土地はあげたものと思え。シロウト地主が絶望する旧借地法の理不尽

(回答者に交代)

中川潤:
こんにちはあ、中川です。

相談者:
あ・・よろしくお願いします。

中川潤:
あのお・・今のお話ちょっと、あの補足的にい、伺いたいんですが。

相談者:
はい

中川潤:
その60年前から、あ、ま、お父さんが貸し始めて、貸しておられる・・っていう事ですが、。

相談者:
はい

中川潤:
地代は・・普通にもらっておられますよね?

相談者:
そうです。はい

中川潤:
・・そうするとお・・ほで、30年前に、結局う、
「返してほしい」って言ったけれども、ま、す・・向こうもお住まいなんでしょ?

相談者:
ええ

中川潤:
んでえ、やっぱり住んでる、から・・す・・あの居住権というよりもねえ・・

相談者:
ええ

中川潤:
これ借地権ていうんですよ。

相談者:
はい

中川潤:
で、借地借家法、昔はあ、借地法と借家法って分かれてて、今、借地借家法ってなってますけども。

相談者:
はい

中川潤:
その60年前からですから・・

相談者:
はい

中川潤:
あの、旧借地法を、そのまま・・あ、引き継がれてるわけでね、あのお・・

相談者:
ええ

中川潤:
しゅうりょう・・に関しては。

相談者:
はい

中川潤:
そうするとね、

相談者:
はい

中川潤:
あのお・・タダで貸した場合じゃなくて・・お金をもらって賃、地代をもらって、

相談者:
はい

中川潤:
借地に出したものは・・

相談者:
はい

中川潤:
よっぽどの事がない限り・・

相談者:
はい

中川潤:
契約期間が満了しても・・返してもらう事はできません。

相談者:
はい

中川潤:
で、これ、ど、どうしてそういう事になってるかっていうと、
普通、契約っていうのは、

相談者:
はい

中川潤:
契約期間を決めますと・・

相談者:
ええ

中川潤:
契約う、の期間、満了、終われば、

相談者:
はい

中川潤:
そこでお終いになりますよね?

相談者:
はい

中川潤:
ところが、借地と借家に・・関しては、

相談者:
はい

中川潤:
あの、建物があ、あの、借地だけに限定して言いましょうね。

相談者:
はい

中川潤:
あの建物お、の、所有目的の借地。

相談者:
はい

中川潤:
これに関しては・・

相談者:
はい

中川潤:
契約期間が終わって、

相談者:
はい

中川潤:
更新を・・拒む、

相談者:
はい

中川潤:
については、

相談者:
はい

中川潤:
貸してる側に・・よほどの正当事由・・がない限りは、

相談者:
はい

中川潤:
更新拒絶は・・認めないと。

相談者:
はあ、はあ

中川潤:
いう、うー・・法的な取り扱いになっています。

相談者:
はい

中川潤:
で、その正当事由っていうのが、

相談者:
はい

中川潤:
どういう場合に認められるかっていうと、

相談者:
はい

中川潤:
非常に、ざっぱくな言い方をしますと、

相談者:
はい

中川潤:
自己使用の必要性がある。ま、もしくはそれに準じたような、

相談者:
はい

中川潤:
非常に、貸主側がね?

相談者:
はい

中川潤:
あるような場合・・

相談者:
はい

中川潤:
じゃないと認められない。

相談者:
はい

中川潤:
もう一番典型的な場合はね、

相談者:
はい

中川潤:
地主さんの方が・・

相談者:
はい

中川潤:
あの、自分があ、借地、或いは、借家に住んでおられて。

相談者:
はい

中川潤:
特殊な状況で、

相談者:
はい

中川潤:
出て行かざるを得なくなって、

相談者:
はい

中川潤:
で、自分の貸地・・しか、ないと。あの、資産としてはね?

相談者:
はい

中川潤:
いうような場合・・であって、

相談者:
はい

中川潤:
かつ、借りてる方が、

相談者:
はい

中川潤:
そこ以外でなければどうしようもないと・・いう事でも・・ではないような事情があれば、

相談者:
はい

中川潤:
そこまで行けば・・認められることは・・あるんですけれども、

相談者:
ああ

中川潤:
ご自身が貸してる側が、

相談者:
はい

中川潤:
それなりのお住まいで普通に住んでおられて、

相談者:
はい

中川潤:
特に切迫してですよ?

相談者:
はい

中川潤:
その、土地を、

相談者:
はい

中川潤:
あの、他に、使う必要が、あのお、常識的に見て凄く切迫した必要があると。誰が考えても無理はないと。

相談者:
はい

中川潤:
いうような事情でもない限り、

相談者:
はい

中川潤:
その、土地を・・自宅として、そこで住まわっておられる借地人さん。
・・出て行ってもらう、それ、あの、約定期間が満了したから、もう、更新はしませんと。

相談者:
はい

中川潤:
言ってもそれはまず通らないです。

相談者:
あー

中川潤:
つまりね・・住まいとして、土地を貸すっていうのは、基本的にはもう返って来ない。

相談者:
あー

中川潤:
という風にまで割り切らないと・・しょうがないのが借地借家。

相談者:
代が替わっても駄目なんですか?

中川潤:
替わ、全然関ないですよ。

相談者:
あー

中川潤:
あの、代替わりっていうのは、あのお・・特に相続なんか・・

相談者:
はい

中川潤:
ま、あのお、譲渡だって同じなんですけどもね、

相談者:
ええ

中川潤:
賃貸人がいくら替わったって、

相談者:
ええ

中川潤:
あの借りてる方には関係ないことなんです。

相談者:
ええ、そっちも、替わっとる・・いや、だから、借りてる方が・・

中川潤:
うん

相談者:
もし、今借りてる人が、

中川潤:
うん

相談者:
もし、こんな事言っちゃ・・なんですけど、

中川潤:
うん

相談者:
亡くなって・・

中川潤:
うん

相談者:
そこに息子さんが住むということになったら・・

中川潤:
いや、むす・・

相談者:
は(わ)どうなるんですか?

中川潤:
息子が住むっていうのはね、

相談者:
はい

中川潤:
あの、権利のお・・関係の移転っていうのは・・あのお・・よ、あのお、ちょ、ちょっと小難しい言葉で言うと、包括承継と特定承継って二つに分かれるんだけど、包括承継っていうのは要するに相続です。

相談者:
ええ

中川潤:
代が替わるってやつね。

相談者:
ええ

中川潤:
この場合と、特定承継ってのは、売り買いするような場合ね。

相談者:
ええ

中川潤:
他の人に売ってしまう。

相談者:
ああ

中川潤:
で、他の人にね、

相談者:
ええ

中川潤:
売ってしまうっていう事になると、あの、その借地を・・あのお、借地を売るっていうのは、正確に言うと、家を売るんですけど、借地権付きの家を売ろうとしたら、これは無断で売れません。

相談者:
ええ

中川潤:
地主さんの承諾がない限りね。

相談者:
ええ、ええ

中川潤:
売れないのね。

相談者:
はい

中川潤:
でも、この承諾う、がない限り売れないんだけど、あくまで地主さんが断れるかっていうと、承諾に代わる許可・・を、裁判所が一定の承諾料払えと・・

相談者:
ええ

中川潤:
いう事で許可が出せる制度まであるぐらいで、

相談者:
はい

中川潤:
一方でね。

相談者:
ええ

中川潤:
で・・あの・・翻(ひるがえ)って、元へ戻って、その、相続の場合。

相談者:
はい

中川潤:
相続の場合は代替わりですので、

相談者:
ええ

中川潤:
あ、これは、あのお・・先代が住んでたのを、後の人間が住むっていうのは別に・・他へ売る、売り買いするのとはわけが違うから。

相談者:
ええ

中川潤:
自然に起こる事ですから。

相談者:
ええ

中川潤:
そのことで代が替わったから権利関係が変わるって事は全くないんです。分かります?

相談者:
いいってことですか?

中川潤:
いいんです、いやいいんですよ。

相談者:
うん

中川潤:
100%いいんです。問題がないんです。何の問題もないの。

相談者:
で、そ・・

中川潤:
で、あなたが、ちょっと勘違いしておられるようなんだけど、

相談者:
ええ

中川潤:
お父さんが、貸した土地で。

相談者:
ええ

中川潤:
自分たちが代が替わったんだから、

相談者:
ええ

中川潤:
ね?、あのお、賃貸人が替わったと・・いう風な、お考えでいらっしゃるようだけども、

相談者:
ええ、いや

中川潤:
これは、大きな間違いです。

相談者:
いや・・すー・・そ、それもあるんですけど、

中川潤:
はい

相談者:
今建ってる、建物も、

中川潤:
はい

相談者:
60年経ってる物で、

中川潤:
ええ

相談者:
もうボロボロなんですよ。

中川潤:
はい。で、そこなんですが、

相談者:
ええ

中川潤:
あの・・借地の場合に、

相談者:
ええ

中川潤:
唯一ね、

相談者:
ええ

中川潤:
あのお、自然に、終了する場合っていうのがあって。それは建物が・・

相談者:
ええ

中川潤:
朽ち果てた場合、朽廃(きゅうはい)ね。

相談者:
はい、はい

中川潤:
朽ち果てる場合ね。

相談者:
はい

中川潤:
朽廃した場合には借地契約は終了します。

相談者:
はい

中川潤:
だけど・・

相談者:
ええ

中川潤:
60年経とうが、70年経とうが・・実際に人が住ん、

相談者:
100年経とうが・・

中川潤:
いや、ま、まあ100年だってあり得るんですけども、

相談者:
ええ

中川潤:
あのお、中、手を加えればいいから。でしょ・・

相談者:
じゃ、手、加えていいんですか?

中川潤:
あのね・・た、多少の補修は・・ん、あり得るし、だ、本格的な補修をやろうと思えば、

相談者:
ええ

中川潤:
増改築になりますから、

相談者:
ええ

中川潤:
増改築をするについては、

相談者:
ええ

中川潤:
本来のそのままだったら、朽ち果てたのが、に、20年後であるのが、

相談者:
ええ

中川潤:
増改築する事によって、

相談者:
ええ

中川潤:
更に、50年、60年、伸びるかもしれませんね?

相談者:
ええ

中川潤:
ね、だからその増改築しようと思ったら地主の承諾がいるわけ。

相談者:
ええ

中川潤:
でも、その場合も裁判所へ・・申し立てれば、

相談者:
ええ

中川潤:
増改築の、承諾、に代わる許可を・・

相談者:
ええ、ええ

中川潤:
一定の増改築承諾料・・

相談者:
ええ

中川潤:
を払いなさいという事で、原則許可します。

相談者:
ああ

中川潤:
二つの事をちょっと、あのお、誤解されてると思うのは、一つはね、

相談者:
はい

中川潤:
貸し、貸してる側の代が替わっても、

相談者:
はい

中川潤:
賃貸人として全く同一ですから、

相談者:
ええ

中川潤:
代替わりは何の関係もありません。

相談者:
あ、そうですか。

中川潤:
これは地主側であっても、

相談者:
ええ

中川潤:
借りてる側であっても、まず同じです。

相談者:
んん・・

中川潤:
それからもう一つ。

相談者:
はい

中川潤:
建物がボロボロっていうのは、

相談者:
はい

中川潤:
人が住んでる限り、

相談者:
はい

中川潤:
朽廃なんていう認定はあり得ません。

相談者:
え?

中川潤:
住め、住めてるんだから。

相談者:
あー

中川潤:
だからね、あのお・・あなたが今、おっしゃってるね、

相談者:
はい

中川潤:
お気持ち的にはね、

相談者:
はい

中川潤:
貸した・・あー、土地なんだから、

相談者:
ええ

中川潤:
いずれ返してもらいたい。というお気持ちは分かるけども、

相談者:
はい

中川潤:
今の借地法は、そういう立て付けにはなっていません。

相談者:
はあ、それともう一つ聞きたいんですけど。

中川潤:
はい

相談者:
もし・・このまま行くんであっても、

中川潤:
はい

相談者:
一ヵ月の、貸してる料金は上げられるんですか?

中川潤:
あ、それ、あ、それはごめんなさい、言い忘れました。一方でね、

相談者:
はい

中川潤:
法律はこういう手当てをしていましてね、

相談者:
ええ

中川潤:
あの、そういう、あのお・・期間の約束しても、結局ないに等しい事になるじゃないですか?

相談者:
うん

中川潤:
ね?、そうすると地代の方は、

相談者:
はい

中川潤:
それ相応にちゃんともらわないと、適正地代をもらえないと、

相談者:
はい

中川潤:
地主は踏んだり蹴ったりなわけですよ。

相談者:
そうですよ。

中川潤:
うん、だもんだから・・

相談者:
ええ

中川潤:
地代に関しては、

相談者:
ええ

中川潤:
あの・・近隣相場、からすればですよ?

相談者:
はい

中川潤:
明らかに・・地代は低い・・ね?

相談者:
ええ

中川潤:
という事になれば、

相談者:
はい

中川潤:
あの、地主の方が、

相談者:
ええ

中川潤:
一方的に増額請求、をする事が、できると。

相談者:
ああ

中川潤:
いう増額請求権というのは、あるんです。

相談者:
ええ

中川潤:
ただね、

相談者:
はい

中川潤:
ただ、ただ勘違いされてはいかんのは、

相談者:
はい

中川潤:
増額請求権が、一方的な増額請求権があるという立て付けにはなっているのですが、

相談者:
はい

中川潤:
その増額請求権・・が、一方的にあってそれがそのまま、100%、あの、どんな額でも認めるってやったら、また、それはそれでめちゃくちゃな話になるので、

相談者:
ええ

中川潤:
適正な額への増額の請求であれば、認められるわけですね。

相談者:
ああ、ああ・・

中川潤:
そうすっと、地主さんの方が、通常あるのは、明け渡しは無理なんで、増額、請求権・・を行使して、

相談者:
ええ

中川潤:
地代上げると・・いう事・・お、なさるのが、ま、往々にして、しばしばあるわけですね、当然ね。

相談者:
ええ、ええ、えーえ

中川潤:
ですから、あなたの方ではね、

相談者:
ええ

中川潤:
今の地代が明らかに不当に安いんであれば、

相談者:
ええ

中川潤:
地代の増額請求はできるんです。

相談者:
ああ、分かりました。

中川潤:
はい

(再びパーソナリティ)

土地はあげたものと思え。シロウト地主が絶望する旧借地法の理不尽」への1件のフィードバック

  1. 管理人さん いつも詳しくありがとうございます

    私はこの借地権の話題になると
    「ああ しらないばかりに損しちゃったよ」ともやもやした気分になります
    実家の父が亡くなり母を呼び寄せ
    実家(借地の上の父名義の建物)を処分するには
    建物を壊し更地にして地主さんに返さなければいけないと思い込んでいました
    地主さんに相談すると「ならばその家60万で買いましょう」と言われ
    私はこれ幸いと手を打ったのですが
    今その家は5万円で借家として地主さんの懐にはいっております
    すぐに借り手は見つかったようで
    もう6年も前の話になります

    【借地権】知っていれば地主さんにその権利売る事もできたのかぁ
    実質 損はしてないのだけど
    知ってしまうと欲がでてきますね (笑)

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