脱税、無年金、借金3千万、無収入。夫と離婚した方がいいか?

(内容ここまで)

2つの不正会計;粉飾と脱税

不正会計には、方向性が真逆の2つがある。

一つが業績を実態よりも良く見せるもの。
もう一つが業績を実態よりも悪く見せるもの。

前者は粉飾で、後者は脱税。

粉飾の目的は、融資を受け易くするために、あるいは経営者自身の評価を上げんがために、あるいは、上場企業の株価対策など。

脱税の目的は言わずもがな。
納税という名の現金流出を抑えるためで、会社の規模に関わらず行われる。

脱税のやり方は、費用の過大計上と、売上げの過少申告。

実は、これ、程度の差はあれど、叩いて埃の出ない会社は無いと言っても過言ではない。

自営業者のレベルだと、やり口に何の知性も感じられなくて、生活費を費用として計上したり、ヒドイのだと売上げを抜いたりね。

これが、細々と行われている分には、まず見つかることはない。
俗に言う、クロヨン(*)だ。

(*)クロヨン:
9・6・4
所得の正確な把握の不公平を示す。
サラリーマン9割・自営業者6割・農家4割
トーゴーサン(10・5・3)とも言う。
また、これに政治家を加えた、トーゴーサンピンというのもある。
(10・5・3・1 最後の1が政治家)

 

じゃ、何で不正がバレちゃうかというと、税務調査だ。

来るべくして来た税務調査

本来、脱税は犯罪なんだけど、税務調査で暴かれる程度のものは、大人しく認めさえすれば、「申告漏れ」として扱われ、犯罪扱いはされない。

ペナルティは加算されるけど、修正申告して、納税すればチョン。

おそらくは今日の相談者の旦那もこれ。
査察(*)なんて言ってるけど、単なる税務調査のことを勘違いしている。

(*) 査察:
検察への告発を前提に行われる悪質、高額事案の調査。
税務調査の場合、あくまで形は任意だが、査察は強制。
人数も税務調査が一人から数人に対して、査察は数十人規模となる。

 

税務調査がいくら任意とはいえ、どれだけ納税額を増やしたかが、署員の「営業成績」となる。

税務調査はしたけど、会計処理は公明正大でした、なんてシャレにならない。

税務調査を受けた会社が調査を長引かせないために、申告漏れを積極的に開示することを、巷では、「お土産を渡す」なんて言ったりするのは、こういう理由だ。

 

税務調査の対象者の決め方は一切公表されていないが、ランダムというわけでもなかろう。

ムダ打ちを避けるために優先順位をつけているはずだ。

匿名の密告なんかも重要な情報源なので、不正会計に心当たりのある経営者は、人に恨まれないように注意しないといけない。

あとは、一目瞭然というのはある。
今日の旦那のケースもたぶん、これ。

工場を新設しながら、利益が出ていない。
あるいは、多数の盆栽と新車を所有しながら、所得が低い。

こういう振る舞いは、税務調査に来てください、と言っているようなもんだ。

 

国税3千万の滞納?

15年間の滞納が膨らんで3千万。
これも相談者の勘違いのような気がする。

だって、延滞税は年15%弱だよ。
カードローンで3千万の借金しているようなもんだ。

第一、泣く子も黙る国税。
取立ては甘いもんじゃない。

税務署の窓口対応は、役所の中でも高評価らしいのだが、それはあくまで善良な納税者に対してだけだ。

彼らは、滞納した零細企業を潰すぐらい何のためらいもない。
払えなければ(*)差し押さえに移るだけだ。

(*) 税金が払えない:
本来は、利益に対する課税なので、これ自体変なんだけど、
もう先に使っちゃっていると払えない。
しかも、脱税は過去7年前まで追徴されるのでね。

 

旦那は、いまだ細々とながら営業を続けてるんだから、納税はなんとかやっている模様。

借金3千万ていうのはバブル時代に建てた工場じゃない?

 

国民年金基金は自営業者の特権

旦那の無年金にはビックリだ。

ビックリの一つは、相談者の夫って、脱税もそうだけど、順法意識がゼロだということ。

「商売がうまくいってれば必要ない」

旦那あ、蓄財もしないで一生働くつもりだったんですか?
それが現実のものとなったみたいでなにより。

 

もう一つのビックリは無知。

ボンビーな個人事業主は別にして、儲かっていながら国民年金保険料を払わないなんて、特権をみすみす手放すことになるからだ。

その特権とは国民年金基金。

「基金」という2文字が付くだけで紛らわしいけど、国民年金とは別。

国民年金の加入は義務だけど、国民年金基金は任意。

ちなみに、義務である国民年金保険料は、掛け金ではない。
勘違いしている人も多いんだけど、自分の年金を積み立てているのではなく、現在の年金制度を支えるためのものだ。

だから、将来の支給額は政府の制度設計に左右される。

 

一方、国民年金基金は自分に対する掛け金だ。
将来の支給額は確定的。

儲かっている個人事業主は、国民年金に加え、国民年金基金にも入るのが普通だ。

将来の年金を増やすことに加え、節税効果が高いからだ。
掛け金は全額、所得控除となる。

掛け金の最大は年約82万。
これを所得から「抜く」ことが出来るわけだ。

 

節税しながら、事実上の蓄財となる。
運営は厚生労働大臣認定の国民年金基金連合会。

安全性も考慮に入れれば、これに匹敵する金融商品はない。
加入しない理由が見当たらないくらい。

国民年金基金に加入するためには、国民年金保険料を払っていることが前提となる。

だから、サラリーマンは国民年金基金に加入出来ない。
(そもそも、自営業者とサラリーマンとの年金ギャップを埋める目的で国民年金基金は創設された)

国民年金基金は自営業者だけに与えられた特権だ。

 

アリとキリギリス

ご存知、イソップ物語。

キリギリスは言うまでもなく旦那。

アリは相談者?

ちょっとその前に、

あまりにも有名な寓話なんだけど、二通りの結末があることは、あまり知られていない。

一つは困窮したキリギリスをアリが助けるというもの。
ここで、キリギリスは歌ってばかりだった自分を反省する。

一般的に良く知られているストーリーだ。

 

もう一つは、
アリはキリギリスを助けないというもの。
実は原作のストーリーはこっち。

これで、何を示唆しているのかと言うと、シコシコと蓄財に励むような奴はケチで独善的だということ。

 

相談者が離婚をためらうのは、自分に対するこういう見方であり、困ったときこそ夫婦は助け合うべきだという常識なんだな。

でもさ、ケチで独善的なのは夫の方だよ。
助け合うのだって夫婦だからこそ。

エモーショナルディボースを認めるんなら、当てはまんないよ。

 

 

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