介護10年の終り見え動揺する女へ処方箋。元寇を前にした北条時宗に和尚の指南

(回答者に交代)

大原敬子:
こんにちは

相談者:
こんにちは・・

大原敬子:
うん

相談者:
よろしくお願いします。

大原敬子:
今、お話しててね?

相談者:
はい

大原敬子:
あちらこちらに話が飛んでるんです。
それだけ・・

相談者:
はい、そうです。

大原敬子:
そうですよね?

相談者:
はい

大原敬子:
今言ったのは、ぽっと言葉に出したのは、一番自分が辛かったことを、今出してるんだと思うんですね。きっとね。

相談者:
そうなんです。

大原敬子:
で、今、辛いっていうのは・・

相談者:
はい

大原敬子:
辛さの言葉の意味っていろいろ感情あるんですけども。
みんーなが、なぜ助けてくれないんだろ?・・って・・

相談者:
はい

大原敬子:
思った気(とき?)は・・

相談者:
はい

大原敬子:
あります?そういうこと。

相談者:
あります。

大原敬子:
これ怒りですよね?

相談者:
・・

大原敬子:
怒りと憎しみなんです。

相談者:
怒りと憎しみ?

大原敬子:
うん

相談者:
はい

大原敬子:
みんながわたしを助けろと・・

相談者:
はい

大原敬子:
あの人もこの人も、なぜわたし助けないんだ?と思ったときには・・

相談者:
はい

大原敬子:
そ、その助けてくれ・・ないときに、「辛い!」って言葉で表現しちゃうんです。

相談者:
よく分かります。もうだから主人に対する怒りとか憎しみとか・・

大原敬子:
あ、ご主人さまだ。ええ

相談者:
はい

大原敬子:
それもう1つはね?
わたしばかりが苦労すると。
「なんで?」って・・「なんの見返りもない」と。

相談者:
はい

大原敬子:
「いつまで続くんだろう」ってのありますか?

相談者:
はい

大原敬子:
お父さまのことは、たぶん今、現象として、あ、現れてるからだと思うんですね。

相談者:
ええ、ええ、ええ

大原敬子:
「あ、この父が、もうすぐ、もしかしたら万が一、わたしを置いて逝ってしまうんじゃないか」っていう、事実のこ、ところに、あなたが、すがってるってのもありますね、感情が。

相談者:
はい、はい、はい・・そうです。

大原敬子:
お父さまのほうは・・

相談者:
はい

大原敬子:
昔からね?・・北条時宗(*)がね?

(*)北条時宗: 鎌倉幕府第8代執権
2度に渡るモンゴル帝国の侵攻(元寇)を退けた。

相談者:
はい

大原敬子:
あの、ジンギスハン(*)が来たときにね?

(*)チンギス・カン: モンゴル帝国の初代皇帝
日本を襲来した当時の皇帝はその孫にあたるクビライ。

相談者:
はい

大原敬子:
も、日本がやられてしまうと。

相談者:
はい

大原敬子:
わたしは、この言葉すごく好きなんですけどね。

相談者:
はい

大原敬子:
そのとき、「和尚・・わたしはもう死にたい」と。

相談者:
はい

大原敬子:
「もう絶対日本はやられてしまうんだ」って言ったときに・・

相談者:
はい

大原敬子:
和尚が言った言葉は、「今、あなたができることを」・・

相談者:
はい

大原敬子:
「毎日」・・

相談者:
はい

大原敬子:
「やっていろ」って言うんですね。

相談者:
はい

大原敬子:
その気持ち、わたし分からなかったんです。

相談者:
はい

大原敬子:
でも・・ほんとにどうしようかなと思ったときは・・

相談者:
はい

大原敬子:
今、目の前にある物を、片付ける?

相談者:
はい・・はい

大原敬子:
今、目の前にある物やってみる。

相談者:
はい

大原敬子:
意識がそこに行きますとね?

相談者:
はい

大原敬子:
1日が終わるんですよ。

相談者:
はい

大原敬子:
で、あれ?・・あれだけ辛い辛いと思っていたのに・・

相談者:
はい

大原敬子:
来ちゃったじゃないっていうの、自信になるんですね。

相談者:
はい

大原敬子:
明日に繋がるんです。

相談者:
はい

大原敬子:
今、ご、お父さまの件でおっしゃるならば、毎日病院に行きますね?

相談者:
はい

大原敬子:
あ・・暗いこと考えない。今、わたしができることは・・お父さんが・・

相談者:
はい

大原敬子:
心が、安らかに・・

相談者:
はい

大原敬子:
「あ、楽しいな」と。

相談者:
はい

大原敬子:
患者さんっていうのは、その介護の人の顔を見て分かるんです、自分の状況が。

相談者:
あはい

大原敬子:
それ泣いてしまったら・・

相談者:
(鼻をすする)はい(泣)

大原敬子:
「あー、もう、わしはもうダメだ」と思っちゃうんですね。

相談者:
はい、それがすごく怖いんです(涙声)。

大原敬子:
わたしも父と母の経験あります。

相談者:
(鼻をすする)はい

大原敬子:
目の前では・・笑って、足揉んでるんです。

相談者:
はい・・はい

大原敬子:
足だと・・顔が見えないでしょ?

相談者:
はい

大原敬子:
そうすっと「いかがですかー?」ってね?

相談者:
はい

大原敬子:
あの、看護師さんの真似しながら、足を揉むんです。これだけやれば、何か、足が浮腫(むく)まないだろうかとか。

相談者:
(鼻をすする)

大原敬子:
今日はとにかく、頭を拭こうとかね?

相談者:
はい

大原敬子:
とにかく行ったときに・・

相談者:
はい

大原敬子:
今できること。

相談者:
はい

大原敬子:
あとは医者に任せますよね?

相談者:
(鼻をすする)はい

大原敬子:
今できることを、今日1日?・・

相談者:
はい

大原敬子:
メモすんですね。

相談者:
はい

大原敬子:
あー、明日はあそこに香りを入れようとかね?

相談者:
はい

大原敬子:
今日は、朝行ったとき「おはよう!」で行こうとか。

相談者:
はい

大原敬子:
メモして、その順番通りにやるんです。

相談者:
はい

大原敬子:
あのね・・夜・・

相談者:
はい

大原敬子:
「あ、終わったあ」って思うんですね。

相談者:
はい

大原敬子:
やっている、人間は行動することによって、悲しみと辛さは消えるっていうのはね?

相談者:
はい

大原敬子:
ほんとなんだなと思ったんです。

相談者:
はい

大原敬子:
もっと簡単なのは、歩けっていうんですね。

相談者:
はい

大原敬子:
歩いてるうちに・・

相談者:
(鼻をすする)

大原敬子:
頭が整理されるんです。

相談者:
はい

大原敬子:
できたらお父さまの件は、現実を受け入れる。

相談者:
はい

大原敬子:
でも、あなたが最後まで、自分の中に・・

相談者:
はい

大原敬子:
あのね?最後に後悔っていうのはね?、自分の心ん中に・・あれもしとけば良かったとか・・

相談者:
ええ

大原敬子:
こうすれば良かったってことがあるんですね。

相談者:
あはい

大原敬子:
要するに、自分の中で「やった」、「やった」・・

相談者:
はい、はい

大原敬子:
「これできた」・・

相談者:
はい

大原敬子:
「できたじゃないか、わたしは」って思うと・・力が出るんです。

相談者:
はい

大原敬子:
ですから、お父さまの件は、あなたは明日もまた行くでしょ?

相談者:
はい

大原敬子:
今、何してなさってます?
病院行きますね?・・

相談者:
はい

大原敬子:
はい、どうぞ。

相談者:
・・お父さんに・・

大原敬子:
うん

相談者:
笑顔で・・
「お父さんもうすぐ、元気になるからね」・・って言って、足を揉みます。

大原敬子:
うん、それで?

相談者:
身体をさすってあげて、

大原敬子:
うん

相談者:
顔を拭いてあげて。

大原敬子:
うん。それから?

相談者:
「すぐ良くなるから頑張ってね」って・・声を掛けます。

大原敬子:
あの、できたらね?

相談者:
はい

大原敬子:
・・本人自身はもう知ってるんですよね、あれは。

相談者:
はい

大原敬子:
「今日も会えて良かったね」って。

相談者:
はい

大原敬子:
「明日も頑張って来るから」って。

相談者:
はい

大原敬子:
今日1日に話がね?、とても大事なんですよ。

相談者:
はい

大原敬子:
「頑張ってね」って言われても・・頑張れないの、本人。

相談者:
はい

大原敬子:
ね?

相談者:
はい

大原敬子:
だから、「明日も元気で来るから」って。

相談者:
はい

大原敬子:
分かります?

相談者:
はい

大原敬子:
しっかりと・・あなた口紅つけてる?

相談者:
つけてないです。

大原敬子:
もう、どんな口、もう、「どうしたの?今日は」って思ったぐらいに・・

相談者:
はい

大原敬子:
相手は顔色を見て・・「あれ?、違うな」と思うんですね。

相談者:
(鼻をすする)・・はい

大原敬子:
わたしはほんとに・・父・・親あ、が、好きだったものですから、

相談者:
ええ

大原敬子:
父がもうダメだって分かったときに・・

相談者:
はい

大原敬子:
絶対に・・最後まで・・

相談者:
はい

大原敬子:
と思って。病院の先生驚くでしょうね、口紅つけて行くんですから。

相談者:
はい

大原敬子:
あ、ほんとに(笑)

相談者:
はい

大原敬子:
でも、負けないと思って?

相談者:
はい

大原敬子:
そして、とにかく触れとこうと。

相談者:
はい

大原敬子:
もう、指もマッサージしたり・・爪もマッサージした、とにかくやるんですね。

相談者:
はい

大原敬子:
すと結構痛くなるの、もうあっちこちが。

相談者:
はい

大原敬子:
あの、椅子には絶対座らなかったのね。

相談者:
はい

大原敬子:
もう、とにかく、足揉んだり。

相談者:
はい

大原敬子:
そのときに、何を知恵、ん、知お、知恵ってのもらったかというとね?

相談者:
はい

大原敬子:
悲しみとか云々っていうのは・・

相談者:
はい

大原敬子:
何もしないときのほうが・・

相談者:
はい

大原敬子:
想像で・・

相談者:
はい

大原敬子:
自分をどんどん追い詰めるんだなって。

相談者:
はい

大原敬子:
やることがあると、自分のやる仕事に・・エネルギーが出るんです。

相談者:
(鼻をすする)はあ、なるほど。

大原敬子:
分かりますか?

相談者:
はい・・はい

大原敬子:
わたしは父の、看病は、仕事と思ってました。
そうすると・・

相談者:
はい

大原敬子:
パニックにもならなかった。
悲しみに進むと・・

相談者:
はい

大原敬子:
どんどん、どんどん、その方向に行ってしまって、

相談者:
はい

大原敬子:
暗ーくなるんです。病院が。

相談者:
はい、そうなんです(震え声)もう・・

大原敬子:
も、絶対、父には・・笑顔でいようって。

相談者:
はい

大原敬子:
どんなことがあってもいようと思ってましたね。

相談者:
はい

大原敬子:
お役に立てるか、どうか分かりませんけど、それですね、1点は。

相談者:
はい

大原敬子:
つまり・・父親を看ていながら・・

相談者:
はい

大原敬子:
わたしの生きる力を父親からもらったんですね(涙声)。

相談者:
・・はい

大原敬子:
そしたら、あれ以外の・・悲しみはなかったものですから、

相談者:
はい

大原敬子:
「あーそうか」・・

相談者:
(鼻をすする)

大原敬子:
「乗り越えられたわたしだったら」・・

相談者:
はい

大原敬子:
「今後の人生」・・

相談者:
(鼻をすする)

大原敬子:
「父はこれを教えてくれたのかな?」と思ってました。

相談者:
・・ああ

大原敬子:
看病じゃないですね。

相談者:
そういうふうに考えればいいんですね?

大原敬子:
そうなんです。

相談者:
(鼻をすする)

大原敬子:
悲しみと辛さの感情は・・

相談者:
はい

大原敬子:
乗り越えられることを(涙声)・・学びました。

相談者:
はい

大原敬子:
ね?

相談者:
はい

大原敬子:
それが、お父さまの件ですよね。

相談者:
(鼻をすする)はい

大原敬子:
もう1つは、あなたの今までの人生なんですね。

相談者:
(鼻をすする)はい

大原敬子:
このご主人さまは、今でもやっぱり好きだってことを認めることですね?

相談者:
好きだった!

大原敬子:
うん
好きだった。

相談者:
てことを認めるんですか?

大原敬子:
うん。好きだったんだって。
だってね?、好きじゃなかった人にね?

相談者:
ええ

大原敬子:
ギャンブルなんか借金返すの腹立つでしょ?

相談者:
はい

大原敬子:
でも・・借金を返したんでしょ?あなた。

相談者:
はい

大原敬子:
好きだったからじゃないの?

相談者:
・・・・そうですねえ(震え声)。

大原敬子:
そう思いませんか?

相談者:
はい

大原敬子:
好きだったんです。
それなのに・・夫は・・感謝もしない・・恨みがあって憎しみがあるんです、あなたに。

相談者:
はあい

大原敬子:
こうやってあげたいってのはほんとの気持ちなんですね。

相談者:
はい

大原敬子:
やってるうちに・・感謝の言葉がないときに、「やってあげたのに」になっちゃうんです。

相談者:
ええ、ええ

大原敬子:
・・でも・・当初の頭は「好き」だったわけでしょ?

相談者:
はあい

大原敬子:
その、好きという原点に・・に?立てば・・

相談者:
はあい

大原敬子:
「あ、自分は好きだったんだな」って。

相談者:
はい

大原敬子:
「だから借金払ってるんだ」って。

相談者:
はい

大原敬子:
「そうか、わたしのお金って生きてたんだ」って、自分の好きな、感情が・・行為となったと思ったら・・

相談者:
はい

大原敬子:
心、楽になりませんか?

相談者:
あ・・そうですね、はい

大原敬子:
難しいでしょうか?

相談者:
はあ・・(鼻をすする)、いや頑張ってみます。

今井通子:
フフ(笑)

大原敬子:
どのように頑張るの?

相談者:
・・(鼻をすする)、あ、主人を好きだったっていう、感情を・・

大原敬子:
うん

相談者:
・・もう一度・・思い起こして・・で・・・その・・

大原敬子:
うん

相談者:
わたし自身が・・

大原敬子:
うん

相談者:
たぶん、すごく・・そういう主人に・・

大原敬子:
うん

相談者:
依、依存して、生きて来たんだと思うんでね。

大原敬子:
あー、すごいです。そうですね、うーん

相談者:
(鼻をすする)だからほんとに、そういう物を手放して、

大原敬子:
うーん

相談者:
はい
父の・・看取りを、一生懸命、やらしていただきたいと思います。

大原敬子:
ね?、あなたってすごく素直ですね?

相談者:
いえいえ、もうほんとに、でも・・

大原敬子:
うん

相談者:
ほんとにそう、思いました。あのお、自分が・・

大原敬子:
うん

相談者:
もう、こんだけやってんのにっていう・・

大原敬子:
うん

相談者:
怒りばかりで、

大原敬子:
うん

相談者:
もう、う、そんな自分でしか生きられように、ない、く、なってしまったのは、

大原敬子:
ええ

相談者:
すべて、自分が、こうして来たからだと思います。

大原敬子:
すごいですねえ。

相談者:
いえいえ

大原敬子:
もう、もう、もう、びっくりしました、驚きました、嬉しいです、すごく。
でも、きっと、お父さまも・・

相談者:
はい

大原敬子:
あなた達との親子関係を・・

相談者:
はい

大原敬子:
もう一度絆を繋げて、

相談者:
はい

大原敬子:
あなたに何かメッセージを、残すと思いますよ?

相談者:
はい

大原敬子:
わたしは・・生きる力を父からもらいました。

相談者:
はい

大原敬子:
うん
ちょっと待ってくださいね。

相談者:
はい

大原敬子:
今井先生に代わりますね。

相談者:
ありがとうございました。

大原敬子:
はい

(再びパーソナリティ)


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