死んだ息子は借金できないはずなのに借金していた。

(回答者に交代)

坂井眞:
長男の方が言った、昔は亡くなったら払わなくても良かった、というのは間違い。
亡くなると、プラスの財産も、マイナスの財産も、相続人が全部引き継ぐんです。

借金は借金で、全部引き継がなくてはいけないんです。

相談者:
昔は亡くなると帳消しになったっていうけど・・

坂井眞:
それは間違い。
昔も今も、ほっておくと、相続人のところにくるようになっちゃうので、さっき金融機関の人が言っていた相続放棄というのが重要になってくるんです。

亡くなった人のことを被相続人って言うんですが、被相続人がいくら借金してようと、遺族には関係ないことじゃないですか。

プラスの財産だったら相続すればいいけど、債務、借金を背負わされるというのはおかしいじゃないですか。

相談者:
あ、そうですか。

坂井眞:
そう思いませんか?
おかしいでしょ。
だから、相続放棄という手続きがちゃんとあるんです。
三男が亡くなって、自分が相続人であることを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に、相続放棄しますって言いに行かなくてはいけないんです。
書類を出すんですけど、まだ半月ですよね、亡くなってから。
だから、大丈夫ですけど、できるだけ早くした方がいいです。

三男の方は独身ですか?

相談者:
離婚したけど、独身です。

坂井眞:
子どもさんはいない?

相談者:
いない。

坂井眞:
そうすると、配偶者がいないから、お子さんにいくけど、お子さんがいないから、ご両親にいく。
お父さんはもういないんですよね。

相談者:
はい

坂井眞:
そうすると、お母さんであるあなたに相続がいきます。
だから、すぐ相続放棄をしなくてはいけません。マイナスがあるならば。
他にプラスの財産ってないですか?

相談者:
ないです。
車と保険と・・

坂井眞:
もらわないと困るというのはない?

相談者:
ないです。
名前だけ、土地のね、5分の1ありますけど、50坪の。

坂井眞:
5分の1って、お父さんから相続したとか、そういうこと?

相談者:
私が実家からもらったものを、息子が、税金が安くなるからって・・、5分の1・・、登記がしてあったんです、法務局に行ったら。

坂井眞:
あなたが住んでらっしゃるところではなくて・・、どこですか?

相談者:
私の実家です。

坂井眞:
ご実家が、結婚するときにくれたみたいな?

相談者:
そうです。
57歳(三男)が結婚するときに。

坂井眞:
あー、そういうことですか。
5分の1だけ?

相談者:
そうです。

坂井眞:
あとの5分の4は誰が持っているんですか?

相談者:
あとは兄弟ですね。

坂井眞:
なんで聞いているかというと、相続放棄すると、プラスの財産も、マイナスの財産もぜーんぶ相続しないことになってしまうんです。

今日ご相談なさっている、車の中から見つけた借金、これだけを放棄するんじゃなくて、5分の1の土地の権利も放棄することになるんですが、それで困らないですか?

相談者:
別にいいです。

坂井眞:
ふーん。
あの、限定承認っていう・・、ちょっと難しいから、裁判所で聞いてもらった方がいいんだけど、プラスとマイナスを計算して、プラスとなったら相続しますっていう制度なんだけど、今から予測して、プラスがなかったら相続放棄しても問題ないし、5分の1の土地の権利も要らないというんであれば、全部放棄したっていい。
あるいは、息子さんにどんな財産があるのかを調べて・・、ただ3ヵ月以内というのを忘れないで欲しいんだけど。
不動産だけだと思うんだけど・・、
限定承認か、放棄か、まぁ、放棄でいいと思うけど、早くしないといけないので、それを家庭裁判所に行って書類を出す必要があるのかな、と思います。

すると、裁判所から葉書がきます。
放棄したんですけど間違いないですか?っていう葉書。
それに、間違いないですってサインして送り返すと簡単に手続きが終わりますから。

相談者:
やっぱり、車と保険はかかるんですか?、放棄しても。

坂井眞:
ぜんぶ放棄です。
だから関係なくなります。

車と保険は手に入れたいけど、借金は放棄します。これはできないんです。

相談者:
前に債務のアレがしてあっても、効かないんですか?

坂井眞:
何をしたのか、はっきりしないからお答えしにくいんですが、20年前でしょ。

相談者:
借りないように止めてあった、弁護士に。

坂井眞:
債務整理したんだと思うんですよ。
そうすると、ブラックリストに載りますから、借りられないんだけど、20年前だから、永遠にそれが続くとは限らないし、20年前のことを今、持ち出しても意味がないと思います。

相談者:
弁護士さんに聞いてもだめですか?

坂井眞:
いや、相手の弁護士さんが分かるんでしたら聞いてみたらどうですか?
でも、そのことと、今回の相続放棄とは関係ないから、聞いてから放棄しようとして、3ヵ月過ぎてしまうことのないようにしてくださいね。

あともう一つポイントがあって、あなたが放棄すると、あなたは元々相続人じゃなかったことになるんです。
すると、次の相続人が相続することになるので、ご兄弟が相続人になります。
すると、あなたの長男と次男の方はお元気だから、弟の財産を引き継ぐわけです。
すると、そこでも放棄が必要になる。

あなたが放棄しても、長男と次男が借金を背負うことになるから、もし分かんなくなったら、裁判所に相談してもいいけど、中身のことまで、ああしなさいってっことは言えないから、裁判所は。
弁護士さんにもう一度詳しく説明を聞いてもいいけど、今、お話聞く限りでは、まず相続放棄して、そして長男と次男に相続がいくことを話して、どうするかを考えたらいいと思います。

(内容ここまで)

相談者は20年前のことで、坂井弁護士に食い下がってましたね。
20年前の弁護士は、もう三男は借りられないと説明したんだと思う。
もちろん、それは当面の話。
たぶん、ブラックリストから消えるのって、5年とか10年とかじゃなかったでしたっけ。

長男が、にわか法律知識で、母に吹聴してるんでしょう。
たぶん、母は長男に全幅の信頼を置いてるんじゃないかな。


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