なし崩し的に負担した兄の葬儀費用。姪が受け取る遺産を貰えないか?
(再びパーソナリティ)
加藤諦三:
はい、どうも、失礼しますう。
相談者:
はい、ありがとうございましたあ。
加藤諦三:
葬儀には、その人がどのように生きて来たかという人生が表れます。
(内容ここまで)
民法の法定相続分というのは、最大公約数的なフツーの家族をモデルに設定されている。
曰く、親子は生計を一にし、互いに扶養義務があって、夫婦は長年助け合って生活する。
一方、子どもたちは、親に扶養された後、やがて別世帯になって、兄弟姉妹間に経済的な依存関係はない。
これが、法定相続分における直系主義と、配偶者に手厚いことの背景だ。
だから、フツーの家族でない場合、途端に実態にそぐわないものとなる。
ジジイをたぶらかして昨日籍を入れたばかりの妻も、金婚式(結婚50年)を迎えた夫婦と同じ法定相続分が適用されるし、家出した放蕩息子であっても、いれば故人の兄弟に相続権はない。
よくやったと思うよ、相談者。
立替のつもりだったとしても、虎の子の150万。
まったくもって世話の焼ける兄貴だ。
だけど、別居中の旦那が動いてくれたみたいで良かったじゃん。
子どもたちも出席してくれたしさ。
困ったときにアンタの元に駆けつけてくれた、かつて一緒に暮らした家族。
ものは考えようで、こういうことでもなければ分かんなかったんじゃない?
だとしても、中川弁護士言うように、兄の遺産は道義的にアンタがもらうべきだ。
が、しかし・・
中川: 娘さんが、ごくノーマルな方であれば、普通は(費用負担に)応じるはず。
甘い。
甘すぎる。
逆でしょ。
応じないのがノーマルだ。
そら、事後報告だったらあり得るよ。
身辺整理に故人の預金を使いましたよと。
こうであれば、し方がないと納得することもあるかもしれん。
ところが、事、既に遅し。
手順はそうはならない。
預金の解約金も、互助会からの一時金も、まず姪の口座に全額入るわけだよ。
一旦手にしたカネを差し出すか?
しかも、それは義務でもなんでもない。
しかも、世話になった覚えもない、顔すら思い出せない叔母だ。
親とも思っていない父親の妹だ。
姪からしたら、「どのツラ下げて?」
だいたい、互助会はともかく、銀行口座が凍結されたのはどうして?
たぶんアンタ、自分から窓口で、「兄が亡くなって・・」って言ったでしょ。
うかつだったねえ。
いずれにしても、もはや正攻法ではダメ。
あんまり執着してなさそうな雰囲気だけど、もしアンタが本気なら、やりようはある。
別に、姪と闘おうってことじゃないし、頭下げて恵んでもろおうってことでもない。
そんな手間のかかる、みみっちい話じゃなく、遺産を根こそぎ頂いてしまおうっていう作戦だ。
絶望からの大逆転。
一円の遺産も姪に渡さない
アンタの最大のアドバンテージは、今現在、兄の遺産を管理しているってこと。
だからこそ、口座残高も、互助会からの支給額も知っているわけでしょ。
さらに姪は、アンタの兄の生活状況をまったく把握していないってこと。
そして、兄には家賃滞納という借金があったということだ。
これらのアドバンテージを最大限利用する方法を教えてあげる。
借金がなぜアドバンテージとなるか?、読んでくれれば分かる。
何をするかって言うと、姪に相続放棄させるわけだ。
姪が相続放棄をすれば、相続処理上、兄に子はいないことになって、アンタら姉妹に相続権が回ってくる。
その相続放棄の促し方なんだけど、
トーンはお知らせ調、叔母の姪に対する親切心。
で、当然、伝えるのは借金の存在だけ。
銀行預金や、互助会のことには一切触れずに、「他は調査中」とでも書いておけばいい。
事実、銀行にも、互助会にも、相続人でもないアンタは残高照会すら出来ないんだから、あながち嘘でもない。
第一、ビジネスでも、法的にも、知っていることを教えないことを指して嘘をつくとは言わない。
この手の文書は肩書が威力を発揮するから、書面の送付ぐらいは弁護士か、司法書士に依頼するといい。
ついでに、相続放棄の必要書類、返信用封筒を同封しておく。
姪は、一人住まいの家賃すら滞納する父親にプラスの遺産があるなんて想像できまい。
多少疑いを持ったとしても、アンタの協力なしに、疎遠だった父親の遺産調査は不可能だ。
しかも相続放棄の期限は通知から3ヶ月。
これを過ぎれば自動的に債務者になることを、しれっと書いておけばいい。
これで、預金はもちろん、互助会の一時金も、さらに兄名義の不動産も、すべてアンタら姉妹のものだ。
すべてが終わったら、お礼を口実に旦那と子どもたち誘って、いいモン食いにでも行けよ。
弔ってくれた妹へ、お兄ちゃんからのプレゼントだ。
中川弁護士はいつも弁護士を通してっていうけど、こんな小さい金額の事案
手付金と成功報酬、諸費用いくらかかるか知ってて、勧めるのは納得いかないです。