受かった試し無いオケ・オーディション。本番に弱いバイオリニスト11回目の挑戦
テレフォン人生相談 2020年9月12日 土曜日
両親ともに会社員。
6歳からバイオリンを始めて音大を出てプロの道に。
演奏の機会は得ているもののオーケストラのオーディションには落ち続けている。
アガって力んでしまう。
一度落ちたオーケストラに2度目の挑戦を前にアドバイスを。
リスナーが一番驚いたのは高橋龍太郎の思い出話。
アタシは知ってたけど。
ヘルメット1万人を前に拡声器でアジる学生運動の闘士。
我々はぁ!
後に精神科医。
アマ以上プロ未満って言うんでしょうか。
いや、それは相談者に失礼。
報酬の多寡は関係ない。
たとえスネかじりであろうとプロだ。
今井さんも「え!?」て感じだったけど、所属先のない相談者が一度も受かったことがないというのは当然で、就活みたいなもんだから、受かればオーディション歴はそこで終わるわけだ。
ご両親と同居かしら。
ひとり暮らしだとしても仕送りがないと厳しそう。
演奏会のたんびに休めるバイトでもあればいいけど、きっとそんな必要もないわね。
好きなことを続ける娘に満足。
公益社団法人日本オーケストラ連盟というのがあって、加盟する団体は36。
このうち、団員に固定給を支払うという条件を満たさないといけない正会員は25団体。
N響や、日本フィルハーモニー、九響など、アタシでも知っている名前が連なる。
ひとつの団体が抱える演奏家は数十人から100人余り。
25団体の合計は1800人足らず。
日本においてオーケストラ専業で食べていける演奏家はここまで。
仮に年5%の退団があるとするなら90人。
これが日本全国の年間の求人数ということになる。
競争率はどのくらいなんでしょう?
マイナーなパートだと募集は数名からゼロ。
バイオリンは比較的多そうだけど、応募者数も比例するから、かなりの狭き門だということは素人でも分かる。
受けに来るのは相談者のようなプロやセミプロ。
たぶん課題が完璧にこなせるのなんて当たり前で、あとはアタシの耳なんかでは聞き分けられない感性や表現力の差?
入社試験ならアガるなんて減点にもならないけど、オーディションでアガるということは本番もアガるということ。
きっと重要な評価項目に違いない。
路上ライブをやりまくればアガリなんて突き抜けないかしら?
てか、そこまでの情熱がない。
だって、親の期待に沿ってきただけだから。
高橋龍太郎 「楽しめる音楽人生はあるわけでしょ?」
答えさせる質問じゃなかったんだけど、実はYESじゃない。
音楽を職業にした不幸。
アンタにとっては続けたいバイオリンではなく、やめられないバイオリン。
アガリの本質は親のプレッシャー。
昔、ビートたけしが、娘にバイオリンを習わせたワケをおもしろおかしく話してた。
チェックのスカートにブレザー、革靴にハイソックスを履いた娘がバイオリンケースを下げて歩く。
後ろ姿を糟糠の妻(*)と2人で眺めながら「いいね♪」
(*)糟糠の妻: そうこうのつま。苦しい時代を支えた妻。糟糠は米かすと米ぬかでこの場合は粗末な食材を指す。
親の自己満と言えばそうだけど、でも一方で、きっかけを与えるのも親。
本人の興味の赴くままに任せていたら遅すぎて趣味の世界にとどまる。
水泳のトップ選手は物心つく前から始めてるし、
チチロー(*)がイチローの兄にバットとグローブを与えなければ天才バッターは生まれなかった。
(*)チチロー: イチローの父
ヨチヨチ歩きの浅田真央にバレエを習わせ、5歳のときに姉妹をリンクに連れて行ったのは母。
5歳の藤井聡太に将棋のルールを教えたのは祖母。
早稲田実業からドライチの清宮(日ハム)の父親(早稲田大学、社会人のラグビー部監督を歴任)は、野球やラグビーはもちろん、1週間が日替わり種目で埋まるぐらいに、あらゆるスポーツをやらせて、中学に上がるときに一つに絞らせた。
経済力もないと難しい。
多くの家庭は一つか2つぐらいしか与えられない。
どうやってそれを選んでますか?、選びましたか?
パーソナリティ: 今井通子
回答者: 高橋龍太郎(精神科医)
相談者: 女29歳
今井通子:
もしもしい?テレフォン人生相談です。
相談者:
もしもし?こんにちはあ
今井通子:
こんにちはあ
今日はどういったご相談ですか?
相談者:
えと、あのお、あたしい、が、えっとバイオリン・・を、弾いているんですけれども、
今井通子:
はい
相談者:
来週に・・大事なオーディションがあって、
今井通子:
はい
相談者:
そこで自分の実力を発揮できるように、
今井通子:
はい
相談者:
するには、どうしゅうふ(どういう風に)に、心を持ってったらいいのかな?っていう、相談です。
今井通子:
ああ・・
まず、お年はおいくつ?
相談者:
29歳です。
今井通子:
29歳・・・・どれぐらいの頃から・・バイオリンを弾いてらしたの?
相談者:
6歳、ですかね?
今井通子:
あ、6歳から?
相談者:
はい
今井通子:
お父さんお母さんいらっしゃいますよね?
相談者:
はい
今井通子:
親御さんは・・
相談者:
はい
今井通子:
あの、例えば、お父さまとかお母さまは・・音楽家?
相談者:
いいえ、違います。
今井通子:
お父さまは、じゃ、普通の会社、もしくは自営?
相談者:
えっと会社員です。
今井通子:
会社員でらっしゃるの?
相談者:
はい
今井通子:
お母さまは?
相談者:
は(わ)、えー、も、会社員です。
今井通子:
なるほど・・・・そうすると・・音楽をやってらっしゃるのは、あなたお1人なの?
相談者:
そうですね。はい
今井通子:
これは、あの、趣味でやってらっしゃんの?、それとも、もう、ずっと前から・・バイオリンを弾く音楽家になろうと思って、子どもの頃からやってらしたの?
相談者:
えっと、小さいときはそんなに、音楽家になろうと思っていなかったんですけど、
今井通子:
はい
相談者:
大学う、が音大に行ったので、
今井通子:
ええ
相談者:
そのまま・・バイオリニストになりたいなと思って卒業してからもバイオリンの仕事をしています。
今井通子:
あ、なるほど、なるほど。
相談者:
はい
今井通子:
そうするともう、普段から演奏はしてらっしゃるのね?
相談者:
はい、しています。
今井通子:
はい
これは、ソロの、お仕事?それとも、こう、なんかオーケストラとか。
相談者:
あー、両方やっています。
今井通子:
あー、両方やってらっしゃんのね?
相談者:
はい
今井通子:
はい
で、今回の、オーディションは何か・・
相談者:
はい
今井通子:
特別なあ、ものなんですね?そうすと。
相談者:
そうですね。
あの、オーケストラに入るための・・
今井通子:
あー
相談者:
オーディション・・
今井通子:
なるほど。
相談者:
はい。で、どうしても・・入りたくて、
今井通子:
うん
相談者:
受けるっていう、感じですね。
今井通子:
あーあ・・ということは、今まででもそうすると、その・・えー、ソロでもやってらっしゃるし、
相談者:
はい
今井通子:
なんか・・オーケストラ・・まで行かなくても、いろいろこう・・皆さんと、やったりされてるときは、
相談者:
はい
今井通子:
オーディションって・・あったんですか?
相談者:
今までも何度も受けています。
今井通子:
・・なるほど。で、それのお・・勝率はどれぐらい?
相談者:
1度も、受かったことはないです。
今井通子:
あっ、そうなんですか・・ん?
相談者:
あ、ま、あ、あーと、オーケストラのオーディションは1度も受かったことがないんですけど、
今井通子:
うん
相談者:
ほかの・・「この演奏会に出られるよ」みたいな、小さいやつとかだと・・ちょっとずつは・・ていう感じですね。
今井通子:
要するに、あなた自身は、もう、お仕事としてえ・
相談者:
はい
今井通子:
だからプロとして、
相談者:
はい
今井通子:
バイオリニスト、やってらっしゃって、
相談者:
はい
今井通子:
カルテットとか、そういうような、こう・・
相談者:
あ、はい
今井通子:
あの、どっかで弾くみたいな、ときの、
相談者:
はい
今井通子:
オーディションがあったとしたら・・
相談者:
はい
今井通子:
そういうのはちゃんともう、受かっていて、
相談者:
そうですね。
今井通子:
うん
相談者:
演奏の機会はいただけているので。
今井通子:
うん。で、今回どうしても入りたいなあと思う、オーケストラがあるんだけど、
相談者:
はい
今井通子:
オーケストラの・・一員になろうと、思、って、
相談者:
はい
今井通子:
ほかのところでも受けた、ときの・・
相談者:
はい
今井通子:
オーディションでは、受かったことがないってこと?
相談者:
はい、そうですね。そのお、今度受けるオーケストラ、2回目、なんですけれど、受けるのが。
今井通子:
はい、はい
相談者:
その前もダメだったっていう感じです。
今井通子:
あ、じゃ、1回目はダメだったということね?
相談者:
はい
今井通子:
・・で、ほかにも、どうしても入りたい。この、オーケストラあ、に・・
相談者:
はい
今井通子:
以外にも、受けたことありますか?オーケストラで。
相談者:
はい・・はい、あります。
今井通子:
何回ぐらい?
相談者:
(息を吸って)・・10回・・弱・・
今井通子:
10回弱
相談者:
は、受けていると思います。
今井通子:
なるほどお・・そして・・そのときに?
相談者:
はい
今井通子:
受からなかった理由をあなたはなんだと思ってます?
相談者:
・・そうですね、やっぱり・・最初に受けた頃は・・明らかに準備不足だったなと。
今井通子:
技術的に?
相談者:
はい、技術的な、準備不足う・・
今井通子:
はい
相談者:
を感じるんですけれども、
今井通子:
はい
相談者:
最近のその・・今度受けたい、オーストラリアの、前、受けたとき・・
今井通子:
うん
相談者:
とっても悔しかったのを、覚えてるんですけど、
今井通子:
はい
相談者:
そのときはあ、やっぱりメンタル面の・・準備がすごく足りなかったなという・・
今井通子:
あー
相談者:
印象で・・
今井通子:
うん
相談者:
うん
今井通子:
俗に言うあがっちゃった?
相談者:
あ、そうですね、完全に。
今井通子:
・・で、あがっちゃったときには、どうなりました?
相談者:
あー、え・・
今井通子:
いろんな、いろんなことがあるじゃないですか?
相談者:
はい。なんか、えっとお・・え、力んでしまってちょっと音が汚くなってしまっ・・
今井通子:
あ・・
相談者:
たのもあるし、
今井通子:
力が入りすぎたのね?
相談者:
はい。えと、長い音を、ずっと伸ばすみたいな、課題が出ていたときに、
今井通子:
はい
相談者:
と、弓が震えてしまって、
今井通子:
ほお、ほお
相談者:
も、音が、乗らない・・ような状態になってしまって、
今井通子:
うん
相談者:
それもすごく・・怖、くなってしまって、
それとまったく、同じ課題が今回出ているのも、また、ちょっと・・
今井通子:
ふうーん
相談者:
えっと、また震えるんじゃないか?みたいな・・
今井通子:
うん、うん
相談者:
先入観、なんだと思うんですけどお、そういうふに考えてしまって・・
今井通子:
なるほど。
相談者:
震えと力んでしまうのが、たぶん、自分の中で大きいと思います。
今井通子:
(息を吸って)分かりました。
そうするとお・・その辺を含めて・・
相談者:
はい
今井通子:
そのメンタル面のモチベーションを・・どう持ってったらいいか?・・ていうことがご質問?
相談者:
・・そうですね、はい
楽しく・・本当は弾きたいんですけど・・
今井通子:
はい
相談者:
やっぱりこう人目が、その評価されることに気が向きすぎている・・ん、のかな?と思っていて・・
今井通子:
うん
相談者:
・・その、楽しく、ちょっとでも弾けるように何か・・そんな解決方法は、そんなないかもしれないんですけど(苦笑)、何かアドバイスいただけたらなと・・思って電話しました。
今井通子:
分かりました。
今日はですね、精神科医の高橋龍太郎先生がいらしてますので伺ってみたいと思います。
相談者:
あ、はい
今井通子:
先生よろしくお願いいたします。
(回答者に交代)
音大と言えどレベルも様々、しかも演奏家になる強い意志無くやってたようなので、メンタルがどうとかではなく、オケのレベルに技術が達してないだけでは?
高レベルの音大なら、まわりの話を聞けば6才で始めた自分のスタートが遅かったことがわかるはずなのに自覚が無さそうなので、あまり有名ではない音大かな、と。
多分メンタルではなく技術が足りないんでしょう。
相談内容を聞いた途端に欠伸を噛むような今井さんの返事に笑った。なんたって今週は半端なかった週間だったからな。レイプだ風俗だネグレクトだセックス拒否だと…
音楽家になりたい人は星の数ほど。
音楽で食べていける人は星座の数ほど。
(※個人的なあてずっぽうの思い込みです。)
プロを目指す人は幼少の頃から並々ならぬ努力をして才能を磨きいろんなチャンスをうかがっている。なんとなく楽器がうまいからでは到底。
残酷だけど運と才能が物言う世界だから努力したからといって、それがどうした。
あきらめて、ただでさえ少ない音楽関係以外は就職してもつぶしがきかず産廃扱いも珍しくはない。
演奏家は演奏を間違っても間違いと思わせない技量と心の余裕が大事で、一度もあがったことが無い人もいる強者の中の強者でなければ一流オケや演奏家は厳しいと思う。
だけど人に聴かせられるような音色を奏でられる相談者さんは心底うらやましい。
まわりが許す限りこれからも素敵な曲をあらゆるシーンで響かせてください。
今井さん、もう少しスムースに聞き取りできないかな。いらいらした。どうも相談内容、及び相談者の傾向によって不要な「なるほどフィルター」が発動するクセがあるような気がする。今回の相談から感じるのは、芸術家に何かコンプレックスがあるのか、だね。
管理人さんのコメントに同意。
こどものスポーツでも、とても才能があるのに、肝心な時に緊張して結果を出せない選手とか、よりによって試合前にケガをして試合に出られない選手とか、たいてい親のプレッシャーのせいだ。
肝心な時に、用意周到にかつ徹底的にがんばることができないのは、潜在意識で成功を避けているからだ。それは、成功したらしたで自分の意を置いてけぼりで、親が先走るのが目に見えてて、それが嫌だから、だと思う。
技術が同程度の場合、薄紙一枚の差を作って選ばれる人間というのは、親ではなく本人が強靭な意志を持って成功をめざしている人間だとつくづく思う。
私は占いが好きではないのですが、身近に算命学の占い師がいます。子供が生まれた時勝手に占ってくれました。
その時に、「この子は芸術や運動にとんがった才能の星は持ってないから」と言われて安心したのを思い出しました。でプールとか普通の習い事と中学受験を選考しました。
確かにとんがった才能の星は持って無さそうです。
近所に引退した野球選手がチラホラ住んでいますが、息子さんたちもちろん野球やってますが、みんな高校、大学まで野球推薦ですがそのあたりで終わってます。
ホントプロって言うのは抜きに出た才能なんだなぁと感じさせられます。
これはここに相談してくるの間違ってるんじゃないのかな。
プロ野球の入団テストに合格するのにここに訊くか?ってのと同じ。
プロ野球の場合、大方の人は高校野球から目を付けられてる。(へたすりゃ中学から)
だとしたら、クラシックの場合海外の〇〇コンクール第〇位とか獲ってるじゃない。
例えばNHK交響楽団の演者の経歴見ても、なーんもない人なんかいないんじゃない?
もしいたとしたら、例えば全国で50人枠があったとして、40人くらいがほぼ輝く経歴を持っていて、残り10枠を輝いていない毎年落ちてる人や新人がひしめき合ってる、そんな感じでしょうに。
そこらの市場調査もできてないのかなあ。
できてればここに相談にこないだろうなあ。
それに大体そんなとこに行こうとする人は、有名な先生にレッスン受けてるだろうに、その先生に「私ここの交響楽団受けようと思うんですが」って普通訊くよね。
その先生が「君はメンタル弱いから、人生相談に相談してみたら?」って言うわけがない。
ということは、この人箸にも棒にもかからないレベルだと思うよ。
少し前の「娘をガチガチに躾したのに、大学入学後にはっちゃけてしまった」高齢出産ママからの相談の対極にある今回。
本件の相談者に反抗期はあったのだろうか。無かった気がする。
モラトリアムがまだ許される内に、演奏系YouTuberでやってみたらどうだろ。いざプロで食っていくなら最大の敵は親のプレッシャーでなくて、大衆の評価。どうせ対峙しないといけないなら、まずはオーケストラよりも遥かに敷居が低いYouTubeでやってみたらどうか。
それにしても演奏家の道も狭き門である。大学で研究者として生きるのも狭き門なのと比較してしまう。院卒の世界も「院卒の4割は10年内に消息不明となる」という世界だが、演奏家も似たり寄ったりなのだろう。
へえー高橋センセー
団塊左翼だったのねぇ