二世帯住宅に住む権利。公正証書遺言と遺留分。互いの切り札を隠す緊迫の協議
テレフォン人生相談 2020年8月29日 土曜日
30年前に舅姑の共同名義の土地に建てた二世帯住宅に住む。
家は相談者の住まいは夫名義、もう一方は舅姑と夫の妹の住まいで義妹名義。
3年前に舅が亡くなったときに夫が義妹に相続の話を持ちかけるも応じてもらえず、一年前には姑が亡くなった。
義妹は夫が看護に関与してこなかったことを理由に通帳の開示も拒む。
夫が調べたところ、すべての財産を義妹が相続する内容の公正証書遺言が存在した。
今住んでいる二世帯住宅の権利に不安を抱えている。
玄関、水周り・・ほとんど別棟に近いくらいの作りでないと、この関係は辛かろう。
いずれにしても壁1枚。
相談者 「妹と主人と長男と3人で話しまして‥」
長男?
すでに代替わりを想定しているわけだ。
露骨すぎない?
今後、相談者の夫が亡くなっても、義妹の財産は相談者の子どもが代襲相続するし、夫より先に義妹が亡くなれば夫が相続する。
考えたくもないだろうけど、義妹が入籍でもすれば取り返しのつかないことになる。
公正証書遺言を公にするか否か。
通常は相続の開始時点で公にするもんだが、義妹の立場で考えると、現在の振る舞いは分からなくもない。
公にすれば、兄は遺留分を請求(遺留分減殺請求)してくる。
兄の遺留分は4分の一。
遺留分減殺請求をされた時点で土地は兄との共同所有となる。
妹は4分の3の持ち分とはいえ、兄の承諾なく処分することも出来ない。
分筆するにもどこを境界線とするかは兄との合意が必要。
住み続ける権利(使用貸借目的の終了)で争うどころか、それ以前に義妹は退去を要求することすらできなくなる。
では、公正証書遺言を公にしないとどうなるか?
相談者の夫にとって当面は不利益が生じるわけではないので現状のまま月日が過ぎていく。
遺言に基づき、土地はすべて義妹のものだ。
どう?
公にする ⇒兄の反撃⇒義妹だけの土地でなくなる。
公にしない⇒兄の沈黙⇒義妹だけの土地
こういうの、利得表といって意思決定ツールなのだけど、
作るまでもなく、義妹にとっては公にする理由がない。
義妹 「心配だろうから土地の名義は今のまま父親と母親の名義で変えないでいるから」
ただし、
ここで問題になるのが、遺留分の時効。
一つは、相続の開始すなわち死亡から1年なので、これを起点にすれば、父、母ともに過ぎてしまっている。
もう一つの起点が、遺留分を侵害されていることを知ってから1年。
相談者の夫は遺言書によって遺留分の侵害を知るわけだから、母はもちろん、3年前に亡くなった父親の遺留分の権利(遺留分減殺請求権)も未だ失っていないということになる。
義妹と腹の探り合いをしている場合ではない。
坂井眞は恨まれないか?
急ぐ必要がある。
夫が公正証書遺言を請求したという事実は重い。
時効へのカウントダウンは始まっている。
時効のストップは簡単。
遺留分を請求するという意思表示だけでいい。
妹に内容証明郵便を送りつけるだけだけど、これ以上険悪にならないように、まずはフェイスツーフェイスで遺言の存在を共有するところから。
遺留分の時効の1年と、
義妹が亡くなるまでのゥン年。
時間はアンタらにとって敵にも味方にもなる。
一千万に舞い上がり遺留分の数千万を失う男
後で分かった遺産総額3億円。10年後の遺留分請求は可能か?
パーソナリティ: 今井通子
回答者: 坂井眞(弁護士)
相談者: 女64歳 夫71歳 2人暮らし 家庭持ちの息子34歳 娘31歳 父は3年前に他界 母は1年前に他界
今井通子:
もしもしい?・・
相談者:
はい
今井通子:
テレフォン人生相談です。
相談者:
あ、よろしくお願いいたします。
今井通子:
はい、こちらこそ。今日はどういったご相談ですかあ?
相談者:
はい、ちょっと、あの、相続の件で、聞きたいと思いまして、ご連絡させていただきました。
今井通子:
はい
まずあなたはおいくつですか?
相談者:
はい、64です。
今井通子:
64歳
相談者:
はい
今井通子:
えっとご主人いらっしゃいます?
相談者:
はい。71
今井通子:
71歳
相談者:
はい
今井通子:
お子さんは?
相談者:
はい、長男34
今井通子:
はい
相談者:
長女31
今井通子:
はい
相談者:
えー、2人共結婚しておりまして、
今井通子:
はい
相談者:
あのお、独立して今は、わたしと主人の2人暮らしです。
今井通子:
はい
相談者:
はい
今井通子:
そうすると・・ご相続の、
相談者:
はい
今井通子:
どなたか亡くなられた?
相談者:
あ、そうですね。あの、実はですね・・
今井通子:
ええ
相談者:
えー、30年ん、前に、
今井通子:
はい
相談者:
主人の父親名義の土地にですね、
今井通子:
はい
相談者:
あのお、二世帯い・・住宅を建てまして、
今井通子:
はい
相談者:
建物の名義は主人。
今井通子:
はい
相談者:
で、あと・・主人の妹ですね。
今井通子:
・・はい
相談者:
になってるんです、名義が。
今井通子:
・・ご主人のほうの、
相談者:
はい
今井通子:
お父さまと、
相談者:
はい、母親の名義の土地にですね、
今井通子:
ん?
相談者:
あの・・
今井通子:
母親?
相談者:
あ、半分ずつ。
主人の、父親名義・・
今井通子:
はい
相談者:
母と、しゅ、あの、父親が、半分ずつの名義の土地があるんです。
今井通子:
あ、は、は、は、は、はい
相談者:
なってるんです。そう、名義になってて、
今井通子:
ええ
相談者:
そこに二世帯住宅を建てました。
今井通子:
・・はい
相談者:
そいで、えー、建物の名義は・・片方はわたし達、主人の名義。
今井通子:
はい
相談者:
片方は、えー、主人の妹ですね。
今井通子:
はい
相談者:
えー、独身で、
今井通子:
・・はい
相談者:
そちらの名義になってます。そいで、あの、両親と一緒に、妹が住んでました。
今井通子:
あー、なるほどね。
相談者:
はい
今井通子:
はい
相談者:
で、そこで3年前にですね、父親が亡くなったんで、
今井通子:
ええ
相談者:
ま、相続の話を妹に、何度か、主人が持ちかけたんですけども、
今井通子:
はい
相談者:
ま、その都度ちょっとはぐらかされまして、
今井通子:
はい
相談者:
そうこうしてるうちに、去年、母親のほうも亡くなりました。
今井通子:
はい
相談者:
はい。そいで母親が亡くなったんで、2ヶ月ぐらいしてからちょっとまた、相続の話を持ちかけましたら、
今井通子:
はい
相談者:
ま、妹のほうから、
「親の介護もしなかったくせに何言ってるの」とか、
「なんで通帳開示しなければいけないの」とか・・言われまして、
今井通子:
はい
相談者:
もう、あの、主人のほうも、ちょっとカッカしまして、
今井通子:
ええ
相談者:
ちょっと口調も荒くなったような・・
「普通だったら相続のあれで、通帳だって見せなきゃいけないんだぞ」みたいなことを、話しましたら、
今井通子:
はい
相談者:
そこで・・「すべて自分(わたし)の物になってるんだから」っていうようなことをなんかチラっとほのめかしたんで、
今井通子:
はい
相談者:
もしやと思って主人がちょっと調べましたら、
今井通子:
はい
相談者:
公正証書が、10年前に作られて・・
今井通子:
はい
相談者:
おり、中身が全部妹・・「不動産、預貯金等、すべてを・・妹(長女)に託す」というような内容だったんです。
今井通子:
それで?
相談者:
それで、あの、ま、遺留分っていう権利があるのを、知ってるんですけども、
今井通子:
はい
相談者:
ま、そうふうにすると、今度わたし達が、ここの土地を売って、あの、出てかなくちゃいけないかな?っていうふうなことも考えまして、いろいろ主人と話もしまして。
今井通子:
はい
相談者:
で・・妹のほうと、ちょっと話し合いを、長男と、主人と、妹の3人で話をしました。
今井通子:
はい
相談者:
そうしましたら、ま、「ずっと住んでていい」っていうことで、
今井通子?坂井眞?:
(咳)
今井通子:
はい
相談者:
そいで、あの「心配だろうから」・・
今井通子:
うん
相談者:
「土地の名義は、今のまま」・・「変わらず、父親と母親の名義で変えないでいるから」というような、話、だったんですね。
今井通子:
・・はい
相談者:
そこで・・それでいいものかどうか?ちょっとわたしのほうも、分からないので、
今井通子?坂井眞?:
(咳)
相談者:
ちょっとご相談をさせていただきたいと思いましてお電話させていただきました。
今井通子:
なるほど分かりました。
相談者:
はい
今井通子:
今日はですねえ・・
相談者:
はい
今井通子:
弁護士の坂井眞先生がいらしてますので伺ってみたいと思います。
相談者:
あ、よろしくお願いします。
今井通子:
先生よろしくお願いいたします。
相談者:
はい
(回答者に交代)
義妹は独身なので、今後老人ホームに入りたいからまとまったお金が必要という展開は考えられると思います。
数年後、土地を売りたいが建物に住む義姉が出て行ってくれないというテレ人があったりして。
義妹サンは、ずっと住んでていいわよと(ほくそ笑みながら)時間を稼いでいると言う事なのか…なんて強欲な
相談者サンが管理人サンのコメントを読んで行動を起こす事を願います👊
30年の間に何があったの?それにしても義理妹はしっかりガッチリしてそう(笑)
遺留分請求できるのでは?