できる息子の様子が家と学校で違うことが心配な母。でも息子の動機はただ一つ
テレフォン人生相談 2014年8月18日 月曜日
相談者: 女45歳 夫47歳 長男14歳 長女11歳 次女9歳
パーソナリティ: 加藤諦三
回答者: 大原敬子(幼児教育研究家)
今日の一言: 目に見えないものを信じる人は立ち上がる力のある人です。
(今日の一言とは加藤氏が最後にいう言葉です。)
相談者:
長男は、まじめで、学校では、明るく、ムードメーカー、成績優秀。
ところが、家では、落ち込みが酷く(ひどく)、泣いたり、くやんだり、じんましんになったりする。
私の前だけでそうなので、まわりのお母さんたちに言っても信じてもらえない。
(息子の)性格的なものなのか、心配。
加藤諦三:
関係ないこと聞くようだけど、あなとご主人との関係は?
相談者:
主人は、相談にのってくれるタイプじゃなく、(夫を頼るのを)もうあきらめている。
キライじゃないけど、頼りにならない。
加藤諦三:
諍い(いさかい)はないということですね。
相談者:
そうですね。
加藤諦三:
あなたから見て、みんなに気に入られようとして、頑張っている痛々しさとかいうことは・・、
相談者:
感じます。頑張りすぎてるんじゃないかと。
加藤諦三:
落ち込むと、引きずる・・
相談者:
いえ、そのときだけなんです。
加藤諦三:
また、明るく元気に。
家ではどうですか?
相談者:
物静か。
加藤諦三:
泣いたりというのは、落ち込んだときにということですね。
相談者:
はい、成績が出なかったときとか。
加藤諦三:
成績とかは、周りが感じるよりも本人にとっては重要でしょうからね。
相談者:
あ、そうですね。
加藤諦三:
というと、家庭では、学校で明るいことが想像できないと。
相談者:
そうです。
家庭訪問がありますよね。
息子も横に座らせるんですが、先生からは、
「静かだね、学校とは全然ちがうねー。」
と毎年言われる。
それが二面性っていうか・・、
主人に話すと、
「(家庭は)落ち着く場所だから、気にしなくていいんじゃない?」
と。
相談者:
あなた、二重性格と言ったり、彼(息子)が周りから見るのとは、違うように見えるんですよね。
彼が、学校でムードメーカーであったり、ここまでする目的はなんだと思いますか?
相談者:
親に良く思われたいからとかですか?
加藤諦:
うん、周りからの賞賛が欲しいからですよね。
認めてもらいたいから。
あなたは、どういう子であって欲しいと思っているわけ?
相談者:
多くは望んでいなくて・・、素直で、
加藤諦三:
うん、あなたの言う、その素直ってとこなんでしょうね。
家では、素直そうに、めそめそしたり、落ち込んでたりしていた方が注目を得られるんですよ。
相談者:
家で発散しているってことなんですか?
加藤諦三:
じゃなくて、家と学校とは違うっていうけれども、違うのは行動であって、その動機は、家も学校も同じということなんです。
相談者:
動機は同じ・・?
加藤諦三:
先生が「違う」って言ったのも、行動が違うっていうだけで、本人はまったく同じ動機だと思いますよ。
相談者:
同じ動機なんですか?
加藤諦三:
さびしいんですよ。
寂しさが原因なんです。
相談者:
あー。
加藤諦三:
なんでそんなに寂しいんだろうな、ということなんです。
相談者:
私は何をしたらいいんですかね?
加藤諦三:
そこらへんをしっかりと考えないといけないと思う。
(回答者に交代)
大原敬子:
泣く、悔やむ、弱音、どういうとき?
相談者:
成績が悪かったときとか、
大原敬子:
悪いってのは、あなたの評価ですよね。
泣くっていうのはどういう風にとらえているのか、しくしく、えんえん、涙がにじみ出たのか。
相談者:
しくしく・・。
大原敬子:
見たのね、で、あなた、なんて言ったの?
相談者:
塾の評価で、本人はAかB、Bぐらいだと思っていたんですが、Dだったので。
私は、「まだ始まったばかりじゃない」と言って励ました。
大原敬子:
そうしたら?
相談者:
黙って聞いてました。
大原敬子:
悔やむってのは、どういうときに悔やむって、とった(解釈した)んですか?
彼が「悔しい」言ってきたの?
相談者:
いえ、私がそうとったんです。
大原敬子:
そうですね。
弱音は?
相談者:
責任感が強いのか分からないんですけど、クラスをまとめられなくて、級長なんかやらなきゃよかったと・・
大原敬子:
それを弱音と、とったんですよね。
相談者:
そうです。
大原敬子:
じんましんは分かります。事実ですから。
あのね、このお子さんはすごいですよ。
何も問題なくて、精神的にも自立してて、感受性豊かなんです。
学校とは違うわね、って、それ普通じゃないですか?
大原敬子:
主人もそう言うんです。
大原敬子:
お客様として先生をお迎えするんでしょ。
マナーとして、礼節を知ってるお子さんですよね。
しくしく泣いてたんですよね。
成績が悪かったことを自分自身で受け止めようとしている、その精神力を褒めるべきじゃないでしょうか。
まだ先のことよ、っていいましたよね。
この子にとっては、その都度大人の評価があるわけですよ。
「これで、つらいの?
じゃぁ、これまで、もっとつらいことがあったのよね?
ごめんね、お母さん気づかなかったわね。
でも、○○ちゃん精神力強くなったわね」って。
人間が強く生きるのは、見えるものを信じるんじゃなくて、見えないものを信じることなんですよね。
成績が悪かったことを抱え込んでますよね、でもそれを認めてるんですよね。
それを褒めてあげる。
泣くってことが必要なんだと、それってすごく大事。
心がからっぽになったことのない子は土壇場にダメ。
パニックになる。
心がいっぱいというのは、いつも100点を求める親。
休まる時間がない。
今がいっぱい、いっぱいで走ってる。
相談者:
私、そんなに点数にこだわってるつもりはないんですけど。
息子はそう捉えてるってことなんですよね?
大原敬子:
その結論、言っちゃっていいですか。
じんましんです。
その次はパニックで真っ白になるんです。
親に見せる顔と、親に見せない顔がある。
その環境が同時に集まったとき、どっちの顔をしていいか分からない。
パニックになるんです。
泣く、悔やむ、家庭訪問、事実を見ていないんです。
あなたの都合のいいところしか見ていない。
都合の悪いところはみていないでしょ。
そんなに追いつめていませんけどって、相当追いつめていますよ、これ。
だから泣くんです。
彼は親が求める子を演じていて、苦しいんだろうなって同情します。
泣いたときは、その気持ちを汲んであげて、無言でおいしいものを用意してあげること。
朝起きたときに、「寝れた?」
顔の表情だけは見てほしい。
目ですね、目。目に一番よく出るんです。
これを続ければ、彼は自分で立ち直ります。
ですが、
今日のあなたの相談は、あなたの不安の感情。
それはご主人との関係では?
相談者:
そうかもしれないです。
(再びパーソナリティ)