住まいのリフォーム。家族でカネ出し合うのが家の名義人への贈与?


(再びパーソナリティ)

加藤諦三:
はい、どうも失礼しまあす

相談者:
失礼いたします

(内容ここまで)

本当にハッキリさせたいのなら、尋ね先は税理士さんではない。
税務署。

訊けば親切に教えてくれるよ。
もちろんタダ。

徴税を担う税務署のイメージはあまり良くなさそうだけど、実は数多(あまた)の役所のうちで窓口対応が最も柔らかく親切なのは税務署だと言われる。

憎まれ役なのは彼らも自覚していて、少しでも気持ちよく納税してもらうために努力しているわけだ。

もちろん対応が柔らかいのは善良な納税者であることが前提。
別の顔は、泣く子も黙る国税だ。

 

課税対象には専門家でも見解が分かれるグレーゾーンが存在する。

じゃ誰がそのグレーゾーンの白黒を決めるかと言うと、税務署。

もし税理士の見解が常に正しいのであれば、企業の「申告漏れ」がこれだけ多発するハズがない。

もちろん税務署の判断に不服を申し立てたっていい。
行司を務めるのは裁判所。
だからといって、直接裁判所に税金の質問をしたってし方がない。

 

リフォームすれば家の価値が上がり(*)、それは持ち主である夫の財産。

(*)実勢価値や市場価値の意味。
増床や店舗等への目的変更など、建築申請が必要となるリフォームでも無い限り、固定資産税評価額が上がることはない。

 

その費用を夫以外が出せば、それは夫に現金を渡すのと同じ。
贈与側となる相談者と孫には関係ないが、受贈者となる夫に納税義務が生じるわけだ。
これがリフォーム会社の言ってる意味。

だけど、この見解は同居しているという事実を無視している。
家のリフォーム代を同居の家族で負担し合うことは、ごく自然な成り行きで、これからも自宅として住み続ける以上、名義人だけが特段の利益を得るわけではない。

理屈的には、自分たちが利用する設備への出費。
あるいは、夫名義の家に住まわしてもらうための対価、タダで住む代償としてのリフォーム代という解釈。
贈与ではなくなる。

だからと言って、同居していればいいってもんでもない。
リフォームによって見違えるような豪邸や、人に貸せる部屋を擁する立派な建物に生まれ変われば、さすがにそれは贈与だ。

もっとも、そもそも論として、孫はともかく、生計を一にする夫婦間における費用負担に贈与税を適用すること自体が非現実的。

家の取得が結婚前後で違ってくるが、少なくともリフォーム分は名義人である夫だけの資産ではなく、夫婦の資産。

同様の考えで、リフォーム資金の出元になる相談者名義の預金も夫婦の財産だ。

事実、離婚時の財産分与では、婚姻期間に取得した資産は名義に関係なく折半で、しかも無税。

ということで、中川弁護士が喉まで出かかっていたことをアタシが言おう。
納税申告は不要。(*)

(*)リフォームには、耐震、バリアフリー、省エネなど、いくつかの減税処置や補助金があり、そのための申告は要る。

 

ちょっと話はそれるけど、
相談者と孫の資金提供が贈与に当たらないのであれば、カネを出さない次男は、家の持ち主から家賃相当の贈与を受けているということにしないと、公平な理屈にならない。

さすがに次男に毎年贈与税の通知が来るなんてことはあり得ないが、実は、贈与と認定される局面がやって来る。
相談者の夫の相続だ。

もし次男以外の相続人が主張すればの話だが、長年の家賃相当を次男に対する贈与とみなし、遺産総額に組み入れる「持ち戻し」という処理が行われる。

この処理によって次男の遺産分配は大きく減らされることになるんだけど、それは納税して来なかったこととは何の関係もない。

たとえ裁判所を介して遺産分割協議を行ったとしても、納税の有無に裁判所は関知しない。


住まいのリフォーム。家族でカネ出し合うのが家の名義人への贈与?」への2件のフィードバック

  1. 相続時の事まで解説があるとは!
    思わずため息が出ました。本当勉強になりますね。

    このところコメント欄も活発になっていて、いろんな人の意見が見られてますます楽しいです。

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