高僧にインディアンにタタルケビッチ。娘の死を受け入れられない母へ珠玉の言葉
(回答者に交代)
大原敬子:
今お辛いですよね。
相談者:
はい、へ(苦笑)
大原敬子:
わたし、ごときがね?
相談者:
はい
大原敬子:
その人生の辛さに・・話せるだけの・・
相談者:
はい
大原敬子:
度量と・・力はないんですね。
相談者:
はあ
大原敬子:
ただ、わたしが38歳のときですね。
ま、人から見たらなんでもない苦しみかもしれませんけども、
相談者:
はい
大原敬子:
わたしが、苦しんで苦しんで苦しみぬいたときに・・
相談者:
はい
大原敬子:
助けてくださった僧侶がいたんですね。
相談者:
はい
大原敬子:
二千日回峰行(*)を、なさって、
(*)千日回峰行: せんにちかいほうぎょう
7年に渡る過酷な修行。
2千日回峰行というのはこれを2回満行したということ。
大原敬子:
酒井雄哉 大阿闍梨(だいあじゃり)(*)っていうんですね。
(*)酒井雄哉: さかいゆうさい
天台宗の僧侶 2013年87歳没
特攻隊員として終戦。
比叡山千年の歴史の中で、二千日回峰行者の3人のうちの一人。
なお、三千日回峰行者は一人もいない。
相談者:
うん
大原敬子:
その方が、まだお元気で・・わたしは、そこに、尋ねたんですね。
相談者:
はい
大原敬子:
でそれからずうっと先生の・・
相談者:
ええ
大原敬子:
お話を伺いました。
相談者:
はい
大原敬子:
で、今のをとっさに浮かんできた言葉を・・
相談者:
はい
大原敬子:
お話しますね。
相談者:
はい
大原敬子:
先生こう言ったんです。
もう、いつもわたしが後悔してて、
相談者:
はい
大原敬子:
亡くなった祖母ですよね。
あのときにもっと優しくすれば良かったんだとか・・
相談者:
あー、はい
大原敬子:
もう、愚痴をいっぱいしゃべったんです。
相談者:
はい
大原敬子:
ほたら先生がね・・大阿闍梨がね、
相談者:
はい
大原敬子:
「あのねえ」って・・
相談者:
はい
大原敬子:
「平たい言葉で言うね」って言うんです。
相談者:
はい
大原敬子:
で「人間っていうのはね、僕はまだね」・・当時、摩訶止観って難しい経本があるんですって。
相談者:
はい
大原敬子:
で「僕は何言っても全然分からない」って。
相談者:
はい
大原敬子:
でも回峰行をしてる最中に・・
相談者:
はい
大原敬子:
一つ一つが・・ただ、ここ乗り越えよう。ここを歩こうと思ったんですって。
相談者:
はい
大原敬子:
そのときにね?
「こうしてあげたい。ああしてあげたいっていうのは」ね?
相談者:
はい
大原敬子:
「それ、あんた」・・「あんたはんが」・・
相談者:
はい
大原敬子:
「自分の世界観で」、い・・
相談者:
はい
大原敬子:
「言ってるのと違うか?」っていうんです。
相談者:
はい
大原敬子:
「その、亡くなったお祖母ちゃんは、90いくつだよね」って。
相談者:
(鼻をすする)・・はい
大原敬子:
それを38のあなたが、「こうしてあげたかった」って言っても・・
相談者:
うん
大原敬子:
「お祖母ちゃんが望んでることは違うと思うよ」って言うんです。
相談者:
あー、はい、はい
大原敬子:
「人が『後悔』っていうのは」
相談者:
はい
大原敬子:
「憐愍(れんびん)とか、憐れみってあるけれども、あくまでも自分の世界観で、ああすれば良かった。こうすれば良かったって思う」
相談者:
はい
大原敬子:
「じゃ、そのお祖母ちゃんあなたに教えたか?」って。
相談者:
ふん
大原敬子:
「あんたが健康だっていうことを教えてくれただろ?」っていうの。
相談者:
あー、はいはい
大原敬子:
「あなたが」ね?・・
相談者:
はい
大原敬子:
「歯が痛いとか」・・
相談者:
はい
大原敬子:
「お腹が痛いとうずくまったときに」・・
相談者:
はい
大原敬子:
「あー、お祖母ちゃま、あれをしてあげ、れば良かったとかって、後悔は出るかい?」って言うんですよ。
相談者:
あー、はい
大原敬子:
つまり・・お祖母ちゃんは・・
相談者:
はい
大原敬子:
「健康で良かったね」って、
相談者:
はあ
大原敬子:
「嬉しいよ」って伝えてるんですって。
相談者:
あ・・ああ、はい・・はいはい
大原敬子:
それうで返すと・・あなたも、お嬢さんのこと可哀想とかいろいろ思いますよね?
相談者:
はい
大原敬子:
でも、「お母さん・・わたし、これでいいのよ、幸せよ」って。
相談者:
あー
大原敬子:
「お母さん元気じゃない」って。
相談者:
(鼻をすする)ええ
大原敬子:
「お母さん、元気忘れないでね」ってことです。
相談者:
はい
大原敬子:
後悔っていうのは、
相談者:
はい
大原敬子:
自分が幸せなんですね。
相談者:
・・あー
大原敬子:
健康という・・
相談者:
はい
大原敬子:
早く言えば、あ、「後悔したな、ああすれば良かったなっていうのは、健康っていうことの土台を絶対覚えとけ」って言われたんです。
相談者:
あーあー、はい、はい、はい
大原敬子:
「あ、そうかあ」って・・「自分は健康っていうことがあって」・・「後悔という」・・
相談者:
はい
大原敬子:
「形に現れるんだな」と。
相談者:
あー
大原敬子:
健康ってこと忘れてしまうから・・人は本能でね?
相談者:
はい
大原敬子:
もっともっと求めるって。
相談者:
はあ
大原敬子:
でも考えてみたら・・あなたが・・満身創痍だった場合に・・後悔って、お、気持ち行きますか?
相談者:
・・(ため息)はい、はい
大原敬子:
今あなたがほんとに健康なんですよ。
相談者:
・・娘が、病気のときに・・
「お母さんカラオケ教室は絶対やめんといてね」、「わたし頑張るし、やめんといてぇ」言ってて・・もう、最後はそれやったね。
で、その言葉があるもんで、
大原敬子:
うん
相談者:
あの子が亡くなってから2ヶ月ほど後に、発表会あったんですけど、あの子の遺言通りい、発表会に出ました、あー(苦笑)。
大原敬子:
であなたが一番好きな歌があるでしょう?
相談者:
はい、はい、はい、はい
大原敬子:
カラオケで。
相談者:
はい
大原敬子:
それを、お嬢さんは聴いてると思いますよ。
相談者:
あー、あ、はい
大原敬子:
で・・あの大、阿闍梨がこう言ったんですよ。
「人には寿命というものがある」と。
相談者:
はい
大原敬子:
「寿命をありがたく、受け取ることだ」って言うんですね(苦笑)。
相談者:
そうですか。はい、分かりました
大原敬子:
寿命を受け入れられないのがね?
相談者:
はい
大原敬子:
知恵のある人間なんだって。
相談者:
・・あー(ため息)
大原敬子:
「じゃなぜ、その寿命ってあるんですか?」って聞いたら、
「家族があるだろう」って。
相談者:
あーん
大原敬子:
「それから、愛っていう絆が」・・
相談者:
はい
大原敬子:
「厄介なものがあるじゃないか」って。
相談者:
はい
大原敬子:
だ・・自分の心の中に執着があるわけですね。
相談者:
はい
大原敬子:
先ほど・・言ってましたね。
「あ、娘は生きててくれればいい」って。
相談者:
はい・・はい
大原敬子:
わたしもね?・・「祖母が・・もう腰が曲がっても」・・
相談者:
(鼻をすする)はい
大原敬子:
「しゃべれなくっても」・・
相談者:
はい
大原敬子:
「わたしの目の前でいてくれればいい」と言ったんですね。
相談者:
そうなんです。
大原敬子:
ね。
相談者:
まだ形があれば・・
大原敬子:
ね。
相談者:
と思うんですよね。
大原敬子:
そしたらね?
相談者:
はい
大原敬子:
大阿闍梨がね。
「君は・・ほんとに・・自分しか考えられないんだね」って。
相談者:
は、あー、はい、はい、はい
大原敬子:
「じゃあ、お祖母ちゃんが『痛い痛い』って言っても」・・
相談者:
うん
大原敬子:
「そう思うのかい?」って言うのよ。
相談者:
あー、はい
大原敬子:
そのときに・・あなた星でしたよね?
相談者:
はい
大原敬子:
わたしはね?・・お月様と・・
相談者:
はい
大原敬子:
夕焼けです。
相談者:
あー、はい、はい、はい
大原敬子:
それを見ると、祖母のこと思い出すんですね。
相談者:
あ、はあ、はい、はい
大原敬子:
で・・それを・・阿闍梨さんが帰りに送ってくださったときに・・
相談者:
はあ
大原敬子:
琵琶湖の見えるほうですね。
相談者:
はあ、はいはい
大原敬子:
見て。
相談者:
はい
大原敬子:
わたしが・・「あー!、ここが極楽かな」と思ったのは・・
相談者:
はい
大原敬子:
誰にも言えない、あのね、綺麗なね、夕焼け?
相談者:
はい
大原敬子:
わたしがね・・「阿闍梨先生すっごい綺麗」って言ったんです。
相談者:
はい
大原敬子:
綺麗と思うときは・・
相談者:
はい
大原敬子:
心が満たされてるんですって。
相談者:
あー、はい、はい、はい
大原敬子:
そのときは・・祖母も・・喜んでるんですって。
相談者:
あー、はい、はい
大原敬子:
今日1日生きるっていうことは・・
相談者:
はい
大原敬子:
あ・・あの人喜んでるかな?って。
相談者:
はい
大原敬子:
今日わたし満足したんだって。
相談者:
はい
大原敬子:
「『きっと満足したんだよ』ってしゃべればいいんだ」っての。
相談者:
うーん
大原敬子:
「常に語りかけろ」って。
相談者:
あーん
大原敬子:
だからわたしはお月様を見ると・・
相談者:
はい、はい
大原敬子:
「お祖母ちゃまあ!」って、「今日元気だったよ」ってことやるんですね。
相談者:
あー、ああそうですか。
わたしも夜、あの子かな?わたしを見えるかな?と思って。
大原敬子:
お話しました?まだしてないでしょ?
相談者:
ンヘヘヘヘ(苦笑)
大原敬子:
あのね?
相談者:
はい
大原敬子:
悔しいことも・・
相談者:
はい
大原敬子:
嬉しいことも(震え声)
相談者:
はい
大原敬子:
あなたの場合はお星様ですよね?(震え声)
相談者:
はい
大原敬子:
帰ってこなくても・・
相談者:
はい
大原敬子:
側にいる感覚があるんですね(涙声)。
相談者:
はい
大原敬子:
そして、自分の中に思ったんです。
自分が常に思っていれば・・
相談者:
あん
大原敬子:
(涙声)祖母という存在がは消えないんですね。
相談者:
うん
大原敬子:
わたしはこの年代になって・・
相談者:
はい
大原敬子:
お月様と・・夕焼けを見たときに・・
相談者:
はい
大原敬子:
祖母を感じられる物を・・
相談者:
はい
大原敬子:
祖母が亡くなって感じたんです(涙声)。
相談者:
あーあ
大原敬子:
あなたの場合に・・
相談者:
はい
大原敬子:
1つの答えです。
相談者:
はい。ありがとうございます。
大原敬子:
「カラオケを・・お母さん行って」って。
相談者:
はあ、そうそうそう
大原敬子:
それを彼なる、せつなる、彼女の・・お母さんが元気じゃないと・・
相談者:
はい
大原敬子:
自分が・・
相談者:
はい
大原敬子:
打ち勝って行けないんですよ。
相談者:
「お母さんが元気でないとわたしが困るよ」って言ってえ、いつもそう言ってました。
大原敬子:
うん・・でもう1つはね?
相談者:
はい
大原敬子:
あなたの好きな曲ありますね。
相談者:
はい
大原敬子:
ほん・・とに落ち込んだときは(涙声)・・
相談者:
はい
大原敬子:
お嬢さんの名前を言って・・
相談者:
はい
大原敬子:
一緒に歌うんです(涙声)。
相談者:
はい・・え
大原敬子:
そのときに、あなたのどっかに・・あ、娘は・・必ず自分の・・(震え声)
相談者:
ええ
大原敬子:
心の中にいるんだと。
相談者:
はい
大原敬子:
だからあなたが娘が恋しければ・・
相談者:
はい
大原敬子:
あなたが元気でいなくちゃダメなんです。
相談者:
はい
大原敬子:
娘さんに・・
相談者:
はい
大原敬子:
「今日もお母さん元気だよお!」って。
相談者:
あ、はい・・はい
大原敬子:
「今日の夜、星空を見るよ」ってことです。
相談者:
はい
あ、はい、分かりました。
大原敬子:
分かります?
相談者:
はい、分かり・・
大原敬子:
わたしもすっごく分かるんです(震え声)。
相談者:
はい
大原敬子:
で、あ、お星様って聞いたときに、
相談者:
うん
大原敬子:
あー、わたしはお月様と夕焼けだなと思って、感じました。
相談者:
はい
大原敬子:
ほんとに元気で(震え声)。
相談者:
はい
大原敬子:
自分の体を大事にしてください。
相談者:
はい、すいません。
大原敬子:
とんでもありません。
相談者:
ありがとございました。
大原敬子:
いいえ
ちょっと待ってくださいね。
相談者:
はい
大原敬子:
先生にお伺いしますからね。
相談者:
あ・・ありがとうござい・・
(再びパーソナリティ)
逆縁を励ますのは至難の技でしょうね…
さすがの大原先生でも
素晴らしい回答でした。