多産の女はレイプ被害者だった。無意識の必要性

(再びパーソナリティ)

加藤諦三:
はい
今、いいアドバイスを具体的に聞きましたねえ。

相談者:
はい

加藤諦三:
ねえ。

相談者:
はい

加藤諦三:
それで、自分が、覚えていたら、生きていかれないほどのすごい悲痛な体験っていうのは、ないですか?

相談者:
えっと、一つ、と、10・・7歳のときにい、

加藤諦三:
はい

相談者:
と、ちょっと、性的な、もので、ちょっと、あの、外で、レイプを受けたことがあってえ、

加藤諦三:
はい、はい、はい

相談者:
結構、思い出したくもないしい、

加藤諦三:
思い出したくない、そらそうです。

相談者:
も、忘れようと、忘れようとしてるのでえ、

加藤諦三:
はい

相談者:
ただ、でも、それはあ、引っ掛かってるとは思います。
それえ、の恐怖は、やっぱりありますね。

加藤諦三:
その恐怖が

相談者:
はい

加藤諦三:
あって、

相談者:
はい

加藤諦三:
その恐怖・・に対してね、

相談者:
はい

加藤諦三:
なんとかしてこれを消そうとしてませんでした?

相談者:
あ、してました。

加藤諦三:
してましたよね?

相談者:
はい

加藤諦三:
その恐怖を消すための行為っていうのは、どういう行為だと思いますか?

相談者:
・・
そおですね・・

加藤諦三:
つまり、あなたね、

相談者:
はい

加藤諦三:
子どもを産みたくて産んでると言うけれどもお、

相談者:
はい

加藤諦三:
子どもを産まないではいられなかったんじゃないですか?

相談者:
はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ
そおですねえ・・

加藤諦三:
子どもを産むことによってえ

相談者:
はい

加藤諦三:
このレイプを、

相談者:
はい

加藤諦三:
自分の、意識に、上(のぼ)ってくることを防いでいる。

相談者:
ああ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ・・はい

加藤諦三:
あのお、要するに、子どもを産むことが「無意識の必要性」だったんですよ。

相談者:
はい

加藤諦三:
子どもを産まないでは、生きていられなかったんですよ。

相談者:
はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ

加藤諦三:
次々に。

相談者:
はい

加藤諦三:
それは、自分の、

相談者:
はい

加藤諦三:
17歳のレイプという体験、の恐怖から、逃れるためです。

相談者:
はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ

加藤諦三:
だから、それは、ご主人があ、

相談者:
はい

加藤諦三:
もう、ちょっと、俺の給料じゃ、無理だよ、と。

相談者:
はい

加藤諦三:
言ったからってえ、

相談者:
はい

加藤諦三:
産まないではいられないですよ。

相談者:
はあー

加藤諦三:
そら、産むなって言うことは、

相談者:
はい

加藤諦三:
アルコール依存症の人にい、

相談者:
はい

加藤諦三:
お前酒飲むなって言うのと同じですから。

大原敬子:
うん・・

相談者:
はあ、はあ・・

加藤諦三:
この、お子さんたち、産んでなければ、あなた・・パニックになってましたね。

相談者:
あー
・・
そおですねえ・・

加藤諦三:
だから、あなたが、生きていくのは・・自分の責任じゃないですから。

相談者:
はい

加藤諦三:
この自分の運命に、どういう態度で、

相談者:
はい

加藤諦三:
立ち向かうかっていうことに、あなたの、偉大さが掛かってんです。

相談者:
はい

加藤諦三:
運命で人は、の、価値は分かりません。

相談者:
はい

加藤諦三:
その運命に、どういう態度で臨んだかっていうことが人間の価値なんです。

相談者:
はい

加藤諦三:
自分の、宿命を、担ってえ、

相談者:
はい

加藤諦三:
これだけのものを持ってますけれども、あなた、すごい強いから、

相談者:
はい

加藤諦三:
根が。

相談者:
はい

加藤諦三:
立派にやっていかれると思うんですけれどもお。

相談者:
はい

加藤諦三:
大原先生

大原敬子:
もお、今、はっきりと、あ、そうか、17歳のあの事件を、

相談者:
はい

大原敬子:
自分の痛みを、ダメージを、心ん中で、自分なりにね、

相談者:
はい

大原敬子:
乗り越えるための、知恵だったんだなあ、てことをね、

相談者:
はい

大原敬子:
感じました。

相談者:
はい

大原敬子:
がんばってきましたよねえ。

相談者:
はい

大原敬子:
是非、あの、今ね、

相談者:
はい

大原敬子:
あのお、お兄ちゃん?

相談者:
はい

大原敬子:
是非、あなた自身が変われば、このお兄ちゃま、すごい、いい子ですよ。

相談者:
はい

大原敬子:
そしたら下の子も看てくれますよね?

相談者:
はい

大原敬子:
今回、良かったですよね?、加藤先生伺ってね?

相談者:
はい、良かったです。

大原敬子:
ある面では、人生の清算ってあるんですよ。

相談者:
はい

大原敬子:
気づかなかった・・わたしたち、年をとっていくんです。

相談者:
はい

大原敬子:
でも、そうか、自分は、いいと思ってやった行為が、

相談者:
はい

大原敬子:
あのときの、あの補填のために、あるいは、人生消しゴムのように消せればいいですよねえ?

相談者:
はい

大原敬子:
消せないから、そこにい、色んなものを積み重ねて、いいと思ったことが、また逆に、

相談者:
はい

大原敬子:
変な形になってしまうんですよねえ?

相談者:
はい

大原敬子:
でも、まだ28歳でしょ、先生、もう、十分ですよねえ。

加藤諦三:
うん、もう、十分です。

大原敬子:
すごいですよねえ?

加藤諦三:
うん

大原敬子:
びっくりしました。

加藤諦三:
これから素晴らしい人生、

大原敬子:
はい

加藤諦三:
開けます。

相談者:
はい

加藤諦三:
よろしいでしょうか?

相談者:
はい、ありがとうございます。

加藤諦三:
はい、どうも失礼します。

相談者:
はい、失礼します。

加藤諦三:
人を動かしているのは無意識の必要性です。アンコンシャス・ネセスィティ(Unconscious Necessity)

(内容ここまで)

シュールだねえ。
多産とアルコール依存を一緒にされちまった。

生活苦も厭(いと)わずに子どもを産む。
体が蝕まれるのも厭(いと)わずに酒を飲む。

そうしないといられない。
行為の源泉が「無意識の必要性」であるという点で両者は同じということなんだな。

他人から見て、どんなに非合理な振る舞いであっても、当人の無意識はその行為によって精神のバランスを保とうとしている。

だから、その非合理な行動だけを排除することは出来ない。
排除すればパニックになる。

「無意識の必要性」は、防衛機制(ディフェンス・メカニズム)と言われたりもするんだけど、それはあくまで心のためであって、身体的、社会的には破滅的なものになることも多い。

レイプという強烈なトラウマを抱えて生きていくためには必要悪だった。

でも、

大原敬子 「もう、十分」

防衛機制は少しづつ外していっていいのかもしれない。

そのためには、無意識下のものを意識下に置く必要があって、これを「認知」と言う。
アルコール依存の例えは、短い時間でそれを成し遂げようとしたわけだ。

 

相談者自身が機能不全家族の下で育ってるんだと思う。
少なくとも10代は非行に走った。

わずか6歳の息子に実の父親でないことを告げる。
わずか9歳の息子のウソを問い詰める。

こういうのは、相談者が受けた仕打ちの反動であり、あいつらとは違うという自己主張だ。

とにかく、ウソは嫌。

良いウソと悪いウソ、
大人のウソと子どものウソ、
この立て分けができない。

自分は絶対にどんなことがあってもウソはつかない。
息子の感情よりも、そっちの方が上にくる。

 

相談者の話にグレてたときの名残があって面白い。

「手グセが悪い」

それ息子に使う言葉じゃないから。

「現認した」

刑事かよ(笑)

 

あと、感心したっていうか、ほんとは違和感なんだけど、この人、泣かないんだよね。

レイプを告白してからは、だいぶ鎧も取れてるはずなんだけど。

加藤 「運命で人の価値は分かりません」
大原 「がんばってきましたよねえ」

ここら辺、刺さってもいいんだけどねえ。
刺さったら、泣くでしょ。

礼儀正しくて、泣かない。
さすが元ヤン。

加藤 「あなた強い」

 

 レイプ被害者の防衛機制

合理化

理論化して納得させようとする。
男は理性のない低劣な生き物であり、自分はその被害者。
レイプを犬に噛まれたレベルに矮小化する。
男を避け、男を軽蔑して生きる。

反動形成

受け入れ難い衝動を、正反対の行動をとることで抑圧する。
自分にとって、小さな出来事だったと信じ込ませようとする。
セックス依存症になったり、風俗産業で働く。
石原真理(旧 石原真理子)さんの男性遍歴の告白は話題となった。

自虐

相手に対する感情を自分に置き換える。
自分を責める。
抑うつ、自傷行為。

補償

被害によって生じた、自分は普通の女性ではないという劣等感を補おうとする。
普通の女性像を追いかけ、追い越してしまう。
今日の相談者はこれに近い。

子どもを産んで母となる。
自らのコンプレックスを隠すのに、これ以上の道具はない。

置き換え

対象を他で代替すること。
相談者が、中絶を懇願する男たちを前に出産を貫くのは、間接的な復讐であり、彼女の憎しみを癒(いや)す。

 

 

多産の女はレイプ被害者だった。無意識の必要性」への1件のフィードバック

  1. 復讐の為に子供を産む。
    女にしか出来ない復讐。
    生まれた子供は愛されるのだろうか。

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