利己的な自分は隠せない。姉の晩年でしくじり金も親子関係も失う女75歳

(再びパーソナリティ)

加藤諦三:
もしもし?

相談者:
はい

加藤諦三:
ま、今、塩谷先生にいいアドバイス伺いましたよね?

相談者:
はい、ありがとうございました。

加藤諦三:
あの、要するにあなた・・で「3分の1でいい」なんて、こんな立派な事言ったのに・・

相談者:
うん

加藤諦三:
周りの人はあ・・

相談者:
うん。そ、それがなんか仇になっちゃってるって感じ・・

加藤諦三:
そうなんだよね。

相談者:
なんですね。

加藤諦三:
ううーん

相談者:
うん

加藤諦三:
あのねえ?・・

相談者:
今それを思ってます。

加藤諦三:
物凄い、え、非利己主義な・・あの、立派な事なんだよ、非利己主義でね?

相談者:
うん

加藤諦三:
だってこ・・自分のもとに来る物を、

相談者:
うん

加藤諦三:
「3分の1でいい」って言ったんだから。

相談者:
うん・・うん

加藤諦三:
だけどお、その、立派な非利己主義の・・

相談者:
うん

加藤諦三:
言った言、葉が、ですね?

相談者:
うん

加藤諦三:
・・「みんなわたしの事を大切にしてね」っていう・・ことがあったから・・

相談者:
ん、そうだねえ

加藤諦三:
う、うん、そこでえ、ちょっと・・

相談者:
うん

加藤諦三:
無理していい人を演じるとねえ?

相談者:
ですね。

加藤諦三:
上手く行かないんですよ。

相談者:
そうですね、今、ほんーとにつくづく思ってます。

加藤諦三:
ん、あよう、良かったじゃないですかあ?

相談者:
はい(苦笑)

加藤諦三:
75歳の時に、これ、学んでえ・・

相談者:
はい

加藤諦三:
そしたらこれから先、ハッピーな人生になりますよ。

相談者:
はい

加藤諦三:
最後は、幸せな人生になります。

相談者:
はい

加藤諦三:
自然といい人間関係になります。

相談者:
はい・・はい

加藤諦三:
はいどうも失礼します。

相談者:
はい、どうもありがとうございました。はい、失礼します。

加藤諦三:
無理した非利己主義の事を、神経症的非利己主義といいます。


(内容ここまで)

企業向けのサービスを提供してて値切られることはしょっちゅうなのだが、そのとき未実現の利益を匂わせてくる輩がいる。

「今回良かったら来年も利用しますから」
「他の部署でも使う可能性がありますから」

情熱や誠実さや言葉じゃなく、エサを与えれば人が動くと思い込んでいる底の浅さ。

アンタも何の前提もつけずに三分の一づつの分け前を約束したんなら守んなきゃ。

 

これ、少なくとも法的には揉めようがない。

だって相続人は婆さん一人だけ。
遺産分割協議書も作る必要がないし、弁護士も出る幕がない。
銀行だろうが証券会社だろうが、姉の戸籍謄本と、婆さんの本人確認ができるものを持って窓口に行けばいいだけだ。

司法書士に頼むとすれば不動産の名義変更くらい。

 

婆 「しくじった」

(笑)
だねえ。
本人が希望する弔い方に異を唱えるとかさ。

ちょこまか動いて墓穴を掘った感。
アンタは遺産のことなんか気にしてない風を装って黙って姉の看護をしていればいいだけだったのに。

子どもに分けたかったら、姉が逝った後でアンタの手から渡せばいいだけ。

これで子どもたちはアンタを無碍にはできない。
少なくとも表面上は今より穏やかな老後を手に入れることができたの。

 

伏線はあったんじゃない?

アンタは三分の一づつの提案で自己満に浸ってたようだけど、姉にしてみれば自分の財産を差配されているようでいい気はしない。

何より自分の遺産をあからさまに話されるのは不愉快。

葬式のやり方にまで口を挟まれて、ついに堪忍袋の緒が切れたってだけ。
やっぱ頼るのは姪しかいないって思われちゃった。

 

もっとも、金目の話に限れば、まだそんなに悲観することはない。
姉が現金を子どもたちに渡していたとして、不動産は?
名変まだでしょ?
だって贈与するには目立ち過ぎるから。

じゃ、それ、アンタのもんだ。
アドバンテージは依然アンタにある。

なんだけど、娘夫婦は我が物顔で姉宅に出入りしてるよね?
もしかして、そこで暮らすつもりなのかもしれん。

だけど、紛れもなくアンタのもの。
かと言ってアンタが所有権を主張すれば娘との仲は修復不可能になる。

どする?

 

婆 「私は貰われっ子」

つまりは養子。
血の繋がりの有無までは知らないけど、少なくとも法手続きによる姉妹なわけだ。

しかも養親にはすでに姉という実子がいて、アンタも女子。
これだとどうしても「里子に出された」というイメージしかない。
経済的な理由か、未婚の母か、逃げた女房か、etc.

いずれにしても、今日の相談でアンタが養子か否かなんて1ミリも関係ない。
なのに、言わずにはいられないのね。

しかも「貰われっ子」なんていう自虐。
きっとそのことを否が応でも自覚させられてしまう生い立ちだったに違いない。

それこそがアンタの人生の土台。
アタシの苦労を皆にも分かって欲しい。
同情して欲しい。

自分が譲れば人は自分を嫌わない。居場所ができる。
これがアンタが身につけてしまった心理的取引。
生きるための策だ。

貰われっ子のアンタと実子の姉はゆるやかな主従関係。
そしてアンタは自分の娘すら姉のご機嫌取りの道具にして来た。

自分から三分の一づつの遺産分配を提案したのも、姉の気持ちを忖度したつもり。

だけど本当は、自分が姉の遺産を独り占めするつもりだと、姉に見られている気がして、その居心地の悪さから抜け出したかっただけ。

姉 「仲良くやって行って」

仲が良ければこんなことは言わない。
壊れるような母娘の関係は元々なかった。

 


利己的な自分は隠せない。姉の晩年でしくじり金も親子関係も失う女75歳」への2件のフィードバック

  1. 管理人さんの解説でやっと腑に落ちた。
    そうだね、貰われっ子が人生に染み込んでるんだね。なんだかかわいそうな気持ちになったよ。

    娘ともうまくいかない原因もそこにあるのかな。
    私は苦労してきたのに。っていう。

    書き起こし、コメントに感謝しております。

  2. もったいないなぁ
    この解説で婆さん救われるんじゃないの?
    根本は何も解決しなくても。
    嘘や見栄を張らず、賢い人に状況を
    相談するのはものすごい事なんだわな
    まあ、そもそも素直になれる人が
    困る状況に成りにくいとも

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