7人兄妹の亡き夫が義理父から部分的に相続していた住まいの扱い
(回答者に交代)
中川潤:
義理のお父さんが亡くなったのはいつ?
相談者:
20年前。
中川潤:
お母さんは?
相談者:
その一ヵ月後くらいに
中川潤:
続けて亡くなられた。
相談者:
ほぼ同時期に。
私たちが帰ってきたのも、義理母が認知症になったので。
(義理父の)長男も次男も面倒を診るのはイヤだと言うもんですから。
中川潤:
18年前に両親が亡くなられて、3年前にご主人が亡くなられたと。
で、ご主人がご存命中に、相続を、3人の兄弟で・・、
相談者:
7人です。
中川潤:
え!
相談者:
主人は7人兄弟です。
中川潤:
7人なのー?。
それで、兄弟で遺産分割協議は、まったく行われていないの?
相談者:
私はその場にいなかったんですが、兄弟では話し合ったようです。
ただ、口約束だったので。
中川潤:
え!、口約束?
合意書もなにもない?
だから、お家もお義父さん名義のまんま?
相談者:
そういうことです。
中川潤:
みなさんご存命?
相談者:
長男、次男、は亡くなりました。
夫が三男で、四男がまだいます。
長女、次女、三女は元気です。
中川潤:
とは言っても、かなりご高齢・・
相談者:
長女は認知症で施設に入っていて、次女も目が見えなくなって、三女は付き合いがないので分かりません。
中川潤:
お付き合いがないと。
相談者:
はい、主人が亡くなってからは。
主人がなくなったときにも、誰もお葬式にも来てくれなかったから。
中川潤:
ご主人が生きていらしたときからお付き合いはなかった?
相談者:
長女とはありましたけど、認知症になってしまいましたので。
中川潤:
(夫が亡くなったとき)連絡はした?
相談者:
もちろん。
中川潤:
それでもお見えにならない?
相談者:
香典は頂きました。
そんなんだから、お墓にも来ません、1回も。
中川潤:
ご両親が亡くなったときの相続が済んでいないとすると非常にやっかい。
ご主人の兄弟、そのご兄弟も亡くなっているとすると、あなたからすると、甥、姪ですね、それと、あなたの息子さん、その全員の共有という中途半端な、未分割の共有というか、学者によっては合有と言う人もいるんですが、極めてやっかいな状況なんです。
で、あなたも、18年前に親の財産を相続したご主人がいて、3年前にご主人がなくなったときに、息子さんと同様に、未分割の相続人になったわけです。
相談者:
書類とか、何もなくてもですか?
相談者:
いや、違うの。
相続人が集まって、分け方を話し合うのが、遺産分割協議って言うんです。
今現在、当事者がどうなっているかと言うと、長女、次女、三女。
それから、代襲といいますけど、長男の子ども、次男の子ども。
18年以上前に奥さんが先に亡くなっていなければ、長男の奥さんと子どもさん、次男の奥さんと子どもさん。
(四男を忘れていると思われ)
あなたも同じで、両親が亡くなったときに、ご主人が相続されたわけです。
で、そのご主人の未分割の相続財産を、ご主人が亡くなったときに、あなたと、あなたの息子さんが相続したわけです。
固定資産税も全員の問題で、あなたが面倒を診るために引っ越してきたからといって全額負わなければならないということではない。
固定資産税の滞納はない?
相談者:
ありません。
中川潤:
解決しようと思えばね・・、
よくあるんですけど、未分割の遺産で、相続人が10人、20人いらっしゃる場合。
整理して、お手紙を書くわけです。
事情を説明して、ほっておくわけにはいかないから、つきましては、このように処理したいから、ご理解いただきたいと、分割協議書を作って、それぞれから、印鑑証明書と捺印をもらう、みたいなことです。
これは、司法書士さんでもやってくれるし、私もやったことはあります。
面倒ですが、綿々と相手を刺激しないように、丁重なお手紙を書いて、
相談者:
仲良くお付き合いもしていないし・・
中川潤:
していないからこそ、大変なんです。
あなたがやるったって手に余るから・・、
相談者:
このままほっておいて、私が亡くなると、息子にいくんですよね。
中川潤:
すでに息子さんも当事者なんです。
相談者:
これ、遺産放棄というのはできないんですか?
中川潤:
相続放棄という手続きというのはあるんですが・・、
相続の事実を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てすればいいんですが・・、
ただ、あなたの場合、ご主人が亡くなったときに相続人になったわけですから、そのときに相続放棄していれば、相続人から外れています。
でも、この家屋敷以外に、ご主人の財産はあったわけでしょう?
相談者:
はい
中川潤:
ね、
その相続財産の中に、このご両親の未分割の相続財産も入っていたんですよ。
なので、今から、完全に相続人から外れてしまう相続放棄は難しい。
でも、あなたが要らないということであれば、分割協議に中で、外れることは可能なんだけども、そう簡単なことではないんです。
キチンとしようと思えば。
地元の弁護士会が法律相談をやっているので、一度足を運んで、現実的な解決法を相談してみてください。
相談者:
分かりました。
ありがとうございました。
加藤諦三:
自分のできることはすべて自分でする。あとは神様の問題で悩まない。
(内容ここまで)
夫が亡くなったので、妻である自分に相続権はない、という相談者の認識は間違っていたということですね。
要は、手続きの有無に関わらず相続人には自動的になってしまうわけです。(ちなみに自然相続という)
で、放棄するには、相続の事実を知ってから3ヶ月以内に手続きが必須だということ。
借金を自然相続しないように気をつけたいですね。
それにしても、
分割協議はしても書類が残っていない。
これって、つまり、話がまとまらなかっただけじゃないんですかね。
兄の葬式にも来ないぐらいの確執があるわけですから。
相続といったって、代替わりすると、まさに他人と協議することになってしまいますね。
こうなってしまうと、プロに丸投げするしかありません。