施設で野たれ死んだ兄の借金が心配で相続放棄したい64歳の女
(内容ここまで)
最期に見せた兄としての意地
うーん、加藤先生、死んでからも迷惑、なんて厳しいこと言うんだけど、それは今のところ相談者の思い込みでしかない。
それを言うんだったら、少なくとも、相談者が心配するような借金の存在が明らかになってからだ。
現実は、公共セクタによって、全ての処理がなされた後に相談者に知らせが来たわけで、兄の晩年も含めて、死亡にあたっては、何も迷惑はかけていない。
兄が固定資産税の督促状を所持していたということは、両親が亡くなったことも、自分が遺産を相続をしたことも知っていたわけだ。
兄の状況からして、何がなんでも換金に奔走したって不思議ではない。
担保にして借金したり、売却したり。
遺産分割協議が終わっていないので、まともなところは取り合わないかもしれないが、しかし、姉や妹に買取りを迫ることだって出来たはずだ。
昔の兄ならね。
でも、そうしなかった。
それどころか、施設にすら身内の存在を明かさなかった。
これ、決して成り行きなんかではない。
兄の意思だ。
だって、施設の職員は当然、兄に身内の存在を聞くからだ。
つまり、そこで兄は、身内の存在を明確に否定したことになる。
ここに何か、兄の強い決意を感じるんだけどね。
独りで野垂れ死んだのは、諦めか。
最期の最期に見せた、兄としての意地か。