夫が逝って生活費を自分口座に変えると心配なのが税務署が気づく過去の無申告
(再びパーソナリティ)
玉置妙憂:
はい
相談者:
ありがとうございました。
玉置妙憂:
失礼いたしまあす。
相談者:
はい、どうも、お世話になりました。
玉置妙憂:
はい
(内容ここまで)
心配性の婆さんのとりこし苦労で片付けられてしまった。
まあ、この婆さんの説明じゃ、いくら大迫弁護士でもし方がない。
てか、逆にもし婆さんがハッキリ説明していたら、相談はお蔵入りだった。
書き始めだが、ちょっと長くなりそうなので、先に結論から言っておこう。
婆さんは無申告と不正受給を犯した。
もとい。
過去形ではなく、この2つの違法行為は現在進行形だ。
元々婆さんは自営業者の妻らしく脱税意識が高い。
まちがった、節税意識が高い。
ほとんどの自営業者は叩けばほこりの申告を行っている。
さすがに売上を抜くみたいな悪質はまれだろうが、経費を拡大解釈して申告するぐらいは100%の自営業者と言っても過言ではない。
てか、そういうことを常に考えて消費しているのが自営業者という人種だ。
その意識は、なにも毎年の所得税だけでなく、納税と名が付くものすべてに発揮される。
婆さん
「
主人が残してくれたお金をトータルしたら1800万ほどだったんです。
住んでる家は固定資産評価額、土地が1500万で建物が900万円。
」
ここは婆さんの説明で一番明瞭だった部分。
1800+1500+900=4200万円
これ、相続税の基礎控除額とピッタリ。
つまり相続税はなし。
申告も必要ない。
偶然?
ノーノー
4200万以下になるように、現金を1800万円までに抑えたの。(*)
超える部分は婆さん名義へ移動。
だから、婆さんは4千万円も溜め込んでるの。
婆さん 「(夫の資産と比べて)なんかえらいアンバランスやなっていういうのが気になったんですね」
真っ当に貯めたのであれば、そんなことは思わない。
で、
婆さん 「だったら普通に申告したらいいんですけれど」
どこまでも自信なさげの婆さんが唯一自信満々だった部分。
「だったら」ってなんだよ。
基礎控除額以内だったら、ってことね。
うおい!、「だったら」じゃねえよ。
だったらじゃなくても、いや、だったらじゃないからこそ、基礎控除額を超えたときこそ納税のために普通に申告すんの。
もっとも、これだけだと単に節税対策に過ぎない。
(*)実は、故人と同居していた妻の場合、相続の際の自宅の土地の評価額は2割に負けてくれるので、これを知っていたら夫名義の現金はもう数百万は持てた。
まずは無申告から
保険と個人年金の控除の申告をしないことが何の問題もないことは大迫弁護士の言うとおり。
当たり前。
どんな取引でも多目に払ったことを咎められるわけがない。
だけど、ここはまったく話が噛み合っていないの。
婆さんが心配しているのは、一括で支払った保険と個人年金の掛け金の原資に税務当局が疑義を抱くことなの。
なぜって?
だって申告していないから。
控除の申告じゃないよ。
臨時収入を得たことの申告をしていないの。
ちなみに婆さんの保険は養老保険。
満期には死亡保険金と同等の金額が受け取れる生命保険付き定期預金だ。
貯蓄性は高いが、生命保険掛け金控除も受けられる。
養老保険も個人年金も、一括で支払った原資は、婆さんの実家の相続か、もしくは夫からの贈与。
いずれしても未申告。
もちろんわざと。
だからビクついている。
掛け金の控除申告をしなかったのはこれがバレるのが怖かったからだ。
では次。
不正受給
婆さん
「
うちは自営業だったので年金が国民年金だけですので、今まで生活費を出してた人が亡くなって老齢年金6千円ほどくれるいうことの連絡が来たんですね
」
婆さんの言う老齢年金とは、「老齢年金生活者支援給付金」で間違いない。
聞き慣れない人も多いと思うが、早い話、年金が少ないお年寄りへの支援金だ。
先頭4文字だけだと、確かに婆さんの言う「老齢年金」(笑)
婆さん 「そこんとこに書いてあったんが78万円以上の収入になる人には出ませんいうこと書いてあったんです」
これはその通り。
年78万円とは国民年金保険料を40年納めた人の満額支給額だ。
(細かい金額は年度によって違う)
満額もらえない人への支援金が老齢年金生活者支援給付金ということ。
で、さらに続く、
婆さん 「そしたら、年金を足すと、国民年金は5万円です、ほとんど。
87万円だったら、60万円引くと、27万円しか、残らないので。
27万円以上の年金をもらってるから・・月5万円の年金もらってるんです。
それやったらそこら辺から調べられるかなあと思って」
いきなり87万とはなんぞや?
と思った人も多いだろう。
大迫女史はもうどうでもいいと絶対思ってる(笑)
説明しよう。
年78万円未満の人に支援給付金を支給すると、人によっては78万円満額もらっている人の年金よりも多くなって、40年キッチリ納めた人の年金の方が少ないという極めて不公平なことが起こりうる。
このような逆転現象が起きないようにするために、年金を含む収入が78万円以上で、かつ約87万以下の人には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支払われる。
で、ここからが重要で、
婆さんの国民年金は月5万円の年60万円。
これだけだと、文句なしの老齢年金生活者支援給付金の対象者だ。
だが、
婆さんは、さらに個人年金で5万円をもらっているわけだ。
上の婆さんの発言は、補足的老齢年金生活者支援給付金の支給対象者であるためには、収入が87万円以下でなければならず、そこに届くまでの余裕は国民年金60万を差引いた27万円しかないと言っているわけ。
月5万円の個人年金をもらっている婆さんの収入は年120万円となって、ぶっちぎりで対象者から外れることになる。
ところがだ
婆さん
「
年金の事務所で『働いてる収入や、株をやってるとか、不動産を持ってるとかありますか?』って訊かれたので、『ありません』て言ったら、遺族年金の6千円ほどもらえることになったんです。
」
6千円は、もちろん遺族年金なんかではない。
遺族年金は夫が厚生年金加入者だった場合。
婆さんの場合、自営で国民年金だった夫が亡くなっても遺族年金はない。
じゃ6千円は何かと言うと、これが老齢年金生活者支援給付金だ。
この支給が決まったということは、婆さんが申告したのは年60万円の国民年金のみで、個人年金は申告していないということだ。
確かに、上の年金事務所の質問には「個人年金とか」は入っていない。(笑)
もちろん、そんなんで免責にはならない。
手続きは書面だ。
はい、不正受給。
もっとも、婆さんは別に、月6千円が欲しくて個人年金を申告しなかったわけではない。
これは、上で説明した相続税、贈与税の未申告がバレるのが怖いからだ。
もし年金事務所で個人年金を申告すれば、
掛け金控除の申告をしなかったことが知られ(これはいい)、
その原資が未申告の相続、もしくは未申告の贈与によることがバレるというレア・ストーリーを恐れたわけだ。
嘘を隠すために嘘をつく。
無申告に加えて、さらに不正受給という罪を重ねてしまった。
確かにこんなこと、税理士に相談するわけにはいかない。
いや、誰にも表立って相談することはできまい。
遺影の夫にでも尋ねてみて。
これも高齢女性による確信的違法行為。
女手一つ家族を支えた成年後見人がフライング。解任に納得できない
おー、怖いよー。
無知であるが故に、
騙されてしまいそう。
誰でも、法律の専門知識は
もっていないし、不安になるもの。ましてや80歳なら尚更かな。それにしても心配…。
保険の申告なんちゃらは、大迫先生が言ったように、年末調整の控除のことだと思うけど、相続税みたいなことと混同してたのかな。
ほんと、息子さんにも相談して、ちゃんと財産を守ってほしい。
こういう人が特殊詐欺にあってしまうんだろうな…、と感じてしまった。
管理人さんのコメント読みました!
難しくて、全ては理解できなかってけど、相談者は、いろいろと知った上での相談だったわけですね!
無知は私だった!お恥ずかしい!
でも、管理人さんの回答の通りを、放送時間内に大迫先生がズバリ指摘してたらどうなってたんだろう?
そこに興味があります。
昔のかんぽって、やっぱ利率が良くって30年で掛け金総額800万のが昨年満期で1000万になって戻ってきた。総合課税だったので申告して、5万なにがしかを所得税として納めてやれやれ、、、と思っていたところ、なんと今年の住民税が10万円以上もはね上がってしまった!特別定額給付金がみごとにパァ、とほほ・・・
相談者の実家の相続700万をほっといたら、1000万になって、年金と保険にして、またまたほっといたら1200万になってしまった!ってのは大迫先生の言われる通り源泉徴収されてれば問題ないけど、そこんとこ大丈夫かな?
お金が有り余って不安で困っているという相談。
騙される未来しか見えない。
そうそう、自営業の経理を握ってる奥さんって、納税意識が高くて知識も豊富なのよね。
それに、一括で保険料払えるって事は大金持ってるって話で。
弁護士先生に年金や税金が絡んだ相談は完ぺきには無理かな。
ってか、管理人さんって本当に凄い。
メンタルヘルスから年金、相続と知識がハンパないですね~~~!
総務課さん、お久しぶりです。
経理課としましても、管理人さんの知識・分析力には常々 脱帽しております。我が経理課のヘボ社員 数人分のスキルを有していると思われます。
是非、管理人さんを我が経理課にヘッドハンティングしたい。
管理人さんの解説、今回もたいへん恐れ入りました。
相談者、パーソナリティー、回答者との限られた時間の会話の情報だけでで、本当によくあそこまで推論が立てられるますね?
それにしても「お婆さん、お金持っとるなぁ!?」と思いました。
同様のお年寄り、案外多いのかも知れないですね。