ADHD(注意欠陥・多動性障害)と診断された5歳の息子。迷う母親へのアドバイス
テレフォン人生相談 2014年8月15日 金曜日
相談者: 女43歳 夫50歳 子ども4人(男18歳 女13歳 男5歳 女2歳)
相談内容: 5歳の男の子の育て方
パーソナリティ: 加藤諦三
回答者: 大原敬子(幼児教育研究家)
今日の一言: なし
(今日の一言とは加藤氏が最後にいう言葉です。)
相談者:
5歳の男の子が、毎日、幼稚園に、行きたくない、行きたくない、と言う。
幼稚園が無い日には、
「やったー!」
と言う。
半年前から。
きっかけがあって、
転入生が入ってきて、その子から、からかわれていて、それがつらいと。
叩かれたりもする。
加藤諦三:
(からかわれるの中に)叩かれることも入っているんですか。
相談者:
はい。
お腹を蹴られたりということもありました。
先生にも相談して、
子どもどうし相談したということでした。
先生も一緒にですが。
加藤諦三:
叩いたりしてる方も男の子ですよね。
あなたのお子さんにだけなんですか?
相談者:
特にうちの子にする。
それは先生には確認していないですが。
加藤諦三:
なんで、狙われるんでしょうね。
相談者:
実は、うちの子は発達障害の診断を受けていて、
落ち着きがなく、じっとしていられない。
で、いじめてる子も同じようなタイプなんです。
加藤諦三:
2人がクラスで孤立しているわけではないんですよね。
相談者:
どちらかというと、うちの子が孤立している感じ。
みんなの中に入れない、うまく遊べない。
加藤諦三:
家族の中ではどうですか?
相談者:
いつも喜んで、姉にも懐いて。一緒にごはん食べてワイワイにぎやかに。
家に帰ると明るいです。
幼稚園に迎えにいくと、今日もいじめられた、今日も辛かった、とか第一声で言う感じ。
加藤諦三:
あなたに助けを求めてる?
相談者:
そうだと思って、共感するように、ずっと続けてきたんですが、
昨日になって、
「もう、お母さん、分かっとるって!」
私がこういう同じような対応しかできなかったので、もう言わなくても分かってるってニュアンスだった。
加藤諦三:
この子からすると、うるさいといった感じなのかな。
相談者:
そういう風にも感じました。
一番この子にうるさく言ってきたと思う。
食事のときとか、ちゃんと座りなさいとか、姿勢が悪いとか。
加藤諦三:
他の子には?
上の子には・・
相談者:
言ってきましたけど、今は言いません。
加藤諦三:
どんな風に接したらということですね。
(回答者に交代)
大原敬子:
とっても不思議なんです。
おっしゃってることは、行きたくない、お姉ちゃんになついている、発達障害、転入生にいじめられている。
これだけなんですね。
発達障害って、いつ、どういうきっかけで言われました?
相談者:
幼稚園の先生が検査をした方がいいと勧められて。
大原敬子:
何歳のとき?
相談者:
3歳のとき受診しました。
大原敬子:
どういう病名?
多動症、ADHDです。
(ADHD:注意欠陥・多動性障害)
大原敬子:
間違いないって言われました?
多動性はわかるんですが、この子はね、五感が優れているんです。
相談者:
仰るとおりです。
大原敬子:
もう一つ不思議なのは、上のお子さんは赤ちゃんから育てたんですか?
あ相談者:
違います。
大原敬子:
上の2人は違う(血がつながっていない)んでしょ?
相談者:
はい。
大原敬子:
前の奥さんとか、そういうこと?
相談者:
はい、前の。
大原敬子:
納得しました。
上の子にも(厳しく)言いましたと仰ったでしょ。
だとしたら、あなた25歳くらいでしょ。
背中曲がってるとか、その年で言えるかな、って思ったんです。
で、そうしたあなたが、この5歳のお子さんにここまで動揺するかなって、不思議だったんです。
あなた、初めての子育てなんですね。
相談者:
はい。(泣く)
大原敬子:
そしたら苦しいですね。分かります。
あなたがゆとりを持って子育てすれば、この子はね、伸びるんですよ。
今日こういうことがあったとか、いじめられたとか、仲間に入れないとか、この子は全部状況が分かっているんです。
行きたくないって言ってるのは、周囲がどうみてるかも分かっている。
これだけ周囲を感知しているお子さんが、あなたが嘆くようなことではないと私は思ってます。
それとですね、診断されたとしても、3歳まではね、分からないですよね。
あなた不安があるんじゃないの。
それはご主人様との関係じゃないかなと思っているんですが、
あなたと夫との関係に何か不満、あるいは自信を失くしている何かがあって、
その状態で、3歳のときの病名が頭に入っていて、幼稚園で何かあったときに、どうしようもなく不安になってお電話してきたんじゃないんですか?
相談者:
そのとおりです。
大原敬子:
この子、いいものを持ってますよ。
相談者:
この子(5歳の男の子)が一番かわいい。
大原敬子:
優しいですよね。
相談者:
とっても優しい。
いつも私を思ってくれてて。
大原敬子:
私はね、幸せって何だろうって思うんです。
形ではないんですね。
これだけ優しい息子さん。
こんないい子はいませんよ。
産んだことを信じること。
劣等感ありますよね。
その劣等感を、子どもに植えつけるのは親なんです。
私は鼻ペチャなんです。
母は無言でした。事実だって。
でも祖母が言ったんですね。
「神様が決める鼻なんだって。
谷に咲く花は低いでしょ。
敬ちゃん(大原)の鼻は谷間の花。」
谷間の桜でも、力いっぱい咲いた花は、みんなが見下ろして見てくれるんですって。
それで鼻が低いっていう劣等感がなくなったんです。
(へー、へー、と涙ぐみながら相槌を打つ相談者)
存在を認めてくれる人がいれば、生きる勇気が持てるんです。
祖母が私に言ったのは、
「敬ちゃん、あなたいい子になるわよ」
そればっかりですよ。
で、そういうものかと思うようになるんです。
あなたが、この子が不幸になるわけがない、そう思って育てれば、この子は力強くなりますよ。
子どもっていうのは、私が守ること。それが愛ではないかなと思ってるんです。
発達障害?、いや違う!って。
私が烙印を押して何になるんだって。
(相談者のすすり泣きが聞こえる)
あなたはまだ43歳。
私の祖母は70いくつ。
自分がいつ死ぬか分からない中で私を守ってくれた。
(大原も泣き出す)
今は、頭いいとか悪いとかじゃなく、きれいとかじゃなく、自分を信じる力をもらって、私は祖母に感謝しています。
この坊やちゃんを、お母さんのあなたが信じているんだと。
お母さんが、あなた(子ども)の全部を飲み込んでくれるってことですよね。
命をかけるってそういうことじゃないですか。
あなたが泣いた涙をもう一回飲み干して、この子を信じて。
明日から、この子の幼稚園の事情を決して批判しないでね。
「そうだったの、お母さんと一緒、強ーい」って言ってあげる。
この子もこれから色んなことがあります。
それがその子が生かされている運命なんです。
どんな花が咲くかを楽しみに、
信じて、この子を。
相談者:
ありがとうございました。
(再びパーソナリティ)