遺産狙いの婿養子を離婚後もそのままにしておいたツケ

(回答者に交代)

中川潤:
今、お父さんはおいくつでらっしゃいますか?

相談者:
82歳です。

中川潤:
しっかりしてらっしゃる?

相談者:
あのー、まだ、しっかりしてます。

中川潤:
お父さまも、このことを悩んでらっしゃる、こういうことですか?

相談者:
はい。

中川潤:
調停離婚が成立したときに、原因は前のご主人のDVだったようなんですが、慰謝料を・・お互いに支払わずに・・調停離婚して、って言うお話されてましたが・・お互いに、というのは、何か、あなたにも請求されるような・・。

相談者:
何もないんですけど、あのー、今まで(当時)、何年間か生活していく中で、養子になったことで、俺も嫌な思いをしてるんだ、ということに対して、俺も慰謝料を請求する、ということを言った、って(調停員が)言うんですね。
そのときに、私にも500万って言ってきたから、私は、とんでもない、と。

そちらが500万なんて、勝手に言ってくるんであれば、私の方がもっと、それ以上に・・こんな思いをしてきたんだから、それに対して、慰謝料を同じにして、請求します、て言ったんですね。

当時は、私にしてみれば、とにかく別れたい、という気持ちしかなくて、お金なんて、もう、もらわなくてもいいから、とにかく別れたい、という気持が強かったので、慰謝料が無しになったということです。

中川潤:
ああ。
調停員を介して、むこうの言い分を聞いたと。
そしたら、むこうが、自分が嫌な思いをしたんで、自分の方も慰謝料を請求するんだ、と言って、突っ張ってると。

だから、あなたが慰謝料を維持するんであれば、調停はまとまらない。
まとまらないと、これは、本裁判で決着つけるしかない。
どうされますか?、という話になって、あなたとしては、これ以上、裁判や、何だで、やっていくよりも、じゃあ、もらわなくても、サッサと籍抜けば、その方がいいわと。
ということで、慰謝料は諦めたと、そういうことね?

相談者:
はい。

中川潤:
そいでね、これ、結局、調停もね・・養子の離縁(養子縁組の解消)の問題も、離婚とは違うから、お父さんさんが当事者だから、お父さんが申し立てをしなきゃいけないって言うんで、申し立てをしたんだけども、そのー、離縁の調停も始まったんだと思うんだけど、これ、たぶん、あれですか?、両方ともご本人でやられて、代理人をつけなかった、弁護士を代理人にはしなかったのね?、たぶん。

相談者:
ええ、付いてないです。

中川潤:
んー、だからこういうことになったんだと思うんだけど。
たぶん、そのときにね、弁護士が代理人で付いておれば、離縁(養子縁組の解消)の方もこの際一緒にやっておかないと、やっかいなことになりますよ、というアドバイスは当然するんで。

で、お父さんの代理人として、弁護士が調停を続けて、800万を、いくら500万に下げようとも、それが理不尽であれば、じゃあ、本訴訟でやりましょう、ということで、離縁(養子縁組の解消)の訴訟に移って・・。

きっかけが元々、婚姻に伴う養子縁組ですから、縁組を継続する合理的な理由はないですからね。
裁判でやっていけば、あのー、最終的には、そこでの離縁(養子縁組の解消)というのは、実現できたはずなんです。

相談者:
はあー。

中川潤:
だから、その時点でやはり、本来、やっておくべきことだったんですよ。

今からでも遅くないんですよ。

当事者がお父さんなので、お父様が・・意志能力という言い方をしますけどね、いわゆる、ボケてこられている状況だとね、ご本人で申し立てることについて、非常に難しい問題が出てくるんですけれども、そうでなければ、お父さまが申立人になって、代理人をお付けになってね。
もう、お父さまの・・お年もお年だからね、頭がしっかりしているときに、弁護士を立てて、早いとこ手続きされた方がいいですよ。

相談者:
はい。
もし、父に万が一のことがあったときに、結局、養子縁組が破棄されていないということは、相手に・・黙ってても、相続というものが、発生するんだろうな、ということで・・。

中川潤:
そのとおりなんですよ。
法律上の子供であることは確かですから。

相談者:
ええ、ええ。

中川潤:
で、ちょっと不謹慎なのかもしれないけども、お年からすれば、いつ、何があっても・・もう、60過ぎれば何があってもおかしくない、わけでありまして、手続きをやっている間にも何があるか分からないと、いうこともありますから、最低限、遺言を作っておいて・・養親子関係がある以上は、子供は子供ですから、どうしたって、何もなければ(遺言書が無ければ)、法定相続ということで、1/3ということになります。

遺言を、一応、念のために、遺言を作っておく・・。
ただね、その場合でもね、あのー、実子、養子がいずれも・・子供・・という立場になるから・・遺留分・・という制度があって、その遺留分の請求・・をされると、要は、あなたと妹さんに、全部、財産を遺贈する、あるいは、相続させるという遺言を作っておいてもね、1/2の・・元々1/3ですから・・1/6の遺留分の減殺請求権・・ていう権利を持つと、いうことにはなってしまうんですよ。

だから、今、なさることはハッキリしてるんで、お父さんご自身でやろう、なんてことは考えない方がいいです、無理です。
弁護士を立てて、早急に手続きを進める、ということをなさるべきですね。

相談者:
そうですね。

相談者:
はい。
周りの話で聞いたところによると、どちらかが亡くなったときには、養子縁組は自然と外れるということは・・。

中川潤:
いや、それは、ありませんよ。

相談者:
あーそうですか、ではこのまま・・。

中川潤:
あなた自身が懸念されている一つとしてね、お父様に万一のことがあったら、そこで相続、ってことは理解されているでしょう?
今、お話になった、どちらかが亡くなったときに養子縁組が無くなるって話だったら、相続なんてことは起こらないってことになるじゃないですか。

相談者:
ああ、そうなんですか。

中川潤:
だって、養子縁組した状態で、養い親、養親が亡くなった、だけ、の話、状態になるだけで、要するに、意味が無くなる、養い親、養親子関係の実体が無くなる、当事者がいなくなるだけの話じゃないですか。
まぁ、俗に切れたと、いう言い方をしたとしても、何の意味があるんですか?

相談者:
何の意味もないですね。
じゃあ、嫌な思いが最後に残ったままで、終わるってことですよね。

中川潤:
あなたの置かれている立場でもあり、お父さまの心残りでもあるのは、自分に万一のことがあったときに(元夫が)子供の一人として、相続に登場すること自体が、一番・・愉快ならざることなわけですよ。

相談者:
そうですね。

中川潤:
でしょ?
だったら、早くに断ち切るようになさるべきじゃないですか?

相談者:
そうですよね。

(再びパーソナリティ)


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