妻を亡くして4ヶ月の主夫。否認⇒(今ココ)絶望⇒‥「妻が残した財産があります」
(再びパーソナリティ)
加藤諦三:
今あのお・・坂井先生がね?、おっしゃられたように当たり前の事って・・その対象喪失っていう、ことはね?
相談者:
はい
加藤諦三:
愛する人を、失う・・ばっかりではなく、人間は生き甲斐を失う事だってあるわけですよ。
相談者:
はい
加藤諦三:
例えば定年になって仕事を失・・ってこういうのも対象喪失かもしれません。
相談者:
はい
加藤諦三:
ま・・ペットなんかもそうですよね。
相談者:
ええ、ええ、ええ
加藤諦三:
・・飼っていた犬・・が亡くなって、もう立ち上がれないっていう人もいるわけです。
相談者:
はい
加藤諦三:
だからいろんーな対象喪失っていうのがあるわけですよ。
相談者:
ええ
加藤諦三:
で、対象喪失を生む時には、その対象喪失の過程を最後まできちんと、生き抜く・・きちんと、経験する事が大切なんです。
相談者:
はい
加藤諦三:
だから最初に言ったように、否認するっていう事もあるし。
相談者:
ええ
加藤諦三:
・・一番悪いのは、逃げちゃう事なんですね?
相談者:
あー
加藤諦三:
逃げちゃうっていうのは、どういう事かっていうと、
相談者:
はい
加藤諦三:
・・お酒に逃げる。
相談者:
ふん、ふん
加藤諦三:
ギャンブルに逃げる。
相談者:
はい
加藤諦三:
・・他(た)の人に逃げる。
相談者:
・・
加藤諦三:
そうするとこれが依存症なんです。
相談者:
はあー
加藤諦三:
アルコール依存症とか、ギャンブル依存症とか、人間関係依存症とか色んな依存症がありますけれども、
相談者:
はい
加藤諦三:
・・この対象喪失の過程で逃げると依存症という・・凄い恐ろしい事が待ってる。
相談者:
ん、はい
加藤諦三:
だけれども、
相談者:
ええ
加藤諦三:
この・・対象喪失の過程をきちんと向き合って行く、ことで、
相談者:
ええ
加藤諦三:
人間の精神ては深くなってくんですよ。
相談者:
はい
加藤諦三:
色んな悲しみを経験するから・・
相談者:
はい
加藤諦三:
・・人間の、成長もあるし、
相談者:
ええ
加藤諦三:
・・深みもあるし、よく「若い奴は分かってない」ってな事を・・言うのはどういうと、ことかっていうと、やっぱりその対象喪失の・・経験が、比較的少ないんですよ。
相談者:
あー
加藤諦三:
だけど年を取って来ると、今言ったように愛する人を失うばっかりじゃなくて、
相談者:
ええ
加藤諦三:
いろんーな・・失う物があるわけです。
相談者:
ええ、ええ
加藤諦三:
自分の能力を失うのだってそうですよ。
相談者:
あ、そうですね。
加藤諦三:
年を取って来ると・・この間まで出来るようになった事が・・今日出来なくなってるって事あるわけですよ。
相談者:
はあ、分かります。
加藤諦三:
・・これも対象喪失なんです。
相談者:
うん
加藤諦三:
失ってんです。
相談者:
はい
加藤諦三:
「え?、こんな事出来なくなっちゃった」って・・だから人間はね?
相談者:
はい
加藤諦三:
生きてる以上、対象喪失っていうのは必ずあるんです。
相談者:
あー、はい
加藤諦三:
で、これは当然、た、悲しむ事なんですけれども、
相談者:
ええ
加藤諦三:
ここで大切なのは・・否定しない事なんです。
相談者:
はい
加藤諦三:
最後まで・・正面から向き合って行く事なんです。
相談者:
はい
加藤諦三:
・・
相談者:
なるほど。
加藤諦三:
うん。それとあと、今、悲しいけれどもね?
相談者:
ええ
加藤諦三:
悲しむ事は不幸な事ではないんです。
相談者:
はい
加藤諦三:
・・ここを間違えないで下さい。
相談者:
分かりました。
加藤諦三:
悲しむ事は不幸ではないんです。
相談者:
はい
加藤諦三:
・・よろしいでしょうか?
相談者:
ええ、どうもありがとうございます。
加藤諦三:
はいどうも失礼します。
相談者:
はい、失礼いたします。
加藤諦三:
対象喪失の過程。否認、絶望、そして希望、そのすべての過程を経験する事。