者でしか言えない言葉だと思いますよ。
若い先生には分かんない。
息子も医者なんだけど、息子と話をしても、私の病気の気持ちなんてのは分からない。
相談者:
あ、そうですか?
森田浩一郎:
お嫁さんも、「お義父さん、元気ですね」って、元気じゃないんだよ、こっちは。
相談者:
(笑)頑張ってるんですものね。
森田浩一郎:
ええ、頑張ってるんですよ、こうやって。
相談者:
そうですね。
森田浩一郎:
うん、みんなね、人のことは勝手なこと言うけどね、やっぱり、私は自分がかわいいんだよ。
奥様も自分がかわいいんだからさ、前の医者、二番目の医者、ぜんぶ忘れちゃいなさい。
今、かかっている医者だけ信じて、万が一のことがあったら、
「あー、いよいよお迎えが来たんだな」
と思うんだな。
相談者:
(笑)そうですね。
森田浩一郎:
うん。
だって、あなた、私たちの人って、戦争で、空襲で死んだりしてんだもの。
相談者:
兄弟も亡くしてます。戦争で。
森田浩一郎:
そうでしょう?
それ考えたら、これだけ長生きできたらいいじゃないですか。
相談者:
そうですねー。
母親より20年長く生きられました。
森田浩一郎:
私なんか父親より2十何年、長く生きてんですから。
相談者:
そうですかー。
ありがとうございます。
元気がでました。
森田浩一郎:
ゆっくりやりましょう。
薬だけは飲むんだよ。血圧のね。
お大事に。
相談者:
ほんとにありがとうございます。
元気出します。
加藤諦三:
生きているということだけでありがたいことです。
(内容ここまで)
加藤先生が、三つの病院の見解を整理した下りでは、
別に矛盾してないでしょ、と思いましたけど。
でも、それを言ってもし方ありません。
相談者は、矛盾に聞こえるんですからね。
やっぱり、気持ちですね、気持ち。
今日の回答者は、森田先生以外は考えられません。
長生きできたらいいじゃないか、
お迎えがきたんだよ、
なんてセリフは、森田先生しか言えないし、素直に聞くことはできないでしょう。
考えさせられたのは、森田先生が
「息子も医者なんだけど、息子と話をしても、私の病気の気持ちなんてのは分からない。」
『お嫁さんも、「お義父さん、元気ですね」って、元気じゃないんだよ、こっちは』
と言ってたところ。
テレビなんかでも、能天気に、
「お若いですねー」
「見えないですねー」
「お元気ですねー」
なんて言ってますが、当のお年寄りはどう思ってるんでしょ。