回避性の人格障害。大人に成りきれない孫への対応
(回答者に交代)
高橋龍太郎:
ええと、お孫さんが、来て、どれくらい経つの?
相談者:
まだ、4日・・くらいですね。
高橋龍太郎:
4日くらいですね。
相談者:
4、5日です。
高橋龍太郎:
だから、ま、あの、本人は、本人なりに、言いたいこと、言いたくないこと、今背負い込んでいる状態だから、いずれにせよ、話し出すときが、あると、思うんですね。
相談者:
そうですね、あの、本人もこれでいいっていう風に思って・・
高橋龍太郎:
るわけではもちろん無いよね。
相談者:
はい。
高橋龍太郎:
その時期を待っても、そんなに長くないですよ。
その、2、3ヶ月先なんてことはないと思うのね。
相談者:
ああ、そうですか。
高橋龍太郎:
普通。
そいで、例えば、自殺騒ぎを起こしたとか、
相談者:
はい。
高橋龍太郎:
そういう、もの凄くシリアスな状況の話だったならば、ほんとに慎重を期すると思うけれど、
相談者:
はい。
高橋龍太郎:
そこまで、深刻な様子は、ちょっと今のお話の流れから伺えないので、
相談者:
はい。
高橋龍太郎:
ま、ゆっくり時間を掛けて待っていれば、一ヶ月以内には自(おの)ずから、それとなく話が出てくると思いますよ。
相談者:
ああ、そうですか。
高橋龍太郎:
ええ。
だから、そんなに焦って聞かなくていいとも思うし、
相談者:
ま、一ヶ月も過ぎて、何も言ってこないようだったら、こちらから逆に声を掛けても、大きな問題になるっていうような事態ではないように思います。
相談者:
ああ、そうですか。
高橋龍太郎:
ええ、ええ。
ま、ほんとに、この仕事・・ありつかねば、社会から決定的に乗り遅れるっていうような、すごく緊迫した貧しい社会ならば、
相談者:
ええ。
高橋龍太郎:
こういう人は、だいたい居ないわけですよ。
相談者:
ああ、ああ、はい。
高橋龍太郎:
2、3ヶ月で辞めたとしても、
相談者:
はい。
高橋龍太郎:
また探せば、アルバイトくらいどこでも転がってるっていう、ある意味でいうと、豊かな社会だから、こういう人たちが実のところ、すごく沢山いるの。
相談者:
ああ、そうですか、はい。
高橋龍太郎:
うん。
で、ただ、それだけじゃ、例えば、精神科として、話になんないから、そういう人たちを、回避性の人格障害って名付けるんです。
相談者:
人格障害?
高橋龍太郎:
うん。
ま、人格障害って言うと、すごく大げさ・・なんだけれど、
相談者:
はい。
高橋龍太郎:
結局、キッチリ、社会的な契約を結んで、仕事をしなきゃならないとか、
相談者:
はい。
高橋龍太郎:
この仕事を・・この勉強をして、きっちり、時間掛けて、勉強しないと、卒業出来ないぞ、っていうことになると、直前に逃げ出しちゃうっていうような、そういうタイプの人たち。
相談者:
ああ、はあ、はい。
高橋龍太郎:
お孫さんだけではなくて、ほんとに今の若者は、大なり小なり、そういう心情はみんな持っていて、
相談者:
はい。
高橋龍太郎:
ちょっと、嫌ならば、もう我慢しないで辞めちゃう。
そういうことを繰り返して、それこそ、親の所に居候で居たり、
相談者:
はい。
高橋龍太郎:
親の方も半分諦めて、そんな人たちを、抱えてたりっていうようなお家は、もう、ほんとにビックリするくらい沢山あるの。
相談者:
ああ、そうですか。
高橋龍太郎:
うん。
で、ま、あんまり、お説教はリアリティを持たないんですよ。
相談者:
ああ、そうですか、はい。
高橋龍太郎:
ううん。
で、だいたいね、そういうときに・・もちろん、僕ら、ストレス耐性の弱さとか、
相談者:
はい。
高橋龍太郎:
人間関係の希薄さとか、色んなことを言うんだけど、友達関係には恵まれているでしょう?
相談者:
まあ、あの、少ない友達なんですけども、なんかゲームして遊ぶとかって、出かけたりするんですけどね。
高橋龍太郎:
うん。
やっぱり、その、職場やなんかでも、いい人間関係に恵まれて・・例えば1年くらい続くと、なんとなくコツが掴めるようになってくるの。
相談者:
ああ、はい。
高橋龍太郎:
だから、ある程度年齢いくと・・まだ、お孫さん24歳だから、30ぐらいまでの間に、なんとなく、世間ていう・・社会と繋がるっていうことがどういうことかっていうことが、段々、少しづつ分かるようになってきて、
相談者:
はい。
高橋龍太郎:
そんな、20も30も、2、3ヶ月で辞めるって人は、そう居ないのよ。
相談者:
そうですね。
高橋龍太郎:
うん、やっぱり、少しづつ、長くなったり、人間関係について、諦めと・・それから、それだけ数打ちゃあ、それなりにいい先輩にも恵まれて、繋がるようになってくるので、
相談者:
はい。
高橋龍太郎:
この子だけ、特別異常な子って思う必要はないよ。
相談者:
ああ、そうですか。
高橋龍太郎:
いずれは、あのお、社会的には、ゆっくりだけど、時間掛けて成熟する。
相談者:
はい。
高橋龍太郎:
だから、僕らの言葉で言うと、社会が成熟すればするほど、人間が成熟しにくくなるってよく言うの。
相談者:
ああ、はい。
高橋龍太郎:
だから、社会が成熟しない、ほんとに、キツキツな社会だと、人間は素早く成熟しないと生きていけないから、すぐ立派な大人になるのね。
相談者:
ええ。
高橋龍太郎:
戦国時代なんかだって、14、5歳で元服で、大人になって、合戦率いたんだから。
相談者:
ええ。
高橋龍太郎:
でも、今の30歳は、ちょうど、僕らの2、30年前の20歳と同じくらい。
相談者:
ああ、はい。
高橋龍太郎:
だから、30になって、ようやく・・昔の大学生くらいかな。
相談者:
ああ、そうですか。
高橋龍太郎:
それくらいの堪(こら)え性の無さだとか、
相談者:
はい。
高橋龍太郎:
なんか、世間をなめてるとか、
相談者:
ええ。
高橋龍太郎:
(笑)ま、古い世代から言われると、そんなキャラクターの人たちが沢山いるので、
相談者:
はい。
高橋龍太郎:
あんまり、心配しなくてもいいです。
それから、ま、当面、あの、お母さんとの関係が煮詰まってしまっているので、
相談者:
はい。
高橋龍太郎:
ちょっと、お母さんの所に戻さないで、ま、唯一、お爺ちゃん、お婆ちゃんの所が、彼にとっての頼りがいのある所なので、
相談者:
はい。
高橋龍太郎:
それでも、別に、甘やかす必要はないから、お爺ちゃん、お婆ちゃんが考えてる世間に対する人間の生き方とか、自分たちの体験談を入れながら話してあげたらいい。
体験談が一番ね、あの、効きます。
相談者:
ああ、そうですか、はい。
高橋龍太郎:
親の体験談は、あまりにシリアスで、耳塞ぐんだけど、お爺ちゃん、お婆ちゃんが、昔こんな苦労して生きてきたんだよっていうような、貧しい時代の人間たちの、辛いけれど、暖かい営みみたいなのは、耳によく残るので、
相談者:
ああ、そうですか。
高橋龍太郎:
そういうお話を沢山してあげてください。
あの、あなたの所に居る間にね。
相談者:
あの、お爺ちゃんの方はですね、あのお、昨日も、そんな、昔話をして、あの、笑ってましたけどね。
高橋龍太郎:
うん、うん。
相談者:
あのお、会話には入ってきますし、
高橋龍太郎:
うん。
相談者:
自分も、あの、テレビの中の話とかを、たまにこう、ぽろぽろって言ったりはするもんですから、まったく閉ざしてるわけでもないもんですから、
高橋龍太郎:
そうでしょうね。
相談者:
はい。
高橋龍太郎:
ま、10歳引くと、もう14歳になっちゃうから(笑)、あれだけど、ま、5、6歳引いて、それくらいの子を相手にしてるくらいのつもりで、
相談者:
ああ。
高橋龍太郎:
ゆっくり育ててあげてくださいな。
相談者:
ああ、そうですか。
分かりました。
ありがとうございます。
今井通子:
お分かり頂けましたか?
(再びパーソナリティ)