自閉症の子を持つ母のイライラ。他人に気を使いすぎるワケ。自己執着的対人配慮
2014年8月14日 木曜日
相談者:女35歳 夫37歳 長女4歳(自閉症) 次女1歳
相談内容:夫や子どもにイライラして、いい母でいられない。
パーソナリティ: 加藤諦三
回答者: 森田浩一郎(医学博士)
今日の一言: 他人に気を使いすぎる人。神経症的非利己主義、あるいは、自己執着的対人配慮といいます。
(今日の一言とは加藤氏が最後にいう言葉です。)
相談者:
実家が近く、夫も子育てに協力的。
外からみれば恵まれているのに、子育てがつらく、逃げ出したい。
加藤諦三:
具体的には?
相談者:
上の子が自閉症で、それで育てづらいなって、ずっと思っていたんですが。
加藤諦三:
つらいのは自閉症と診断されてからのこと?
それとも、それよりも前からつらかったの?
相談者:
そうです。(自閉症と診断される前からつらかった)
加藤諦三:
下の子は?
それほど育てづらいとは思わないの?
相談者:
そうですね、1歳なりのやんちゃさです。
でも、寝なかったり、思い通りにならなかったり。
加藤諦三:
うんうん、そうだね。
それはだれでもイライラしますよね。
かわいいとは思うわけ?
相談者:
かわいいと思います。普段は。
でも、長女の癇癪(かんしゃく)を受け止められない。
怒鳴り返したりしちゃったりとか。
加藤諦三:
かわいいんだけども、癇癪がおきる・・
母として、こういう風に思うこと自体が母親失格だとか、
自分の実際の感じ方を偽るようなことはないんですか?
相談者:
それはないですけど、
イライラしてしまって、暴言を吐いたり、主人にも、下の子にもあたってしまうのがイヤなんです。
加藤諦三:
はい、はい。
4歳のお子さんだけじゃなく、ご主人にもイライラするんですか?
相談者:
はい、下の子にも。
加藤諦三:
周りの人、接する人、みんなにイライラすると。
相談者:
そ、そうですね。
特にやっぱり4歳の子です。
加藤諦三:
暴言って、どんな?
相談者:
うっとーしいとか、女性ではないような言葉。
加藤諦三:
ご主人にも?
相談者:
いや、そこまではないです。
暴言というより、主人が(私の)言ったことをやってくれなかったりして。
加藤諦三:
暴言とかじゃなくて、まさにイライラね。
ご近所さんや、昔の友だちに対しては?
相談者:
自分で言うのもなんですが、他所の人には気を使う方です。
加藤諦三:
でも、ご主人やお子さんにはいい顔ができないと。
過去の人間関係はどうでした?
昔の恋愛とか、
うまくいってたのか、気を使いながらも、うまくいかなかったのか。
相談者:
私の方から離れてしまうんです。友だちにしても。
加藤諦三:
こんなに気を使っているのに、なぜ?っていう不満を持つんですね。
相談者:
それと、自分が引いてしまった方がいいという思い込みですね。
加藤諦三:
自分は適していない、この人には相応しくない、という感情を持ってしまう。
相談者:
そうですね。
今の子育てにもつながっているような・・
他の人に育ててもらった方が健やかに育つんじゃないかって。
加藤諦三:
そうでしょうね。
自分が他の人よりも劣っていると感じる。
分かりました、そういう状態でどうしたらいいかという相談ですね。
(回答者に交代)
森田浩一郎:
大変ですね。
みんな大変でね、何もなくたって。
発達障害とか、自閉症とか、
あなた、ショックだったよね。
相談者:
そうですね。(泣きそう)
森田浩一郎:
なんで、自分だけがって思うんでしょう?
相談者:
そうですね。(泣きそう)
森田浩一郎:
でもね、いくらでもあるんですよ、こういうことは。
人に言わないだけでね。
あなたは、一番子どもとの接触が多いから、子どもを見てると、なんで?、と思って耐えられなくなるんじゃないでしょうか。
相談者:
あります。
森田浩一郎:
でも、そのことを周りに言えない。
そして、まず自分にあたる。
で、どうにもならないから、今度はご主人や、子どもにあたる。
お子さんはもっとつらいと思います。
運命だと。
この子はそういう風に生まれついたんだと。
そこからスタートしなくちゃいけないんじゃないですか。
(森田さんの言葉一つひとつにうなずく相談者。)
自分しかいないんだと、この子は成長して必ず前途があるんだと思わないと。
あなた自身が参っちゃいますよ。
そうじゃないと、下の子にも影響するし、ご主人にもね、
そして、家庭が崩壊するのが一番怖いんです。
どこに聞いたって、特別の方法はなくて、感情は自分でコントロールするしかないんです。
家庭を守れるのは地球上で、自分しかいないと。
頑張れとは言いません。
当たり前にいきましょう。
相談者:
分かりました。
森田浩一郎:
色んな障害を持つ子を見てきましたよ。
体のね、先天的な心臓疾患を持つ子とかも。
みんなすごく優しいんです。
相談者:
うん。
森田浩一郎:
頼みますよ。
相談者:
分かりました。
(再びパーソナリティ)