60年住む借地の立ち退き。持つ権利に気づかない男にテキトーなこと言うドリ助

(再びパーソナリティ)

ドリアン助川:
もしもし?

相談者:
はい

ドリアン助川:
あ、いずれにしろ、その大家さんと、手をう、打つというか、その合意点に達しなきゃいけないと思うんですけども、

相談者:
そうですね、お互いが納得するところは。

ドリアン助川:
ええ

相談者:
はい、はい

ドリアン助川:
でーあの、大体の方、合意点に達する時に、こっちが、少しでも、得するようにって考えるんですけど、

相談者:
はいはい(笑)

ドリアン助川:
手を打つためには・・ちょっとこっちが被るぐらい・・

相談者:
あ・・ちょっとそうするぐらいが・・

ドリアン助川:
が、コツかもしれないですね。

相談者:
うー、いいぐらいですかねえ。はい

ドリアン助川:
その方があの、は、早く、次の、次代へのステップを・・

相談者:
はい、はい

ドリアン助川:
踏めるかもしれないですね。

相談者:
分かりました。

ドリアン助川:
はい

相談者:
はい

ドリアン助川:
はい、では、失礼します。

相談者:
どうも、ありがとうございましたあ。

ドリアン助川:
はい

(内容ここまで)

立ち退きの心配なんか吹っ飛ぶ借地権無双

 

ドリ助: 50坪、月3万っていうのは破格のお値段ですね。

いい加減なこと言わないで。
そらマルチタレントが住む都内二等地だったらそうだろうけどさ。

マクドナルドのハンバーガーじゃあるまいし。
地代は土地の値段で決まるの。

これから海千山千の地主と対峙しようってのに、格安で借りてるなんてことを刷り込まれたらどんだけ心理的ビハインドになるか。

 

坂井弁護士も、地主と賃借人がフィフティ、フィティフィっていうトーンなんだけど、違わない?、それ。

特に旧借地法は借り手保護が行き過ぎていて、そのことが改正の動機になっている。

そして、60年前から借りている相談者の借地は、改正された新法ではなく、借り手無双の旧法が適用される。

契約書がない?
心配いらんよ。
借地人名義の家に暮らし、地代を払っていることが借地契約そのものだ。

今日の相談で、この男に何よりレクチャーが必要だったのは借地権に値段がつくということ。

普通の人の感覚は、借りたものは返して終わり。
借りる権利というものが存在し、しかもそれが売り買いできるなんて思いもしない。

新法制定以降に結ばれる新たな借地契約のほとんどは定期借地権で、期限が来れば借地権の価値はゼロ。
てか、借地権そのものが失くなる。

ところが旧法で発生した借地権に期限はない。
あっても借り手が更新を希望すれば地主は拒むことができない。
こういう土地が全国あちらこちらに存在し、相場を形成している。

この無期限の借地権の価値相場は実勢価格の6,7割程度と言われる。
そもそも相談者は、立ち退きに応じる必要なんかサラサラないんだけど、もし立ち退く場合でも、更地費用のさの字も心配する必要のないことがこれで分かる。

もちろん地主はこのことを熟知している。

相談者:
「地主から手紙が来て、立ち退いてくれとは書いてないんですけども、『相談したいことがありますので、一回お話できませんか?』みたいな」

この下手(したて)感は、ひねくれた見方をすれば、無知の賃借人すなわち寝ている子を起こしたくない気持ちの表れ。

実際、起こしてしまえば、賃借人の同意なしに地主が土地を取り戻すことは不可能になる。
その同意を得るハードルの高さも一気に跳ね上がる。

 

例えば、地主がこんな条件を提示したとしよう。
更地費用は地主持ち、さらに退去前半年間の地代を免除、さらにさらに、立ち退き料と引っ越し代名目で金一封。

どう?
普通の人は泣いてお礼を言いながら出て行くんじゃない?

どっこい、これぐらいで旧借地法が適用されている借地を取り戻せるなら地主は万々歳だ。

 

もしかしたら、地主は、退去ではなく、契約更新を提示してくるかもしれん。
同じ内容で契約書を作り直しますから、とかなんとか。

でも、実はそれは更新ではない。
旧借地法の借地契約の解約と、新法の借地借家法による全く新しい借地契約のセットだ。

当面住み続けられるのなら妥当な落とし所と思えなくもないけど、上で述べたように、同じ期限でも旧法と新法とでは効力に天と地ほどの差がある。

相応の金額が動かないでハンコだけで済まそうとするのなら、無期限の権利を無償で手放すことを自覚しないといけない。
応じるのはアンタの自由。

 

とりあえず、地主の要求を知るために話だけ聞く。
それはいいんだけど、その前に男が最低限やっておくことがある。

  1.  古本でいい、一番薄いやつでいいから、借地権について素人向けに書かれた本を読め。
  2.  借地の実勢価格を知れ。大まかでいい。国土交通省が取引実績情報を公開しているし(”土地総合情報システム”でググれ)、役所に行って固定資産税評価額を閲覧してもいい。

実勢価格が分かったら、その6,7割が借地権相場の目安だ。
少々乱暴だが、固定資産税評価額をそのまま目安にしてもいい。
とにかくそれは、紛れもなくアンタら母子の無形資産だ。

これを頭の隅に置いておけば、地主が提示する一見破格の条件に舞い上がることもなかろう。

 

番組でも借地権に関する相談は定番になりつつある。
大半は借りてる人からの相談で、持てる権利に気がつかされて救われている。
逆に地主の相談者はショックだ。(もちろん不動産屋さんじゃなく、相続なんかで図らずも地主になった人だ)

タグを貼って集めておいた。
借地権に関する相談集

手間を惜しまぬ者にこそ果実は落ちる。

 


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