「アタシが貯めた」。全面的に家計を預かる女のアピール虚しい財産分与のセオリー

(再びパーソナリティ)

ドリアン助川:
もしもし?

相談者:
はい

ドリアン助川:
という事で、まあ・・

相談者:
はい

ドリアン助川:
これから、大変な、ところを乗り越えなきゃいけないわけですが。

相談者:
はい

ドリアン助川:
公明正大が一番近道という風に、

相談者:
はい、そうです。

ドリアン助川:
伺ったような気がしますね?

相談者:
はい、そうですね。

ドリアン助川:
はい

相談者:
はい、分かりました。

ドリアン助川:
はいはい

相談者:
ありがとうございました。

ドリアン助川:
はい失礼しますう。

相談者:
はい、失礼いたしまーす。

(内容ここまで)

女 「癌を患う娘に遺すために必死に貯めた貯金を夫に教えたくない」

どっから、突っ込んでいいのやら・・

慢性の癌ってのがあるのかしら?、アンタよりも長生きする。

てか、アンタに家計を任せっきりで、私腹を肥やすためでもなく70歳まで働いた旦那だって娘に遺したいんじゃないの?
違うの?

 

しかし、すでに結婚している女性も、これからする人も、お手本にしていいような女だ。

曰く、育休、休職、時短、なんでもいいから使える制度は使って、正社員の地位にしがみついて離さず、夫が知らない自分名義の貯蓄に励む。

こうすれば、この女みたく、夫の定年を待って躊躇なく三行半を下せる。

 

5日前の女とは雲泥の差だ。

住まいと月5万の生活費とモラハラ夫との離婚を天秤。改善に期待はするな回避依存症

 

さて、

自分たちの金なんだから、勝手に分ければいいんだけど、
揉めたときに人に決めてもらうとなると、決まりがある。

相続ならば法定相続分。
離婚時の財産分与なら夫婦折半。

色んな個別な事情はあろうけど、出るトコ出れば、そんな事情はほとんどお構いなしに、これで分けることになる。
財産分与の方は明文化はされていないけど、事実上ね。

じゃ、その出るトコで揉める要素はなさそうなんだが、そうでもない。
分け方で揉める余地はなくても、それ以前に分ける対象の財産総額で揉めるわけだ。

相続にしろ、財産分与にしろ、分ける前の財産は誰かの管理下にある。
つまり、その管理者にとってみれば、財産を分割するということはすなわち管理者の手から一方に渡すことを意味する。

で、分け前を増やそうとすれば、
管理している側は過少申告し、
管理していない方はそれを疑う。

これが出るトコ出たとしても揉める原因だ。

だけど、この争いは平等ではない。
圧倒的に過少申告する側に有利だ。

過少申告する側は「無い」の一言で済む。

逆に、それを疑う側は、有るという証拠を突き止めないといけない。
これがことのほか難しい。

現ナマは言うに及ばず、金融機関は口座番号すら告げない口座の有無なんて、配偶者にも、法定相続人にも答えないからだ。

だから、この女が本気出せば財産を隠すことは至って簡単。
もちろん夫は承知しないだろうけど、ゴネるだけムダだ。

万が一、過少申告が判明したとしても、それが咎(とが)められることはない。

人が人を裁く厳粛な場所は、実のところ、自分に有利となる嘘はつきゃなきゃ損というのがまかり通る世界でもある。

ついでに言うと、これを熟知しているのが弁護士という人種。

道徳から最も遠い職業は?
答え・・弁護士

これはアメリカンジョークだが、彼らの倫理観はクライアントファースト。
殺人犯であろうが無罪を主張する。

ちなみにアタシが相手をした弁護士は、すでに二人とも亡くなっている夫婦だけの会話を、なんと「」付きで再現した主張書面を提出して来た。

おめえはイタコ(*)か?

(*)イタコ:
主に東北地方で見られる、死者の霊を自分に乗り移らせて、霊に成り代わって話すことのできる巫女(みこ)のこと。
死者の出身地に関係なく、なぜか皆、東北弁でしゃべる。

 

逆に、女が公明正大にやろうとして、全財産をテーブルに乗せた上で、分け前を増やそうなんてすると、今度は一転、女が不利。

夫婦折半を不公平とする合理的な証拠が必要になってくるからだ。

塩谷弁護士 「隠さずにきちんと見せないとダメ」
ですよねえ。センセ、ごもっとも。

だけど、その後のアドバイスはどうでしょう?

塩谷弁護士 「(あなた固有の財産として)認められることもあります」
そんな可能性が女の話の中に1ミリでもありましたっけ?

塩谷弁護士 「あなた自身の才覚でぇ、築いたものについては・・」
学生に一般論を講義してるつもりかしら?

クライアントファーストとは、クライアントじゃなければ、途端に道徳心を持った普通の人と化し、こういう回答になってしまうという意味でもある。

行政がやっている無料法律相談がほとんど使えないのはこのためで、本に書いてある一般論を聞きに行くだけ。

 

裁判所は、自分が貯めたというアンタの主張を黙って一通り聞いた後、静かに尋ねるだろう。

「夫の収入が無かったら同じ貯金が出来ましたか?」

「はい」と答えられるだけの証明をするのはアンタの役目。
公明正大にやるならね。

 

「アタシが貯めた」。全面的に家計を預かる女のアピール虚しい財産分与のセオリー」への5件のフィードバック

  1. 管理人さんへ

    ホントーに勉強になりました!
    明日新しい口座を作りに行きます〜

    本当に感謝です
    今知れて良かった
    今後ともよろしくお願いします

  2. 管理人さん、ちょっと断定しすぎ。『口座番号すら告げない口座の有無』は、相続人や配偶者には告げなくとも、調査嘱託の申立などでバレる可能性はなくはないですよ。

    1. ここの管理人さんはね
      法律関係がお得意みたいだから
      自信マンマンにコメつけるんだよ
      基本凄く納得して為になるけど
      自信マンマンで断定する回は鼻につく感じだ

  3. 育児などで聞けない事が多いのでいつも楽しみにしております。管理人さんのコメントが一番楽しみです。

    この女性は、夫との財産の分け方ではなく、いかに多く娘にお金を残せるかが聞きたかったと思います。塩谷弁護士の回答が物足りなかったです。

  4. 凄くためになります。
    管理人さんは頭のいい人なのだろうとおもいます。
    人生経験も豊富なのでしょう。
    私なんかが話すと
    アホ。バカ。マヌケ。って表題のように影で言われそう。
    近寄ると一刀両断。
    イメージとしては上沼恵美子さんみたいな方かなと想像してます。

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