夫の遺産分割協議に半血の義姉が音無しの構え。口座の扱いで対応が分かれる銀行
(再びパーソナリティ)
今井通子:
お分かりいただけましたかあ?
相談者:
はい
今井通子:
はい
相談者:
すいません、ありがとございました。
今井通子:
はい、それじゃあ
相談者:
失礼します。
今井通子:
はいどうもー。
(内容ここまで)
定期預金かなんかなのかねえ。
いや、なんで口座が凍結されてんのかなって。
だって、契約者が亡くなったからって銀行に通知が行くなんてことはないから。
窓口で口を滑らせたかな。
遺産分割協議書が無くても下ろせたアタシの経験
相談者 「ごちゃごちゃごちゃごちゃ見とって」
相続人全員を含めた遺産分割協議書を求めるB銀行が気に食わないようだけど、そっちの対応の方が真っ当な気がする。
だからって、まさかA銀行が相続人を見落とすなんてことはあるまい。
A銀行みたいな対応はアタシにも経験がある。
父が亡くなったとき、父親の口座から引き出す役目を仰せつかったアタシは、数日間ATM通いをすることになった。
ところが某民営化された銀行のカードはどうしても見つからなかったので、しかたなく窓口に向かった。
しれっと窓口で引き出せるか試しても良かったんだけど、複数ある印鑑のうち、どれが届け出印か分からなかった。
さすがに一か八かで試す勇気はなく、正直に、まずは手続きを聞くことにした。
と、
窓口のお姉さんがアタシにこう言った。
「今日、下ろされますか?」
「え!?」
戸惑うアタシ。
なんでも、届け出印を教えることは出来ないので解約も出来ないが、死亡診断書やら、戸籍謄本やら、アタシの身分証明書があれば、残高はすべて引き出せるらしい。
こっちとしては、解約も全額引き出しも同じことだ。
この頃のアタシは、父親の一切の書類をクリアファイルに入れて持ち歩いていたので、必要書類は全部揃ってはいたものの、共同相続人である姉と母親のものは何一つ持っていなかった。
これに対して民営化した銀行のお姉さんがアタシに求めたのは、なんと、申請書類の中の、「相続人の間で遺産について揉め事はありません」というチェックボックスにレ点を入れることだけ。
「い、いいのか?、そんなんで」
お金を手にしてからもなお不思議がるアタシを見て、窓口のお姉さんも不思議そうに笑った。
うちに帰って興奮気味に話すアタシに二人は、
「家族なんだから当たり前じゃない」
アンタらに話してもムダやった。
坂井弁護士のレクの復習
絵にすると、こんな感じだ。
凡例:
破線枠は故人。
破線太枠は被相続人。
実線太枠は相続人。
分数が法定相続分。
説明すると、
まず、妻はいかなる場合でも相続人だ。
で、相続第一順位である子はいない。
次に、相続第二順位である親もいない。
で、最後の相続第三順位である夫の兄弟姉妹に相続権が回ってきたわけだ。
この場合の法定相続分は、妻が四分の三。
で、残りの四分の一を兄弟で分けることになる。
で、普通なら、兄弟均等に分けるんだけど、今回みたく、片親が違う半ケツ兄弟、もとい、半血兄弟(マジでこう呼ばれる)に対する法定相続分は、同じ両親を持つ全血兄弟の半分になる。
ちなみに、半血、全血というのは生物学上の血縁だけでなく、法定血縁も含む。
何を言っているかと言うと、もし義父が、連れ子だった義姉と養子縁組していれば、義弟と同様に夫とは全血兄弟となって、相続の際には何の区別もされない。
あと、遺留分があるのは第一順位と第二順位だけ。
第三順位である兄弟姉妹に遺留分はない。
だからもし、妻が遺産のすべてを相続する遺言書を夫が遺しておいてくれたなら、その通りになっていたわけだ。
疎遠だからこそドライになれる
全血の弟は分配ゼロで承認し、
半血の2人の姉はゴネる予感。
関係の遠い人ほど執着するという、これも相続の一つのセオリーかもしれん。
だけど、そこはちょっと違っていて、執着するというより、関係が薄い分、ドライになれるからこそ、遺産分割はお金の分配でしかないわけ。
上の絵に示したとおり、義姉の法定相続分はそれぞれ16分の1。
相談者 「仮に1千万として、」
これを元にすれば、半血義姉の取り分は一人あたり62万5千円。
目の前に差し出された札束を、要らないと言える人はどれだけいるかって話だ。
相談者がお願いしてたのはそういうことなんだよ。
こうなってくると、ドライにはドライで対抗するしかない。
つまり法定相続分に従う。
で、改めて悔やまれるのが、冒頭に戻るけど、なんで口座を凍結させちまったのかということ。
疎遠なんだし、金融資産はいくらでも隠すことが出来た。
実際、一つ目の銀行のことを義姉二人は知る由もない。
のに、目録に載せちまったかな、司法書士さん。
反対に隠せないのは不動産。
自宅不動産も夫名義じゃ・・
音無しの構えの義姉二人。
不気味だ。
たぶん今、本人か、ないしはその近くに居る人間が、相続について情報収集中。
アーメン。
管理人さんのコメントのおかげで難しい相続のことが少しだけわかった気がします。先妻の子である義姉にとって、後妻の子の存在は複雑なものです。子の母(父)親がいなければ、自分たち2人だけが母(父)の子だったのに。離婚のいきさつや理由によっては、半分血のきょうだいと疎遠も大いにあり得る。カネは欲しいが顔も見たくないし考えたくもない、そのような心境でしょうか。
先妻の子としては、離婚した母(父)の死なんか知らない方がよかったかもしれない。カネと記憶で苦悩するより。