突然届いた納税通知書。知らずに相続してしまって、ダメ元の相続放棄

(内容ここまで)

ムリでしょ、
てか、一体誰の相続を放棄しようとしてんだか。。。

要らないんだったら、アタシにくれ(笑)

 

いきなり相談者に納税通知書が送達された経緯

 

別に言葉尻を捕らえるつもりはないんだけど、

「相続が終わった・終わってない」

正確にはこれは、遺産分割が終わった・終わってないということ。
あるいは、遺産分割協議が整う・整わない、などと言えば専門家ちっく。

何が言いたいかというと、相続は、相続人の意志に関係なく、故人が亡くなった瞬間に、自動的に、半ば強制的に、開始されてしまうということ。

遺産の所有権は、そのタイミングで一旦は決まってしまい、遺言書に基づく手続きや、遺産分割協議がまとまらない限り、その所有権が公式なものとなる。

このことは、特に債権者との関係においては強力で、法律で担保されている。

相談者が知ろうが知るまいが、今現在、実家の土地は法定相続人全員の共有資産。
役所が相談者に納税を迫ってきたのは至極真っ当なわけだ。

だからと言って、10人の相続人全員に納税通知書を送る義務は役所にはない。
配偶者や、第一子など、まずは自明の人だけに送付するのが普通。

役所は正確な相続分なんて調べもしないから、請求された年額15,000円が実家の土地の固定資産税の全てと思っていい。

 

絵にするとこんな感じ。

大叔母の遺産の権利(=納税義務)が相談者に回ってくるには、最低でも3回の相続を経る必要がある。(図の①~③)

最低でも、と言うのは、相続が下に行く前に、横向きの相続が発生することがあるからだ。
横、すなわち配偶者のことで、絵では省略してある。

さて、
父の兄弟に納税通知書が行っても良さそうなものだが、相談者に通知が来たということは、相談者の父が固定資産税を支払っていたと考えられる。

しかも、父親が亡くなった後の今のタイミングだから、それ以外には考えられん。

そうであれば、たとえ土地名義が大叔母のままであっても、事実上の持ち主は納税者であると考えるのが普通で、その父が亡くなって、相続人である娘に納税通知書が送られてきたのは何の不思議もない。

 

ダメ元の相続放棄なんてムダでしかない理由

さて、相続放棄できるか?という相談。
ちょっと相談者も勘違いしてそう。

整理しよう。

まず、上の絵で分かるとおり、大叔母の相続人ですらない相談者が、大叔母の遺産の相続放棄なんて理屈に合わないし、不可能。

相談者が出来るのはあくまで父親の相続放棄だけ。
なんだけど、父親が他界してすでに半年を過ぎているので期限切れ。

どう?
中川弁護士が「ダメ元」と言う理由が分かって頂けたかしら?

納税通知書が送られて来た1週間前を起点に出来れば、というのがまさにダメ元の部分で、
民法の規定はあくまで、
「相続の開始があったことを知った時から三箇月以内」

さらに、同規定には、遺産の処分を行えば単純承認と見なすとも書いてある。

相談者は父親の遺産処理を行っていたわけで、そっちにも引っかかる。
問答無用だ。

もっとも、もし相談者が、父親が亡くなったときに、実家の土地の事を知っていたとしても、状況は変わっていないハズだ。

だって、部分的な相続放棄なんてのは認められないから。
実家の土地を相続放棄するためには、父親の遺産すべてを放棄するしかない。

そんなことしないでしょ?
てか、プラスの財産なんだから、アタシ要りません、とだけ言えば済む話。

 

困ることは何一つない。
弁護士に任せてお小遣いもらって終わらせよう

色々言ってきたけど、中川弁護士の一言に尽きる。

中川 「率直に言うと、そんなにシリアスな問題ではない」

つまり、プラスの財産だということ。
大事なことなので2回言いました。

年額15,000円の固定資産税から逆算する宅地の固定資産税評価額は、
およそ640万円。
これが納税通知書に書いてあるハズ。

0.7で割り引けば、
およそ920万円也。
これが実勢価格の目安だ。
処分に困るクズ土地ではない。

もしかしたら、更地費用が引かれるかも知れんし、仲介手数料も掛かるかも知れん。
けど、この価格ならどうってことない。

法定相続分は父親の兄弟人数で変わる。
4人が存命で、亡くなった兄弟の子が4人いると言うんだから、相談者の法定相続分は、
最大で1/12(父が6人兄弟のとき)。
最小で1/18(父が9人兄弟のとき)。

つまり、法定相続分だけでも相談者姉妹合わせて、およそ100万~150万の権利がある。

法定相続分だけでも、と言ったのは、もし他の相続人が執着しなければ、もっと多く手にすることもできるからだ。
父親が税金を支払っていた事情を考えれば、その可能性大。

中川氏言うように、弁護士案件だ。
でもそれは、相続放棄の相談なんかではない。
すべてアンタのものするためだ。

弁護士はアンタの名義にするために、寝た子を起こすことのないように最大限に配慮した遺産分割協議書を作成し、相続人から同意書を集めてくれよう。

成功報酬に直結するし、相続放棄みたいな代書屋まがいに比べてヤル気が違う。

たとえ一人や二人、権利を主張するのがいれば、カネで話をつければいいし、逆にアンタがカネを貰って、名義は譲ってもいい。
どうしても気持ちが悪けりゃ、ホントに法定相続分で分けてもいい。

困ることはなにもない。

 


突然届いた納税通知書。知らずに相続してしまって、ダメ元の相続放棄」への4件のフィードバック

  1. 最初、声を聴いたとき50歳前後だと思った。
    随分落ち着いた声してるね。

  2. うーん、実勢価格920万ってのがポイントなんかな?
    相談者が手間を厭わなければプラスになるという…

    親が祖父の家(誰も住む予定もない、古い家)を相続したけど、田舎というのもあって、多分大した値にはならない。
    もちろん税金も安いが、除草やら風通しやらで維持管理は必要だし、さりとて更地にしたところで費用割れかトントンがいいところだと、結局手間(個人が遺した生活用品なんかも、たんまり処分しなければならない)でしかない。

    似た状況にある主人の親戚の家は、そこそこ都会だけど、それでも手付かず。管理人さん、いりますか(笑)

    どうにかプラスになるのであれば、商売になりそうだけれども…

    1. 管理人さんの説明でとてもわかりやすく、理解できました。
      ウチもいなかの山、田畑、ゴミ付きの家など事情があり、相続の手続きができないまま、固定資産税とか維持費用を払い続けているのがある。
      なんとか、私のところに来ないように弁護士に相談してるところなのでとても、興味深かったです。
      現金化できない不動産も多いし、、、
      価値も興味もない不動産のために、エネルギーかけられる人は限られると思う。

  3. ウチも田舎に崩れかけた竹藪や休耕田があるらしいけど。
    面積も細切れで、宅地にもならんような・・だあれも要らないような・・。
    買い手が付くとも思えない。 税金は安い!(笑)
    それでもバブルの頃はかなりの値段で売ってくれと言われたこともあるそうな・・・

    なかなか価値ある財産の相続って巡ってこないものですね。

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