円熟期の税理士の人生急転。外出もままならぬ施設で募らせる外界への憧れ

(回答者に交代)

大迫恵美子:
もしもし?

相談者:
お世話になります。

大迫恵美子:
はい。
まあ、あのう、お若いのに、ご病気で、倒れてしまって。お仕事を引退するしかなくなって・・ちょっと残念でしたね。

相談者:
はい。あのう、脳の病気で倒れて、それで、病院に行くことになったんですけども。

大迫恵美子:
はい

相談者:
・・

大迫恵美子:
あのね?、ちょっと伺っててえ。

相談者:
はい

大迫恵美子:
その、「お母様が亡くなった、後が、不安でしょうがない」っておっしゃってるんですけどお。

相談者:
はい

大迫恵美子:
具体的には、どういうことが、不安なんですか?

相談者:
おふくろが死んで1人になるのが、怖くてしょうがないんすよ、今ね。

大迫恵美子:
はあ。

相談者:
うん・・

大迫恵美子:
そうするとね?、あのお、今のホームを出てしまうと、まあ、「独り立ち」っていう言葉も使われてましたけど。 ますますその、1人になってしまう危険性が、高くなるんじゃないですか?

相談者:
・・そうですね。

大迫恵美子:
あの、外に出てえ、その、1人でなくなる・・あてっていうかね?

相談者:
・・

大迫恵美子:
例えば・・ あの女性と交際して、家庭を持ちたいとか。
何か、そういう、目標がおありなんですか?

相談者:
(吸って)まあ、あのう、1人で出た時は、色々旅行したいと思ってるんですよ、今。

大迫恵美子:
はあ。
旅行が、当面、あなたの、人生の目標の中に、大きい、比重があるってことですかね?

相談者:
はい、そうですね。

大迫恵美子:
うん。(吸って)あの、1人でね?、旅行に行って・・ええ、 何かそのう・・倒れちゃうとかね?、問題が起きた時、解決できないとか、そういう心配は、ないんですか?、ご健康上。

相談者:
やっぱり、付き添い、必要だと思いますね。

大迫恵美子:
うん、そういう旅行の付き添いをしてくれる人としては、何かあてがあるんですか?

相談者:
いや、ありませんね。

大迫恵美子:
うん、そうすると、なかなか難しいですよねえ。

相談者:
そうで、すね。

大迫恵美子:
はい。
先ほどからね?、後見人・・が、弁護士2人いるっておっしゃってるんですけど。2人とも後見人なんですか?

相談者:
1人は後見人で、1人は後見監督人ですね。

大迫恵美子:
あああ、なるほどね?、はい、わかりました。

相談者:
はい

大迫恵美子:
でも、まあ、後見監督人の方は、それほど、直接は、接してってことはないでしょ?

相談者:
そうですね。

大迫恵美子:
はい。
まあ、後見監督人がつくということは、おそらくは、お持ちの資産の額が大きいんですね?

相談者:
・・そうですねえ。はい。

大迫恵美子:
ただ、その、後見監督人もね、もちろん そのう・・きちっと仕事はされてますけど。基本的には、後見人のすることを、点検するだけですのでね。「 こういう風にしろ」とか、あの、「今やったこと、すぐやめろ」とか、そんな、指示は、しませんので。

相談者:
・・

大迫恵美子:
大きく見て、「まあ、問題ないですね」っていうぐらいの監督しかしませんので。1番、あなたの後見の、ことをやってるのは、後見人、だけですから。後見人と、お話になるってことだと思いますけどね?

相談者:
はい、わかりました。

大迫恵美子:
はい。あのね?、伺ってると、非常にその、自分の人生に対してね、まあ焦りというか、「 このままこんなところに閉じ込められて、非常に退屈で鬱屈した状態のまま、自分が年を取って死んでしまうだけなのか」と・・いうことに対しての、不安というのがあるのかな、という風に思うんですけど。

相談者:
はい

大迫恵美子:
それはねえ、一定程度・・しょうがないところがあってね?。
人間はまあ、若返ってはいかないので。少なくともその、50代のね?、時に戻るってことはありえないので。それを・・

相談者:
そうですか。

大迫恵美子:
ええ。それはもう、病気していようとしていまいとね?、60代が進んでいけば、もう50代とは違う人間になってしまうということは、もう、受け入れざるを得ないことなので。

相談者:
はい

大迫恵美子:
その部分は、ちゃんと・・受け入れないといけないですよ?

相談者:
そうですか。

大迫恵美子:
うん。あなたは、ちょっと、その部分もね、その、やはり・・途中で、ご病気をしたという、その・・ことが、非常に、強い、いい、まあ気持ちの中にあるものですから、なんとか元へ戻したいというお気持ちが強いように思うんですけど。

相談者:
はい

大迫恵美子:
もう、歳を取るということは、元には戻らないということなのでね?

相談者:
はい

大迫恵美子:
それは、あのう、いっくら願ってもお、いっくら努力しても、できないことですよ?

相談者:
・・そうですか。

大迫恵美子:
はい。
で、あの、わたくし自身もね?、後見の仕事は、したことがありますけど。結構ね、その、きちっとしたお仕事をされてきた、インテリ、の、男性の、方などはね?、「 いや、1人で大丈夫だ」とかね、「1人で死にたい」とかって、おっしゃる人が、とても多いんですけど。

相談者:
はい

大迫恵美子:
実際にはね、そういうことを言っている時というのは、その人の人生の中では・・その、段階では、1番若い時なんですよ。

相談者:
はい

大迫恵美子:
で、その、若い時の、自分の体力とかね、判断力とかあ、ものの考え方を基に、「1人で生きていきたい」っておっしゃってるんだけど。(吸って) 私が、あ、のう、長く、貢献をさせていただいた方なんかはね?

相談者:
・・

大迫恵美子:
もう、1人で、夜中に・・トイレに行こうと思っても、ベッドからトイレまで行きつけない、みたいなね?

相談者:
・・

大迫恵美子:
だんだん、その・・想像もしてなかったような、辛い状況が生まれてきちゃうわけなんですよ。

相談者:
あ、そうですか。

大迫恵美子:
ええ。生活の不便っていうことがね?。「自分は、まあ、昔から1人暮らしだから、料理ぐらいできる」とかあ、色々考えてることはあるんですけど。

相談者:
はい

大迫恵美子:
そういうことは、もう、全然できなくなってしまって。で、まあ、ある時ね、夜中に、ベッドから落ちて、 骨、粗、鬆、症、って言うんですかね?、なってますので、高齢で。

相談者:
はい

大迫恵美子:
あの、骨折してしまって、身動きも取れなくなってしまって。 しかも、その・・オムツとかを自分で外しちゃったりしてるので、ほとんど洋服も着てないような状態で、ベッドの下でね?、まあ、半日ぐらい、倒れていて。毎日、頼んでいたヘルパーさんがやってくるまで、そのままの状態でいて。で、発見されて、救急車で病院に行った、なんていう、例もあったんですね?。で・・

相談者:
はい、そうですか。

大迫恵美子:
ええ。で、その時には、さすがに、その方もね?、その、入院・・生活をされた後、「もう老人ホームに入りましょう」って、お願いしたら、「はい」っておっしゃいましたよね。

相談者:
・・

大迫恵美子:
やっぱり、その・・「自分は1人で死ぬんだ」っていう考え方は、若い時だからこそ、持っていた考えであって。実際には、その時が来るとね?、明らかに、その、病院で、ケアをしてもらったことの方が、心地よくなってしまったので、老人ホームに入って、いろんな人の助けを借りながら生活することの方が、いいっていう、判断に、なったわけなんです。

相談者:
あ、そうですか。

大迫恵美子:
ええ。あなたはまだ、62歳でね、体も、達者に・・歩かれて。
だから、非常にその、不満が溜まってるかもしれませんけど。これから先、お1人になってしまうと・・そういう時が、やってくるわけですけど。そうすると、その段階で、また、どこかのね?、老人ホームに入り直さなきゃいけないと。それを誰が選んでどうするのかっていう問題もありますのでね。

相談者:
はい

大迫恵美子:
軽々しく、今の、ホームを出ることを、考えるというのは、やめた方がいいと思いますよ?

相談者:
そうですか。

大迫恵美子:
少なくとも、そこにいれば、ご飯には困らないわけだし。

相談者:
はい

大迫恵美子:
それから、まあ、お風呂であれね?、日常の、衣食住は、全て、用意してもらえるわけですから。

相談者:
・・はい

大迫恵美子:
その中で、「自分は何ができるか?」ということを、考えるべきで。軽々しく、「独り立ちして自由になるんだ」みたいなことでね?

相談者:
・・

大迫恵美子:
決めてしまうのは、大変、危険な選択だと思います。

相談者:
はい

大迫恵美子:
で、しかも、まあ、◆#後見人の、方がついてるのでね?、当然そういうアドバイスは、すると思いますが。

相談者:
はい

大迫恵美子:
今あなたがなさりたいことの中で、もしかしたらできることもあるのかもしれないので。それは、あの、後見人の方とよくお話になることをお勧めしますよ?

相談者:
はい、わかりました。

(再びパーソナリティ)

「円熟期の税理士の人生急転。外出もままならぬ施設で募らせる外界への憧れ」への15件のフィードバック

  1. 母が居なくなったら1人
    ・・・って、結婚しなければ当然最後は1人ですよ。
    脳梗塞を発症して後遺症が残ってしまったのですね。

    成年後見人、なぜ?付けたのだろう? 身内に保証人が居ないなら成年後見人を付けないと老人ホームには入れません。と言われたのかな?
    財産が有ったのなら何か手段は無かったのかな?と思ってしまいます。

    旅行に行きたい。といっても多少歩くことが出来ても、ご自分1人で動けないのなら、そもそもできませんよね。
    せめて老人ホームにもネットとパソコンがあれば楽しみが見つけられるのに・・・不可能ですものね。
    考えても考えても無力感しか湧きませんね。

    税理士ほどの方なのに、成年後見人について調べ無かったのかな? 調べる時間的猶予、身体の不自由さが有ったのかな?

    成年後見人は本人も家族にも、金額的自由は全て無くなります。財産の範囲で生きていけるだけです。

  2. 「そうですか〜」
    ここまで連発されると、バカにされてるみたい(-。-;

    大迫先生の今日のお言葉は私の心にも静かに沁みました。
    「足るを知る」、「今日がいちばん若い日」

    感謝と笑顔で日々生きて行きたい‥‥。

  3. 籠の鳥のような今の生活は退屈だから「自由になりたい」、「旅行にでも行きたい」。
    今の生活に不満があるのは分かる気もしますが、籠の外の世界が鳥にとって安全で幸せかというとそうとも限らず、自由ゆえの苦しみや悩みが必ず待ち受けています。今の相談者がそれに対処できるのかと言えば失礼ながらいろんな面で覚束ないでしょうね。自由を渇望した人がいざ本当に解き放たれるとまず依存先を探し始めるというのもよくある話です。

  4. まずはお二方が仰る通りの対処で様子を見る、そしてお母さんをしっかり看取ってあげることが先か?
    お寺というか、お墓のことも気になりますが、3人ともしっかり供養できるよう、それも話し合って。

    1. いっちゃんおいしいHBC さん

      母を坊さんを呼んで弔うことも、墓を建てることもできないと思います。
      相談者には成年後見人がついて財産管理しているので。

  5. ブルジョワやん。
    できる範囲で社会貢献でもしたらどうでしょう。
    相続間近のジジババに囲まれてるんだから、適法な範囲で相談会でもするとか。

  6. 高次脳機能障害
    典型的なケースですね
    脳血管障害の発症や頭部外傷を期に、ある日突然、これまでの日常生活が絶たれてしまう
    タイトル通り、年齢的にも彼は税理士としてまさに円熟期
    稼ぎ頭で蓄財もして親の面倒もみて
    充実した毎日のさなかに起きてしまった不幸
    人並みの感情や本能的欲求、身の回りのことをこなす能力や身体的な機能はたもたれている
    だから、なおさら、悲しい😢

    彼に妻や子どもがいたら、状況は大きく違っていたかもしれない
    愛情といたわりをもって親身になって彼の要求に寄り添ってくれる誰かがいたら…

    成年後見人がついて、衣食住満たされて財産は守られても幸福感や満足感とはほど遠い人生がこれからも続くのかな
    常々思うのは、脳のダメージを抱えながら生きるのはとても過酷で残酷
    本人も周囲も解決策なんて見出せないけど、大迫先生の回答は淡々としてるようで労りに満ちていたように感じました

    この放送を聞いた彼の周囲の誰かが後見人にかけあって、彼の望みが少しでもかなうように、動いてくれるといいなぁ

  7. なぜ、89歳のお母さんの死後が不安なのか、よく分からない。
    89歳ならいつ命を落としても、何の不思議も無い。
    お金はいっぱい持っているので、若返る事が出来ると
    踏んでいる相談者。
    そう簡単には若返りは出来ないと思われる。

  8. 後見人は、変えられないのかなぁ。親身になって、お金持ちなら、ボランティアや介護付きの旅行の手配、年一回でも、半年に一回でも、してあげられないのかな。

  9. 夫婦で老人ホームに入る人はよく聞くが親子で入所は新しい…最先端ですね…!でもそれもお金の心配をしなくていいからこそ出来る荒業。
    でも相談者さんの話を聞いて、何の不安もないと言うことは実は最大の不安なのだと言うことが分かりました。日常に多少の不自由さ煩わしさは人生に彩りをもたらすのですね。

  10. 分かる気がする
    この人の気持ち
    お母さんが亡くなったらって、すぐの話なんだろうけど、それって怖すぎるんだろうな
    税理士だったとか、遺産が沢山あるとかより、この先どうやって生きていく→ 死んでいく、かの話とお母さんの話が頭の中で絡まっているんだろうな
    さりとて外に連れ出す友も無し
    胸が痛くなってしまった

  11. 友達の付き添いが有れば外出できるのなら、何らかの有償サービス利用すれば良いのでは?

    こんな時、奥さんやお子さんがいれば…と思いますが、それこそ今まで十分な自由があったのでしょうね。

  12. お元気であればまだ現役でお仕事も出来る世代の相談者さん
    ご病気になられ現実と将来を見据えて施設暮らしを選ばれたものの思うようにならないことや不安な思いが重なり、悶々とされてるんですね

    旅行となるとリスクもあり身体的にかなりの負担もかかりますが、ちょっとした外出ならガイドヘルパーさんや有償ヘルパーさん等にお願い出来ますよ
    施設のある街をぶらぶらお散歩したりカフェに立ち寄ったりお店を覗いたり気晴らしが出来ると考え方も変化されるのではないでしょうか

  13. 病気の前は仕事もそれなりにこなし、社会的にも、信用される士業についており、資産も築いた。結婚はしていないけど、それなりに充実していたんだろうな。病気で一転した人生と老いた親、外出も自由に出来ない我が身。健康ならまだ現役で働いていただろうに。気の毒だ、本当に。相談して、少しは気が晴れた事を願わずにいられない。

  14. 物心ついたころから障害のある方は、元々そういうもんだからと思って受け入れられるそうだし、実際そういう方に何人もお会いしてきた
    ただ、中途で障害を負われた方は、元々できたことができなくなった喪失感と絶望があるから、「障害のある自分」を受け入れるのがとても難しいという
    仮に自分がある日突然…と考えたら、泰然と受け入れられる自信はない

    この相談者さんも、女性には縁がなかったにせよ、ある程度の稼ぎがあって、自由に暮らせていたのが、病気を機にすべてが暗転したわけで、それを受け入れられないし、また前を向くにはいろいろと状況が深刻なんだろうな
    脳梗塞の半身マヒだけで成年後見人がつくとは思えないし、55スマさんのおっしゃるとおり、高次脳機能障害の後遺症も相当程度ありそうだ
    お金の管理や行動の判断を含め、一人暮らしはおろか、一人で外出するのは傍から見て危険な状況なんだろうな
    それでも、ある程度頭はしっかりしてるぶん、自分へのもどかしさと将来への絶望を感じるんだろう、お気の毒としか言いようがない

    大迫先生の仰ることはまさに正論、老いであれ中途障害であれ、自分の現状を受け入れてできることを探さないと、前向きにはなれない
    ただ、相談者はまだ失ったものを受け入れられる状況ではなさそうだ、途中から声がわなわなしてたし
    いつの日か、今ある状況を受け入れられて、心穏やかに暮らせるようになれることを祈るばかり

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