自閉症の子を持つ母のイライラ。他人に気を使いすぎるワケ。自己執着的対人配慮
(再びパーソナリティ)
加藤諦三:
あなた、自分の理想の女性、母親像は?
相談者:
いつも笑顔で、でもできないんです。
加藤諦三:
ギャップが深刻なんですね。
相談者:
そうです。
加藤諦三:
あなた、小さい頃から、自分のありまのままを受け入れてもらった感覚は?
相談者:
ないですね。ないです。
加藤諦三:
ですね。
自分自身に対する怒りがある自覚は?
相談者:
あります。
こんなはずじゃなかったって。
加藤諦三:
両親からありのままを受け入れてもらった感覚は?
相談者:
ないです。
加藤諦三:
家族以外にハッキリと自分の意見を主張する、あるいは自分のやりたいことをやるっていうことはありますか?
相談者:
人に遠慮するっていうよりも、自分でブレーキをかけるんです。
加藤諦三:
なんででしょう?
相談者:
なんでですかね?
加藤諦三:
2つあって、一つは、あなたに、他人に対して隠された敵意があるから。
相談者:
えっ?
加藤諦三:
だから、自分が利己主義に思えてしまう。
何かやろうとすると、自分が身勝手だと思ってしまう。
だから、一生懸命、自分が非利己的になろうとする。
これが、あなたの他人に気を使うってことじゃないの?
他人に気を使うということの原点。
ちょっと難しい言い方なんですが、自己執着的対人配慮って言うんです。
他人への愛情からくる配慮じゃなくて、自分を守るための配慮なんです。
あなた、
子どもにイライラしてると言いましたね。
主人にイライラしてると言いましたね。
本当は自分にイライラしているんです。
(理想との)ギャップがすごいから。
自分に対する怒りが周りに対するイライラとなって現れている。
家族以外には非利己的で、立派で、いい人。
でも実は、本当は、自分の中の敵意を隠そうとしているんですよ。
だから、他人とは触れ合えないよね。
相談者:
どうすれば?
加藤諦三:
答えは一つしかありません。
自分に対する態度を変えること。他人に対する態度じゃなくて。
私はこれでいいんだと。
相談者:
いいんですか?、こんなにイライラしてるのに。
加藤諦三:
いやいや、人は自分の弱点を認めることで、初めて自分の長所に気がつくの。
あなた、今は自分の長所に気がついていないから。
自分に対する自分の態度を変えて、消えないイライラはありません。
よろしいですか。
相談者:
大丈夫です。ありがとうございました。
加藤諦三:
他人に気を使いすぎる人。神経症的非利己主義、あるいは自己執着的対人的配慮といいます。
(内容ここまで)
以前テレビで、自閉症の子を持つ家族のドキュメンタリーを観たことがあって思い出していました。
なんていうのか、苦労が報われないというのか、いくらこちらが尽くしても気持ちが伝わらない徒労感というのかね。
母親が絶望してシクシク泣いてても、その隣で相変わらず歌を口ずさむ自閉症の息子の図。
これから、その苦労を背負っていくことの意味を十分に理解しているからこそ、直接にはそのことに触れない、相談者、加藤氏、森田氏3人の会話は迫ってくるものがありました。
どれほどの決意で次女を産んだのか、知る由もありませんが、この1歳の妹さんが、きっと、この相談者の支えになってくれるはずです。
自閉症の方を見かけたときには、その後ろにいるご家族のことを思い描けるようになろうと思いました。