加藤諦三ロングインタビュー。大竹まことゴールデンラジオ

大竹まこと:
なるほど(含み笑い)・・神じゃない。

加藤諦三:
だからもう・・人間はもう、どうしようも・・最初の話とおんなじです。
なんでこんなに生きにくいのか?と。
なんでみんな電車ん中で、こんな憂鬱な顔してるのか?と。
なんで街の中でこんなにイライラしてんだ?っていうのは、やっぱり、本当の自分に気がつかないで、偽って、偽って、
「あんた嫌いだよ」って言えないから。

大竹まこと:
ホントは嫌いなのに。

加藤諦三:
そうです。ホントは怒りたいんですよ。

大竹まこと:
怒りたいんだけど、上下関係で怒れなかったり。

加藤諦三:
怒れない。だから憂鬱になるんです。

大竹まこと:
もう一つ、輪を広げていいですか?
世の中で、今、たくさんの人を殺したりする人がいますね?
それでその人に聞いてみると、
「別に恨みはなかった」と。
「誰でも良かったんだ」と。

加藤諦三:
誰でも良かったと。

大竹まこと:
「殺したかったんだ」

加藤諦三:
もう漠然とした敵意にまで変わっちゃったんです。
最初は、「殺すのは誰でも良かった」という人は、ほとんどの場合、殺すのは母親だったんです。
だけど母親に捨てられたら、生きてかれないですから。
自分を偽ってお母さんにいい顔した。
お母さんの言うことを聞いてる。

大竹まこと:
依存してますからね。

加藤諦三:
依存してますから。
そしてお母さんから始まって、次々にいろんな人にいい人してるうちに対象無差別に、他人にいい顔してるうちに、誰を憎んでるんだか?分かんなくなって来ちゃった。
だからもう殺すのは誰でも良かった。

大竹まこと:
誰を憎んでいるか分からなく・・

加藤諦三:
もう分かんなくなっちゃった。
だけど、原点は・・

大竹まこと:
本当は、母親を憎んでるんだけど・・

加藤諦三:
本人はもう分かんなくなってるんです。

大竹まこと:
そこを、断つと自分の・・生存を、脅かすと。
それと・・

加藤諦三:
ホントには一番怖いんですよ、それを思っちゃうと。
母親を自分は殺したいんだなんていうこと思うけど、怖くて思えないんですよ。
人間は真実は本当に恐ろしいんです。
あまりにも真実が恐ろしいから、真実に目を背けて・・いい顔してんですよ。

大竹まこと:
たくさんの人を殺(あや)めてみて、そのあとに、そうすることで、こう、憎しみの感情が掃(は)けますね?

加藤諦三:
掃けます。

大竹まこと:
無くなったと。
すると、その人は、殺した人たちに、本当に恨みなんかは、なかったんだと。

加藤諦三:
そういうことです。

大竹まこと:
なんでその人たちを殺めたのかさえも・・

加藤諦三:
分かんない。

大竹まこと:
分からない。

加藤諦三:
も、自分で自分が分かんなくなってますから。

大竹まこと:
その、先ほどからおっしゃっている・・現実は、辛くて、厳しくて、真実は、向き合うに、値する(相対する?)には、怖すぎる。

加藤諦三:
怖すぎる。
だから、そうやって「殺すのは誰でも良かった」なんていうことにまでなっちゃうわけですよ。
殺すのは誰でも良かったなんてことはないんですよ。

大竹まこと:
そうですね。

加藤諦三:
本当のことっていうのが怖くて意識できない。

大竹まこと:
本当のことっていうのは・・本当の、現実・・本当の自分。
それをちゃんと冷静に直視できることですか?

加藤諦三:
それが、救いなんですよ、人間は。
だから人間が救われないで、今、憂鬱な顔してるのは、その本当のことから目を背けて生きてるからなんですよ。
だから生きるのは、く、苦しいっていうのそういうことです。

大竹まこと:
いろんなことで、悩みを、抱えて、いますね?
それで、生きづらくなって、一人きりになりたい。
で、引きこもったりもします。

加藤諦三:
引きこもりなんてのは完全に人とコミュニケーションできなくなっちゃってるわけですよ。
意識と無意識とが完全分離しちゃってるわけです。
「あなたが好きだ」って言いながらホントは嫌い、無意識では。
意識と無意識が、分離しちゃってるから、コミュニケーションができないんですよ。人と心が触れ合わないんです。

大竹まこと:
お母さんは、好きだけど、お母さんは、嫌い。

加藤諦三:
だから「お母さんは好きだ」と意識してるけれども、無意識、本当は嫌い。

大竹まこと:
嫌い

加藤諦三:
意識と無意識が乖離してますから。

大竹まこと:
意識と無意識が・・乖離しちゃう。
乖離する、すると・・

加藤諦三:
コミュニケーションできないですよ。
大竹さんとコミュニケーションしようと思ったって・・
僕が大竹さんのことを、意識では嫌い、無意識では好き、或いは逆に、意識では好き・・無意識では嫌い。
この状態だったら僕と・・僕は、大竹さんと・・

大竹まこと:
コミュニケーション・・

加藤諦三:
「また、お会いできたなあ、この番組で嬉しいな」とは絶対思わないですね。

はるな愛:
そこは一緒にこう重なる時ってあるんですかあ?
意識と・・

加藤諦三:
それはあります。
それが、善ていうか、人間のやるべきことなんですよ。統合性なんですよね。

大竹まこと:
統合性?

加藤諦三:
それが人間のやるべきことなんですよ。

はるな愛:
合わせるっていうことですか?

加藤諦三:
ええ、だから意識と無意識が統合して、嫌いな人は嫌い。

大竹まこと:
生きて行くうちに、自分のなんたるかを知る。
若い時は理想に燃えてますけども。
現実がそれを、押し潰しますね?

加藤諦三:
はい

大竹まこと:
で、自分のできる範囲・・暮らせる範囲・・
例えば・・好きな人に・・思いっきり・・フラれた・・みたいな、過去。
それは・・その人・・いろんなとこで引きずって生きますね?

加藤諦三:
だから・・フラれた時に、一番、正常な心理的に正常な人間っていうのはどういうことかっていうのは、
「俺はなぜ、フラれたんだろう」って考える人なんですよ。
で、その次は・・おかしくなると・・自分を守る人って、弱い人ってのは、
「あんな女」って言って、もう、その人をバカに、軽蔑することなんですよ。
それこそ・・ラジオで使えないような・・差別用語とか・・軽蔑の言葉を使ってその人を軽蔑してる。
嫌い。これは現実否認ですから。
そうやって、そのフラれた自分ことを守る。
だけどこれは心の借金です。
借金することなの。

大竹まこと:
借金背負ってました。はい

加藤諦三:
そうすっと、20年経っても、借金はちゃんと残ってるわけですから。だから年を取るにしたがって借金の増えてる人ってのいるんですよ。

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