【日曜に読む傑作選】一つの会社を勤め上げた男が自分を全否定するそのワケ
テレフォン人生相談 2015年9月4日 金曜日
来週の婚活トラブル特集に備えてプレ公開。
進まざるも地獄、てか?
中卒で入社した会社を定年退職して12年。
一人っ子で、未婚の寂しさを痛感。
それでも伴侶を見つけることをまだ諦めてはいないもよう。
パーソナリティ: 加藤諦三
回答者: 大原敬子(幼児教育研究)
相談者: 名古屋なまりの男72歳未婚
今日の一言: 美しく老いるために、年を取ったら基準変更です。
加藤諦三:
もしもし?、テレフォン人生相談です。
相談者:
はい、よろしくお願いします。
加藤諦三:
はい、最初に年齢教えて下さい。
相談者:
72歳になりますけど。
加藤諦三:
72歳。
相談者:
はい
加藤諦三:
今、結婚してます?
相談者:
うん、結婚してないんだ、わたし。
若い時からずうーっと一人で来ちゃった。
加藤諦三:
ずっと一人ですか?
相談者:
そう、だからもう全然ね・・
加藤諦三:
ええ
相談者:
家族も、全然ないわけですよお。
加藤諦三:
分かりました。
相談者:
もう親は二人共亡くなっちゃってね。
加藤諦三:
はい、はい、はい
相談者:
うん、そういう事情ですから、わたしの場合は。
加藤諦三:
そいで・・あの仕事の方ももう、引退・・
相談者:
そう引退しましたね、12年程前に。
加藤諦三:
12年程前・・
相談者:
そう60で定年退職して。
加藤諦三:
という事は、ろ、60歳で、定年退職してという事?
相談者:
そ、その会社で12年です。退職してから。
加藤諦三:
退職してからね?・・で・・仕事をしてる時は・・
相談者:
うん
加藤諦三:
あ、じゃ・・仕事熱心なビジネスマンだったの?
相談者:
そうですね。
加藤諦三:
・・そうすっと・・
相談者:
仕事一筋でずうっと来ちゃったですよね。
加藤諦三:
仕事一途で・・
相談者:
ええ、そうそう、一筋ね。
加藤諦三:
そ・・うん
相談者:
来てしまったわけです。
加藤諦三:
そうすると、仕事一筋で来て・・定年なるとお・・あの、定年っていうのは大きいですねえ?
相談者:
ええー
加藤諦三:
ま、色んな事があって、会社も・・自分の人生の一つっていう人が・・定年になったのと、
相談者:
うん
加藤諦三:
仕事が、自分の、人生だと思って来た人が・・
相談者:
うん
加藤諦三:
定年退職するのとじゃ、意味が違いますもんね。
相談者:
ええー
加藤諦三:
で、あなたの場合は意味が大きかった方ですか?
相談者:
うーん、まあ、あの仕事一筋で来ちゃったもんですからね?
加藤諦三:
ええ
相談者:
うん
加藤諦三:
で、定年退職になってね?
相談者:
はい
加藤諦三:
例えば・・「あっ」・・起きてですよ?
相談者:
はい
加藤諦三:
「あ、今日、会社行かなくていいんだ」ってなった時、の、どんな感じでした?
相談者:
うーん、やはりね、ちょっとお・・なんか・・ちょっと・・真っ白くなっちゃってね。
加藤諦三:
ん・・
相談者:
どうしていいか分からんっていうそんな感じになりましてね?
加藤諦三:
うーんー
相談者:
ま、あの目標お、ね。生きてく目標を失っちゃったっていうのかね?
加藤諦三:
うーんー
相談者:
毎日毎日、仕事に行くのが当たり前っていうかね?
加藤諦三:
うん、うんー
相談者:
ま、あの、生活をお、ね、それこそもう、15歳から・・よ、45年間?
加藤諦三:
うん
相談者:
続けて、続けて来たもんですからね。
加藤諦三:
うん、うん
相談者:
ええ
加藤諦三:
あ、15歳から?
相談者:
ずうーっと続けて来たんですよ。
加藤諦三:
う、だから相当、一つの会社にずーっと居たっていう事?
相談者:
そうそう一つの会社にずうーっと、60歳まで。
加藤諦三:
ていう事は、あの、あれですね?・・そうすっとその会社はもうあなたの人生だよね?
相談者:
人生だね。
加藤諦三:
うーん
相談者:
会社が一応その人生になりますね、わたしにとっては。
加藤諦三:
あ、もう・・
相談者:
い、寂しかったね。退職で行かなくなって寂しかったですよ。
加藤諦三:
寂しいなんていう・・
相談者:
寂しかったですよ。
加藤諦三:
言葉以上の・・
相談者:
そこへ持って来て家族もないしね。
加藤諦三:
うーんんー
相談者:
失わ、全然もう失っちゃったわけ、生きてく目標ってものをね。今までは現役時代はね?、会社行くっていうのが生きてく目標っていうか、大きな目標があったわけですよ、現役時代は。
加藤諦三:
うーん、うーん
相談者:
ましてや通うっていうのがね。
家族もなくも・・
加藤諦三:
なくも・・要するに・・
相談者:
会社に通うっていうのが生、生きてく、生きてく大きな目標があったんですよね。
加藤諦三:
うーん
相談者:
それも無くな、無くなってしまったわけ、60歳で。パタリと。
加藤諦三:
うーん
相談者:
うん
加藤諦三:
もう、要するに、会社無しの人生っていうのは考えられなかったわけで・・
相談者:
考えられなかったわけですね。
加藤諦三:
ところが現実にそういう人生が、ポーンと目の前に来ちゃったっと・・
相談者:
あーあ来ちゃったわけですね。
加藤諦三:
それは真っ白になるねえ。
相談者:
うーん
加藤諦三:
兄弟は?
相談者:
兄弟はわたしないもんで。
加藤諦三:
あ、一人っ子だったの?
相談者:
わたし一人っ子だ、ずうーっと一人っ子だ。
加藤諦三:
うーん
相談者:
兄弟ってのは無かった、最初から。
加藤諦三:
うん
相談者:
だから一人っ子だったから、わたしの場合は。
加藤諦三:
うーん
相談者:
だから身内いないわけ。
加藤諦三:
うん
相談者:
両親もない。
加藤諦三:
うーん
相談者:
兄弟もない。
加藤諦三:
うーん
相談者:
配偶者もない、子どもない、何もないっちゅうこと。
加藤諦三:
ん、うーん
相談者:
&#△%ね。現状もすでにもう。
加藤諦三:
うーん、うーん
相談者:
だからこれからね?
加藤諦三:
うん
相談者:
あと残り余生ね?
加藤諦三:
うん
相談者:
70ちょっと回ってるもんですからね?
加藤諦三:
うん
相談者:
だからあと有意義にね?
加藤諦三:
うん
相談者:
余生過ごして行くにはどうふに生きてったらいいかな?と、こ、将来の、こ、身の振り、自分のね?
加藤諦三:
うーん
相談者:
うんそれを、やっぱりい、ずうーっと悩んでね。
加藤諦三:
うーん
相談者:
生きてくのが一番あれなのかな?と思ってね?
加藤諦三:
うんうんうん
相談者:
んでも、やっぱり、家族ないっていう生活は、いくら理解しても家(うち)に居ても寂しいですね。
加藤諦三:
・・す・・
相談者:
全然話し相手いないっていうのは。
加藤諦三:
ん、ん、うんうんうん、うんうん
相談者:
ただあ、新聞、テレビしかないってね、話し相手っていうね。
加藤諦三:
うんうん
相談者:
で、話しも出来んしね。
加藤諦三:
うーん
相談者:
思ったように話も出来ないし、つまらんね、考えても。
加藤諦三:
うーん。あのお・・72歳でね?
相談者:
うん
加藤諦三:
あのお、凄く・・元気そうでえ、45年間、とにかく一つの場所で・・
相談者:
うん
加藤諦三:
あの、勤めてたのでえ・・
相談者:
うん
加藤諦三:
その45年間っていうのはあ、あなたの心の中に、
相談者:
うん
加藤諦三:
あの・・しっかり残ってるわけですか?
相談者:
そういう事ですね。
・・・しっかり残ってますわね、確かね。
加藤諦三:
うん、うん、うん
相談者:
うーん
加藤諦三:
その時い・・まあ色んな・・部下とか上司とか、同僚とか居たと思うんですけど、
相談者:
うん
加藤諦三:
そういう・・人との、繋がりは今、どうなんですか?
相談者:
あー今でも、若干あのお、お付き合いしてる方ありますわね。
加藤諦三:
うーん
相談者:
とき、電話来たりね。ほっとこの、訪問で見えた事、見えてくれた事ありましたね。
加藤諦三:
うん
相談者:
同じ職場で。
加藤諦三:
うーん
相談者:
でやっぱ、年も同じで、同じように定年退職したわけですよ。
加藤諦三:
ええ
相談者:
同じ職場で。
加藤諦三:
そうすとお・・一緒に、同期のね?、定年退職、した人と・・
相談者:
うん
加藤諦三:
会って・・昔の話っていうのは花、話が・・
相談者:
うん、そうですね・・
加藤諦三:
花が咲かないんですか?
相談者:
やっぱね、昔の話はね・・
加藤諦三:
ええ
相談者:
したりね・・
加藤諦三:
ええ
相談者:
その時の、その仲間のね、同僚の話(はなし)したりね・・
加藤諦三:
ええ
相談者:
まあなんかね。なんかの話、ね、噂話したりね。
加藤諦三:
ええ
相談者:
そういう話を時々、電話で話す事ありますがね。
加藤諦三:
ええ
相談者:
うん
加藤諦三:
&#・・
相談者:
見えてくれた事もありますよ。
加藤諦三:
ええ
相談者:
うーん
加藤諦三:
そういうー・・昔の仲間と・・例えば、食事を一緒にするとか・・
相談者:
うん
加藤諦三:
そうい、そういう事っていうのはないんですか?
相談者:
やはりね、あのお、ま、大体い、か、その相手の方やっぱり家庭を持ってるもんでね。
加藤諦三:
ええ
相談者:
中々あのお、上手く、スケジュールが合わないんだよね。
加藤諦三:
うーん
相談者:
やっぱり、その方は、孫おるでしょ。
加藤諦三:
ええ
相談者:
わたしの同級生でもね。
加藤諦三:
うん
相談者:
だからねえ、も、結局、どうしても家庭も忙しくなって来るし、ちょっと、スケジュール上手く合わないんだよね。
加藤諦三:
うーんー
相談者:
やっぱり電話するには考える、邪魔になっちゃいかんなと思って、電話するにも考えちゃう・・
加藤諦三:
うん
相談者:
電話して迷惑になるかな?と思って考えちゃう、電話す・・
加藤諦三:
うんー
相談者:
そんな感じですわね。
加藤諦三:
ええ
相談者:
うん
加藤諦三:
だけどあなたまあ、さっきも言ったように声も元気だし、要するにあの、食生活なんか、きちんとしてんだよね?
相談者:
あー、一応、ま、なんとかやってますわね。
加藤諦三:
うん
相談者:
うん
加藤諦三:
それであの・・散歩、したりですね・・
相談者:
うん
加藤諦三:
何だりと、身体を動か、体操、運動というか、なんかそういう事はあんまり、してないんですか?
相談者:
あーある程度はあのお、夜ね。
加藤諦三:
うん
相談者:
あのお、まあ、ちょっとお、ん、ちょっと、の、ウォーキングっていうかな?
加藤諦三:
うん
相談者:
ちょっと、ちょっと、そう、あんまり遠くは行かんだけどね。
加藤諦三:
うん
相談者:
ま、ある程度、時間、許す限りは動いて、やってますわね。
加藤諦三:
うーん・・
相談者:
ウォーキングをね。
加藤諦三:
あそのお・・ウォーキングしてる間に・・
相談者:
うん
加藤諦三:
ま、公園かなんかで、友だちが出来るって事はないんですか?
相談者:
あー中々少ないですね。
加藤諦三:
あーん
相談者:
少ない・・うーん
加藤諦三:
もう、仕事一筋で来てるから・・
相談者:
そう、そう・・
加藤諦三:
あれですか?、あの地域社会・・
相談者:
仕事一筋で来ちゃったもんですからね。
加藤諦三:
うん。地域社会との繋がりはほとんど無か・・
相談者:
そう、そう、無いっていうかね。
加藤諦三:
うーん
相談者:
うん。やっぱりわたしもね?
加藤諦三:
ええ
相談者:
このままずうっと一人っていうのもね?
加藤諦三:
ええ
相談者:
やっぱり、身内居ないっていうのやっぱ、家族ないっていうの寂しいもんですからね。
加藤諦三:
ええ、ええ
相談者:
あのお、親がね?
加藤諦三:
ええ
相談者:
元気な間はその寂しさはなかったんだけどもね。
加藤諦三:
ええ
相談者:
亡くなってみてやっぱりこう、はじめて親の有り難みっていうかね?
加藤諦三:
ええ
相談者:
やっぱり、寂しいだね。
加藤諦三:
うーん
相談者:
まあ、元気でありやあ、親子だもんで、遠慮にゃあもんで、なんだかんだ言ったりしてね・・
加藤諦三:
うん
相談者:
うるさ、賑やかったあ、ね。
加藤諦三:
うん
相談者:
あの、親が両親元気で&#△賑やかったですよ、うちの家庭ん中あ、ね。
加藤諦三:
うーん
相談者:
「あーでもない」「こーでもない」&#うるさかったですね・・
加藤諦三:
うん
相談者:
その時代はね。
加藤諦三:
うん
相談者:
ただやっぱりこう、親が亡くなってみると・・やっぱり、あー寂しいなあ、こうね、間あ、抜けた感じになっちゃって。
加藤諦三:
うん
相談者:
全然会話もないしね。
加藤諦三:
うん
相談者:
話す相手もないし。
加藤諦三:
うん
相談者:
うん
加藤諦三:
夜お、夜はぐっすり眠れんの?
相談者:
あ、夜は眠れてますよ。
加藤諦三:
うーんー
相談者:
うん、不眠症でもないしね。
加藤諦三:
うん
相談者:
一応眠れてはいますわね。
加藤諦三:
うん
夜ぐっすり眠れてるっていう事は、心身かなり・・
相談者:
うん
加藤諦三:
健康なんだよねえ?
相談者:
あ、一応健康は健康ですけどね。
加藤諦三:
うんー
相談者:
うん
加藤諦三:
それ、だけども、今あ・・当面、会社を定年になって・・
相談者:
あ・・
加藤諦三:
辞めて、
相談者:
て辞めて、今あの・・
加藤諦三:
もう・・
相談者:
もう専業主夫って感じですわね。
加藤諦三:
ええ
相談者:
うん
加藤諦三:
で、自分の生きる・・生きるも・・
相談者:
あの親が、ね、家事を、お、親の家事を継いでやってる、そんな感じですわね。
加藤諦三:
うーん
相談者:
うん
加藤諦三:
今日はあの、そういう事で、生きる目標を失ってしまったんだけども、どうしたらいいか?という事ですね?
相談者:
そうですね。
加藤諦三:
はい、分かりました。
今日はスタジオにですね、幼児教育研究の大原敬子先生がいらしてるので、
相談者:
はいはい
加藤諦三:
伺ってみたいと思います。
相談者:
はいはい
(回答者に交代)
嘘ついた事すら嘘をつくくらい
嘘をついて生きてきたんだろうな
おもしろくなくだろ。そりゃ
うんうんという相槌はなー
中卒で入社して定年まで勤め上げる。「失われた20年」と言われている時代に凄いことだと思う。しかし相談者にとってはそれでも足りないのかな。