パチンコにのめり込む夫に悩む妻、話は意外な方向へ
(回答者に交代)
高中正彦:
3年前に失業。
この原因は?
相談者:
ソフト会社をやってまして。
高中正彦:
自営なのかー。
いつから?
相談者:
10年前くらい。
高中正彦:
社長さんか。
従業員は何人?
相談者:
2人。
高中正彦:
事務所とご自宅とは別?
相談者:
そうです。
高中正彦:
ふーん。
その前は?
相談者:
大学を出てから、二つの会社でサラリーマンを。
高中正彦:
転職を繰り返しました?
相談者:
一回だけ。
高中正彦:
とすると、10年前だから、20年近く勤めたのかな?
相談者:
そうです。
高中正彦:
わりとシッカリした会社に勤めて、10年前に一発発起したということですか。
相談者:
そうです。
高中正彦:
持ち家?
相談者:
それも、破産したときに・・
高中正彦:
破産したの!?
相談者:
ええ、
自己破産と会社破産。
高中正彦:
あー、そうですか。
失業じゃないんだ、倒産、破産なんだ。
負債額はご存知?
相談者:
分からないです。
高中正彦:
当然弁護士に頼みましたよね。
管財人ついたでしょ。
相談者:
はい。
高中正彦:
そこらへんの詳細教えてくれないんだ。
相談者:
もーホント、会社してるときから、何にもタッチしていなかったので、何にも分からないまんま・・。
高中正彦:
あなたにとって寝耳に水の破産劇?
相談者:
いえ、破産前から取り立てがすごかったし、私名義でもお金をたくさん借りていましたし、私も破産するかどうかという話までいったので・・。
高中正彦:
ヤミ金にも?
相談者:
それはなかったです。
高中正彦:
そーですか。
それからパチンコにいくようになった?
相談者:
はい。
高中正彦:
期間工で働きながらね。
つまり、ホントのフリーというか、失業期間というのは1年くらいですね。
今、どのくらいもらっているんですか?
相談者:
14、5万円くらい。
高中正彦:
あなたは?
相談者:
10万。
高中正彦:
2人合わせて24、5万か。
大学生のお子さん2人いらっしゃって大変だね。
相談者:
もーホント、火の車。
高中正彦:
お子さんは奨学金かなんか受けてる?。
相談者:
はい、2人とも。
高中正彦:
それでなに、生活費から持っていく、通帳から持っていく、息子から借りる。
生活費からはどれくらい?
相談者:
2万円がないとか、1万円ないとか。
高中正彦:
通帳からは?
相談者:
早朝手当てが6万円入っていてそれを・・。
高中正彦:
あー、それを持って行っちゃったのか。
子どもさんからは?
相談者:
最初黙っていたんですね。
私が問い詰めたら、最初は、3万とか、5万円とかだったんですね。
一番最近では、2週間前に下の子にも3万円貸してくれってメールが来て・・。
高中正彦:
息子さんがお金を持ってんのはアルバイト?
相談者:
はい。
高中正彦:
んー。
で、趣味程度ならいいと。
あなたの考える趣味程度ってどれくらい?
相談者:
趣味程度っていうのは・・
高中正彦:
金額よ。
相談者:
あ、金額ですか。
金額というか、勝った負けたがあると思うので、勝ったお金をプールしておいて、・・
高中正彦:
じゃ、なに、あなたがニューマネーを渡さないで廻していけって感じ?
相談者:
あ、そうです。
高中正彦:
あ、そりゃ無理。
それできるなら、パチンコ屋は成り立ちません。
相談者:
そうですか、はい、分かりました。
高中正彦:
それがキツイわ。
会社破産してね。
趣味程度でやりなさい、儲けたカネでやりなさいって言うんでしょ?
うーん。
ご主人参ってるよ。
・・
あのね、私も破産管財人を何十件もやってきました。
破産した会社の社長さん、すごい惨めです。
すごい精神的プレッシャー。
相談者:
はーー。
高中正彦:
それでね、たぶん、あなたに泣き言は言わなかったと思うよ。
相談者:
はい。
高中正彦:
じっと耐えたんですよ。
会社をつぶしたくてつぶす人なんていませんからね。
自分の作った会社がかわいいんですよ。
でね、倒産前、資金繰り、これに追われるんですよ。
こんなつらいもんないんですよ。
破産になった後、社長が一言いうわけ。
「先生、これで資金繰りしなくていいんですね」って。
これが一番の安らぎだって。
相談者:
はー、そうなんですね。
高中正彦:
そうなの。
ご主人は、たまったもんじゃなかったんだよ。
でね、家帰るとね、申し訳ないけどね、奥さんキレイごと言い過ぎ。
趣味程度ならいいって。
やんなんでよ、って言った方がまだいい。
苦しいのは分かるけど。
そういうキレイごと言うところに帰ってきたくないよ。
行き場所ないんだよ。
でね、大学生のお子さん、よくできた子だよ。
パチンコする金貸すんだもん。
できた子ですよ。
相談者:
はい。
高中正彦:
親の気持ち分かってんですよ。
使い道分かってんだもん。
そういう息子さんです。
分かる?
相談者:
はい。
高中正彦:
パチンコやめさせる術(すべ)、簡単です。
このご主人に帰りたいと思わせる家を作ればいいんです。
あなたの愛情こもった手料理を作ってあげればいいんです。
好きでパチンコやってないですよ、たぶん。
ギャンブル依存症になったらどうしようもない、なっちゃたら離婚しちゃいなさいよ。
見切りつけちゃえばいいんだけど。
だけど、お話を聞くかぎりね、失業って軽くおっしゃったけど、
「趣味程度でいいわよ」って、
「なんで生活費から?」って、
毎日言われたら、うるせーよ、ってなりますよ。
厳しいですよ、54歳の再就職は。
歯くいしばって頑張ってんですよ。
あなたもパートで頑張ってるけど。
ね。
大学生の息子が就職して、お金入れてくれて楽になりますよ。
今が一番苦しいときじゃない。
夢というかさ、将来が数年先に見えてるじゃない。
親父さんも偉いんですよ。
破産の苦労、一切あなたに言わなかったんだから。
(そーですか・・涙ぐむ相談者)
あなたのことが好きだからですよ。
家族を大事にしてるからですよ。
帰ってくる家を作んなさいよ。
いいかい?
相談者:
分かりました。
ありがとうございました。
勝野洋:
よろしいでしょうか。
帰りたくなる家を作ってください。
ご主人をあったかく包んでください。
そうすると、子どもたちも作用して、変わってくると思いますよ。
(内容ここまで)
高中氏のアドバイスには反論もあるかもしれませんね。
でも、見方を変えると、状況はここまで違って見えるということじゃないでしょうか。
人間、手にしてるものの価値にはなかなか気付かないもんです。
今が一番苦しいとき、将来が見えてるじゃないか。