内縁関係の夫の遺産相続。息子の奇妙な要求

(再びパーソナリティ)

加藤諦三:
よろしいですか?
どうも、その、話が、よく分からないんですよ。

相談者:
・・

加藤諦三:
つまりね、まず、第一にい、相続放棄しないと、主張しながら、3千万円のものを30万円で、渡すと言ってること。

相談者:
はい

加藤諦三:
それから、あなた、借金があるから、結婚しないんだと

相談者:
はい

加藤諦三:
言っていたんですがあ、

相談者:
はい

加藤諦三:
どうも、言ってることの話が、全体としてえ、分り難いんですよ、他人が聞いていてね。

相談者:
ああ、そうですか、はい

加藤諦三:
もう少し、色んなことをはっきりさせた方がいいですよね、事態を。

相談者:
はあい、分りました。

加藤諦三:
はい、どうも失礼します。

相談者:
はい、ありがとうございましたあ。

(内容ここまで)

確かに妙な話だ。

嫌いじゃないけど(笑)

ウソがあるっていうより、聞かれない限り言わないってのかな。

さて、

内縁の夫は、何でこんな変テコな遺言にしたのか?
法定相続人でない相談者のことを考えたふうだけど、3人でどう分けろっていうの?

スペース空いてるとこを、56歳長男が使えってことなのかね?
じゃあ、そこまで書けよ。

162坪の土地
= 535.5㎡
= 25m×21m
小学校にある、5コース25mプール2個分だ。

1万円/㎡として、500万。
3万円/㎡とすると、1,500万。

次男が言った3千万が大盛りだったとして、実際の価値はこれくらいか。

 

いずれにしてもハッキリしてるのは、内縁夫は50歳次男にだけには渡したくなかったってこと。

しかし、50歳次男には遺留分がある。
それが、法定相続分の二分の一、つまり、総遺産の25%だ。
これを放棄する代わりに30万を相談者に要求していると。

つまり、土地建物の実勢価格と借金がトントンか、毛が生えるくらいか、もしかするとマイナスの可能性もある状況なんだな。

とは言っても、法定相続人でない相談者は、借金とはまったく関係ないんだから、ほんとに土地に抵当が付いてないんだとしたら、30万くらい払ってもよさそう。

ただ、1千万単位の、担保不要の借金なんてあり得るのか?って話だけど。

 

で、

なんで、相談者の家族が一緒に住んでんの?

実母89 実子33歳 実弟59歳。
3ヶ月前に内縁夫が亡くなった途端に押しかけてきたわけでもあるまい。

息子は分るよ。
内縁関係が始まった当時まだ10代だし。

実母?
実弟???

しかも内縁夫の母も同居してたわけだよ。
介護状態であったにしても、息子の内縁関係の女の母親と暮らすか?

あのねえ、この人たち、全員親戚じゃないかと思うんだけど。

例えば、
内縁の夫ってのが実は相談者の父の弟、つまり叔父。

んな、バカな?

そう?

少なくとも、不自然な内縁関係を信じる人と、どっこい、どっこいじゃない?

内縁夫の借金が入籍しなかった理由?
親子ですら借金の影響なんて無いのに?
まさか、相続のことを考えて?

そおかねえ・・

日本の法律上、結婚できるのは4親等以上、従兄(いとこ)どうしから。
3親等である叔父と、その姪は入籍できない。

相談者が、なに気に言った一言、
「それ(内縁夫の母の介護)がきっかけでこの家に来た」

母の介護役を求めていた64歳の男と、
経済的な安定を求めていた45歳の女。

関係が先が、同居が先か、順序は分らんけど、最初は、出戻った姪に母の介護を頼んだにしても、一つ屋根の下で暮らすうち、内縁関係に発展したとしても不思議じゃない。

相談者が介護したのは自分の祖母だったってことになるんだけど。

 

ちなみに、
叔父と姪の結婚は日本の法律では認められてはいないものの、「叔姪婚」(しゅくてつこん)という言葉が残っている。
これが法律で禁じられたのは明治以降。

ちなみに、タイ、ドイツでは今でも合法。

テレビドラマの題材にもなっている。

蜜の味〜A Taste Of Honey〜
(フジテレビ系 木曜劇場 2011年10月)
姪役が榮倉奈々、叔父役が ARATA(井浦新)

どう?
あり得るかも、って思えてきたでしょ?

もし、加藤先生が、内縁夫との馴れ初め、あるいは相談者の実父のことを質問していたら、神回になっていた予感。

 

ここでちょっと閃(ひらめ)いた。

ヘンテコ遺言の意図ってさ、相談者、56歳長男 その子ども、この3人仲良く暮らせ、ってことなのかしら?

これだと従兄どうしだから、入籍だって問題ない。
親父のお古だけど。

20分足らずのラジオ番組で、これだけ楽しんでるのって、あたしぐらいかもしれん。

 

遺贈と相続放棄

相談の本筋じゃないんだけど、疑問が残った。

まず簡単に説明すると、
遺贈というのは、遺言によって、財産を譲ること。
相続放棄は相続人としての地位を失くすための法的手続き。

塩谷氏の説明だと、56歳長男が相続放棄した後、遺言書の内容に従って、相談者と長男と孫と相談者の3人で分けると言うのだが・・

これ、ほんと?

だって、長男は相続放棄したんだよ。

もし、相続放棄とは別に、遺言に従って56歳長男に遺贈できるのなら、次のようなことが可能になる。

① 借金を抱えていた故人は、生前に、相続人に遺贈する遺言を残しておく。
② 亡くなった後、相続人は相続放棄の手続きをすることで、借金の相続を免れる。
③ そして、遺贈によって、相続人は(プラスの)遺産を手にする。

こんなことが許されるはずがない。

塩谷 「三分の一づつ権利がいくということに、なりますね」
相談者 「放棄してもですか?」

この相談者の疑問はもっともだ。

塩谷 「要するに、相続放棄と、法定相続人として、受け継ぐかどうかっていう話とは、また別の次元の問題ですからあ・・」

こう言うんだけど。

相続放棄は、貸主に多大な影響があるからこそ、裁判所の許可が必要なわけで、放棄したら遺贈も受けられないようにしないと、法律として意味を成さないのだが、本当のところはどうなのか?

だれか、教えて。

 

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