子どもが3人、一人は行方知れず。不動産を全部一人に相続させるには?

(再びパーソナリティ)

ドリアン助川:
もしもし?

相談者:
はい

ドリアン助川:
今、わたしも横で話を、聞いておりまして、大変勉強になったんですけども、

相談者:
はい

ドリアン助川:
実は、あのお、遺言書セミナーというのに、わたしもこのあいだ、初めて出たんですよ。

相談者:
はい

ドリアン助川:
ビックリするようなこと、あの、連続で、これは今日をきっかけに、あの、一度、勉強なさったら、いいかと思います。

相談者:
分りました。
どうもお、お世話になりましたあ。

(内容ここまで)

ドリアン 「奥さま、おいくつでらっしゃいますか?」
相談者 「37ですう」
ドリアン 「37歳!」
相談者 「ごめんなさい、へっ、57で」

なに?、これ。

 

この男、中年再婚のクセして、デキ婚。

ヤラし(笑)

女の子を持つ父子家庭と
男の子を持つ母子家庭。

双方ともに同じような年頃で、まだこの先、同性の親の役割が求められる年頃でもある。

偶然の出会いにしては出来過ぎ。
お互い、意識するのも早かったろうねえ。

意識し過ぎて、ちょっと順番が逆になっちゃったんだな(笑)

で、とりあえずこの歳まで来たと。
再婚は正解だったわけだ。

子ども3人育て上げ、みんな独立して、ホッ。

 

じゃ、なかったね、やっぱし。
そうは問屋が卸さない。

妻の連れ子の男の子はグレちゃったんだな。

高校進学しなかったって、そういうことでしょ?

 

妻の連れ子は、とにかくこの家を出たかった。

突然いなくなって、10年以上連絡して来ないって、何気にすごいよ。

だってさ、今どき、アパート借りるにしたって、就職するにしたって、保証人が必要でしょう?

絶対に親になんか頼らないっていう強い意思が伺えるんだよ。

だからあ、遺留分の心配なんて要らないんじゃない?
この31歳の息子の生き方からするとだよ。

「不動産は末っ子に全部譲る」っていう遺言書でカタがつきそう。

31歳の息子がそれを知ったところで、
「ふん、やっぱりな、ケッ!」
ぐらいなもんでしょ。

それでも心配だって言うんなら、末っ子に、31歳の息子の遺留分ぐらいプールさせとけばいいじゃん。

もし、31歳の息子が請求してきたら、ハイよ、って。

 

だけどさ、

3人兄弟を前にして、遺産分割でこれほどの差をつけるってどうよ。
長女の方とは話しついてんの?

貯金の心配もしてたけど、本来なら、末っ子に譲る不動産の価値と、同額とまでいかないにしても、それなりの現金を、長女と31歳の息子に用意すべきなのに。

再婚したとき、わが子も、連れ子も、生まれてくる子も、ぜんぶ分け隔てなく育てるつもりで養子縁組したんでしょ?

連れ子を養子縁組するか、しないかで、大きな影響が出るのが相続。養子縁組というのは、法的にも実子とまったく平等にする手続き(*)だ。

なのに、ここで、これだけの差を平気でつけるって、あんたのやってることは、まったくもってチグハグなんだよ。

(*) 相談者が妻の連れ子と養子縁組していなければ、31歳の息子は相談者の相続人にはなれない。

 

きっと、末っ子が生まれたときから態度に出てたと思うけどね。

そりゃあ、妻の連れ子に居場所は無いわ。

 

基本の相続; 相続と生前贈与

税額の算出がちょっと面倒なので、大迫女史も回答は避けてたんだけど、少し解説したい。

亡くなってから分けるのが相続。
生きてるうちに譲るのが生前贈与。

生前贈与の目的はいくつか考えられる。

  • 自分の財産は自分の目の黒いうちに処理したい。
  • 子どもの生活を経済的に支援したい。
  • 老後の面倒を看てくれることに対する感謝(対価)
  • 商売を継がせたい
  • 相続税を節税したい(最後に簡単に紹介)

などがその理由。

ただし、今日の相談にあったとおり、ネックは税金。

ケースバイケースだけど、ほとんどのケースでは、相続税よりも贈与税の方が高くなる。

今日の相談者の場合、例えば遺産総額が5千400万までは、どんな分け方をしようとも、相続税は一円もかからない。
(基礎控除: 3千万+600万×相続人数4人=5千400万)

ところが、仮に5千400万の財産を末っ子に生前贈与したとする。
すると、なんと、およそ2千600万の納税義務を末っ子が負うことになってしまう。
(税率:55%、控除額:640万)

どう?、すごいでしょ。

ちなみに、年間110万までの贈与は無税。
申告の必要もない。

これを利用すれば、10年間で、1千100万を無税で贈与することが出来る。

これが、上の箇条書きの最後に挙げた、相続税の節税のやり方。
(ちなみに1回で1千100万を贈与すると、贈与税はおよそ416万)

この節税は不動産にも応用できて、面倒ではあるものの、持分を毎年少しづつ移していけばいいわけだ。
高額の不動産だと焼け石に水だけどね。

あとは、末っ子が、相談者から不動産を買い取るという方法。
これだと売買だから、贈与税は掛からない。

もちろん、贈与税対策ということを税務当局は百も承知で、取引が事実上の贈与になっていないか、価格、子の資金調達、代金の授受に目を光らせている。


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