在宅介護歴28年。3度目の脳梗塞で声を失った夫に気持ちが切れそう

(再びパーソナリティ)

ドリアン助川:
もしもし?

相談者:
はい

ドリアン助川:
もしもし?

相談者:
はい

ドリアン助川:
これ実際の話なんですけども、

相談者:
はい

ドリアン助川:
あの、例えばわたしい、は、歌を歌ってるんですが、

相談者:
はい

ドリアン助川:
えーと、全身麻痺の方がベッドで入れるライブハウスで、何回かやったことありまして、

相談者:
はい

ドリアン助川:
そうするとお、ホントにあのお・・ベッドごと3人の方みえましてね、

相談者:
はい

ドリアン助川:
みなさん、お洒落してらっしゃるんですよ。

相談者:
はあ

ドリアン助川:
ですからあ・・ね、今あ、あのお、三石先生おっしゃったも、その、旅行行かれる時は、

相談者:
はい

ドリアン助川:
思いっきりオシャレ楽しまれて下さい。

相談者:
はい

ドリアン助川:
二人で。

相談者:
はい

ドリアン助川:
ええ、あの・・

相談者:
ベッドごと行けるんですか?

ドリアン助川:
べ、ええ、そういうのもあります。

相談者:
ああ

ドリアン助川:
はい

相談者:
はあーそうなんですか。

ドリアン助川:
はい

相談者:
はい、分かりました。

三石由起子:
楽しみに探してください。

相談者:
はい

三石由起子:
はい

相談者:
分かりましたあ、はい
ありがとうございましたあ。

ドリアン助川:
はいどうも、失礼いたします。

相談者:
はい、どうも、ありがとうございまーす。

(内容ここまで)

なんか、知ってること合戦みたいだな。

三石女史が知ってたのが介護旅行。
負けじと、ドリ助が出してきたのが、ベッドごと入れるライブ!?

おいおい。

 

アタシには、この女が在宅介護にこだわる理由がよく分かる。

一つは、家計の問題。

施設に入れてメリットがある典型的モデルは、施設代を本人の年金で賄(まかな)えることができて、かつ介護者が自分の食い扶持(ぶち)を稼げる場合だ。

現役世代の子どもが親を看る場合がこれに当たる。
早い話が自分のことは自分で。

でも、相談者のような老老介護はどうなるか?
世帯収入月15万。在宅介護でショートステイを月に数日利用。
これで夫婦2人カツカツ。

ところが、夫を月10万の施設に入れれば、妻の生活費は残り5万。
71歳の妻は働きに出ないといけない。
それも、10万以上稼げなければ、施設に入れる意味がない。

在宅老老介護はこうしたジレンマの上で選ばれてるわけよ。

ま、しかし、それを承知でギブアップを考え始めてるってことは、生活レベルを落としてでも、背に腹は代えられないところまで来てるってこと。

右半身不随というのは、考えようによっては最も在宅介護の負担が大きいかもしれない。

寝たりきりであれば、尿瓶(しびん)やオシメ。
お風呂はデイサービスに頼ることになる。

ところが介添えがあれば移動出来るとなると、トイレもお風呂も毎回介添が必要となるからだ。

71歳の女じゃなくたって重労働。
腰をやるからね。

 

在宅介護にこだわるもう一つの理由は罪悪感。
自分が頑張りさえすれば出来る状態だとなおさら。

だけどねえ、言うけど、在宅介護じゃリハビリやって来なかったでしょ?
28年間まったく。
今さら、もう手遅れだけど、リハビリ続けてればねえ。
長嶋茂雄とまではいかないにしてもさ。

うちの場合、家族に父の施設入所を踏み切らせたきっかけが、このリハビリだった。
回復が期待できるような状態ではなかったけど、障害の進行を遅らせられるし、血行促進や、メンタル面とかにもメリットが大きい。

いや、正直言うと、「本人のための入所」という大義名分を求めていたのかもしれん。

ただ、このリハビリもやっぱりネックは費用負担。
健康保険の適用は最長でも数ヶ月。
慢性的な障害に対する継続的なリハビリは全額自己負担となる。

1時間数千円のリハビリを毎日3時間やった場合の費用なんて、計算する気にもなれん。
まさに長嶋茂雄だから出来ること。

結局のところ介護問題の最後はカネだ。
それによって要介護者の快適度が変わる。
家族は気持ちがカネで値踏みされてるような気にさせられる。

現実は否が応でも突きつけてくる。
アンタのお金、愛する夫に、育ててくれた親に、いくら廻せる?

 

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