（内容ここまで）

あるヤクザのつぶやきを思い出した。

「ほんとにえげつないなのは、素人さんや」

自分たちは法律は守らないかもしれないが、筋を通すことには非常に厳しい。
シロウトさんのやることは俺たち以上。

自己破産による借金踏み倒しとか、銀行が情け容赦ない貸し剥がしで自殺に追い込むとか、さもありなん。

確かに、毎日のようにどこかで起きている凄惨な事件の大半は、カタギの仕業だからね。

 

今日の兄夫婦だって、やったことは暴力団そのもの。

痴呆の姉をさらって軟禁し、財産を根こそぎ。

怖。

海外旅行に行って、一体どんな会話してんの？、この夫婦。

もうね、サイコパス(*)だと思うよ、こういう人たち。

(*)サイコパス：
先天的異常人格の一つ。
良心を持たない。
人の痛み（身体的、精神的）が分からない。

 

だから、話し合いなんかムダ。
アドバイス通り、法律で追い込むしかない。

でも、これだけの悪事なのに、民事なんだよねえ・・

 基本の相続：相続するのは財産だけではない

さて、

本題からはちょっと逸れるけど、今日の相談で気づかされたのは、「相続」の意味する幅の広さだ。

ほとんどの場合、

「（故人の）財産を相続する」

こういう意味で使ってるんだけど、塩谷弁護士の言い回しは、

「（故人の）立場を相続する」

 

通常、相続人が気にするのは、精々、故人が亡くなった時点での債務。

もし、これが財産を上回っているようなら、つまり遺産がマイナスであれば、相続人は相続放棄すればいいだけだ。

 

ところが、今日の相談はどうだ？

兄が死んだ時点で債務が無かったとしても、死んだ後から起された損害賠償請求を、相続人である兄嫁が負うはめになるということだ。

しかも、もはや、相続放棄できる期限（相続を知って３ヶ月）は過ぎてしまっている。

今日の相談者にとっては救いだが、兄嫁にとっては青天の霹靂（へきれき）だ。

 

こういうの、レアケースではあるんだけど、知っておいた方がいいかもしれんね。

傷害とか、損壊とか、横領とか、交通事故とか、未解決の故人の加害責任が、相続人に降りかかってくる可能性があるということだ。

例えば、素行不良の親戚が亡くなったりしたら、わずかな遺産をもらうより、何も考えずに相続放棄するのが賢明だということになる。