女手一つ家族を支えた成年後見人がフライング。解任に納得できない
(再びパーソナリティ)
ドリアン助川:
あ、よかっですね
もしもしい?
相談者:
はい
ドリアン助川:
あのお、脳こうそくのご主人がいて、長い間支えて来られて、
ですから、
相談者:
当たり前です、本当は。
ドリアン助川:
いえ、あのお、ですから、お金の問題って、なんかね?
あのお、ややこしくしてしまうんですけども・・
あのお、むしろ、そこから離れられた方が・・
相談者:
はい、ありがとうございます。
ドリアン助川:
はい、失礼します
相談者:
はい
(内容ここまで)
ふうん・・
4年前の解任ねえ・・
そろそろほとぼりが冷める頃・・
てか?
聞く耳をもたない裁判所のせいで、年間60万円の出費を余儀なくされている・・
てか?
温情的措置なのに。
裁判所批判とか、どの口が。
起訴されなかっただけでも感謝しとけ。
この番組の真骨頂は、気持ちの部分で相談者のウソを暴くこと。
だけど、マジの悪事の場合はそれやるとシャレにならない。
なので、どんなに見え透いていても暴いたりはしない。
相談者の説明を前提に回答するのが常。
し方がないからアタシがやる(笑)
最初に言っておくと、”悪事”は言い過ぎかもしれん。
オバアが一家を支えて来たことには違いなく、家族思いの頼もしくて優しいアンマー(*)だ。
(*)アンマー: 沖縄の方言で、お母さん
ただし、ルールに反したことは確かで、解任だけで済んだことを良しとしないといけない。
何より一番まずかったのはウソをついたこと。
これが裁判所の心証を決定的に悪くした。
シンプルな解任理由
まず、オバアの話を時系列に整理してみよう。
- オバアは自分の退職金2千万を保有していた。
- 保険金一千三百万が夫の口座に入金される。(息子が家を建てようとするのと同じ時期)
- オバアは自分の口座から一千万を下ろして、現金で息子に渡し、夫宛の受取証を作成した。
- その二日後にオバアは夫の口座から一千三百万を下ろして、自分の口座に入金した。
- 成年後見人を解任される。
解任理由は4、
だけ。
成年後見人の唯一無二の役割
ここで成年後見人について基本的なことを。
オバアの旦那さんは寝たきりだけど、それと成年後見人制度は全く関係ない。
ホーキング博士(*)に成年後見人を付けることはできない。
(*)ホーキング博士:
スティーヴン・ホーキング、英
ブラックホール理論の提唱者。
長年、筋萎縮性側索硬化症にあって、晩年の意思疎通は重度障害者用意思伝達装置を使用。
2018年3月14日 76歳没
オバア 「主人は意識がなく」
これが成年後見人が必要とされる理由。
本人の法律行為を代行する人を国が選任することになる。
選任された成年後見人の役割は被後見人の財産の管理。
もちろん被後見人のために使うのは問題ないし、夫婦であれば婚費だって負担させていい。
で、成年後見人は被後見人の資産状況を裁判所に報告することになっている。
日常的な支出は定期的な事後報告で構わないが、高額な場合や目的が微妙な場合は事前に裁判所に問い合わせることが良しとされる。
大ごとにしなかった裁判所
上に挙げたオバアのやった4の行為がイケナイことに議論の余地はない。
しかも、注意で済ませるには金額が大き過ぎる。
担当官の顔色が変わった。
被後見人の口座から使途不明の多額のお金が引き出された。
成年後見人による着服だ。
妻が夫の口座からへそくりするなんてことは、どこにでもある話なんだけど、これと全く同じ行為が成年後見人制度の下では刑事罰となる。
成年後見人というのはかくも重い責任を負っているということ。
おそらく、オバアは指摘を受けてすぐに旦那の口座に全額を戻したと思われる。
で、オバアのウッカリ勘違いということで収めてもらった。
だけど、本当はうっかりなんかじゃないよね?
裁判所もそれは分かっている。
で、審判手続きによって解任&弁護士を選任。
これを温情と言わずと何という?
オバアの稚拙なウソ
オバアの言い分は、夫の口座から下ろした保険金一千三百万が自分のものだということ。
で、その説明がコレだ。
オバア
「
死亡保険金を掛けていたのが、180日継続入院しましたらね、死亡保険金が下りるからね、『手続きお願いします』って来ましたから、千三百万円を主人の通帳に入金してもらいました。
そして『受取人は妻です』って言うから、下ろして私の通帳に振り込みました。
」
どっから突っ込んでいいのやら・・
よくまあ、裁判所相手にこんな言い訳したもんだ。
まず、死亡保険金を死亡以外の事由で支払う生命保険はこの世に存在しない。
さらに、特段の理由もなしに、保険金を受取人以外の口座に振り込む保険会社もない。
百歩譲って、夫が受取人になっている保険金を、成年後見人である妻の口座に振り込んでくれるような融通の効く保険会社があるかもしれない。
であっても、その逆はない。
オバアが受取人になっている保険金を旦那の口座に振り込むのは、どう逆立ちしてもあり得ない。
そうする理由がない。
だから、夫の口座に振り込まれた保険金は、夫が受取人としか考えようがない。
ていうか、こんなの、誰かがこう言った、ああ言ったとかじゃなく、契約書を見せれば終わる話だ。
書いてあるんでしょ?
被保険者は夫。
死亡保険金の受取人がオバア。
オバアのものにするためは、死亡保険金と言うしかなかった。
だけど、今回支払われたのは満期保険金。
ちなみに、その保険商品を当ててあげよう。
ズバリ、養老保険。
これに最長180日の入院給付特約を付けたものだ。
養老保険というのは貯蓄性を持った生命保険で、死亡保障が低い上に保険料は高め。
その代り満期保険金が多く、死亡保険金と大差なかったりする。
生命保険付き定期預金と言えば分かり易い。
金利の高かった頃に流行った商品。
オバアの旦那が契約したのは、当然、脳こうそく前だから、まさにバブル期の高金利の頃。
で、満期を迎えた。
金額は、満期保険金に入院給付金180日分を加えたもの。
くどいようだけど、受取人は被保険者で生存中の夫。
受領証の宛名を旦那にしたワケ
ついでに、その他のオバアの行為についても、その企(たくら)みを確認しておこう。
まず、オバアが自分の口座から下ろして息子に渡したにも関わらず、受領証の宛名を夫にした件。
これは夫の口座から下ろした一千三百万の保険金を咎(とが)められたときの第二の矢。
もし、下ろしたお金が自分のものだという主張が却下されれば(実際、却下された)、そのカネは夫の財産なんだから、次に裁判所が尋ねるのは、その使い途。
そのとき、息子の新築の援助に使ったのであって、それは夫の意志だった、なぁんていう言い逃れをするつもりだった。
絶対に認められないけどね。
オバアは、この受領証をうっかり最初に提出してしまったことを悔やんでいるんだけど、そんなことはどうだっていいこと。
実際に予定していた言い逃れをすることになったけど、裏工作が裁判所の心証を悪くしただけ。
もはや、ウッカリが通用しなくなってしまった。
今だに継続中の犯罪行為
さらに、一千万もの金額をわざわざ現ナマで息子に渡したワケ。
これはもう、古典的な贈与税対策。
脱税。
息子の発案かもね。
オバアは家族想いだねえ。
つまり、オバアが欺(あざむ)こうとした相手は裁判所だけではなく、国税も。
この犯罪は今も継続中。
果たして一千万円もの贈与が無申告で通せるか?
答えはもう少し先になる。
贈与税の時効は7年。
家の新築というのは登記情報から簡単に浮かび上がるんだが・・さて。
いずれにしても、オバアの言う「誠心誠意やってきた」とは、身内限定。
国や法律は含まない。
成年後見人って、月5万もかかるの知らなかった!
財産の額によって手数料かわるのかなぁ。
1000万を手渡しするのもびっくりした!
具体的な金額言ってくれるおもしろい。
管理人さんに心よりお礼申し上げます
長文感謝です
ここまでの解説他に誰がしてくれましょう?
超面白い読み物になってます
自分が全く物を知らない事に愕然とします
知識があればここまで面白く聞けるのかとシミジミ読ませていただきました
ありがとうございました
解説に脱帽です。
贈与税?普段どれだけ税金意識がないのかの裏返し
田舎で素朴
その実、根性悪く自分さえよければ良し
スローライフに憧れた都会者が絶望する現実
素人が誤魔化して弁護士に相談したのか・・
わざわざ振込にせず現金手渡ししたあたりかなり心証悪い
ほんと解任だけで済んだのは、本土にくらべいささかユルイ沖縄の裁判所のおかげかな。