難病を発病した交際10年の花嫁。式の招待状の発送を前に迷う母と息子

(再びパーソナリティ)

ドリアン助川:
もしもし?

相談者:
はい

ドリアン助川:
今、みなさんが、

相談者:
はい

ドリアン助川:
あの、驚かれてて、戸惑われててってのはよく分かるんですけども、

相談者:
はい

ドリアン助川:
その難病、がどういう、今後、展開していくのか?ということも調べられた上で、

相談者:
はい

ドリアン助川:
医学の進歩もありますし、

相談者:
うん

ドリアン助川:
で、その上でなんですけどもね?

相談者:
はい

ドリアン助川:
あの、私、の知り合いもやはり、奥さんの方(ほう)が、難病抱えてらして、学校にも通えなかったという人が、結婚、したんですよ。

相談者:
はい

ドリアン助川:
でえ、ま、その、結婚式は、あのお、新郎新婦、うー、もうほんとに、泣きながらの結婚式になったんですけども、何で泣いたか?というと、それは悲しみのな、涙ではなくてですね、病気があっても、互いに乗り越えてくという決意、を2人がしたこと、一緒に生きてくんだっていう、決意をしたことの、やっぱり涙だったと思うんですね?
ですから、今もう、坂井先生もおっしゃってましたけども、

相談者:
はい

ドリアン助川:
病気があるということが、マイナスなのではなくて、えー、2人で乗り越えてく、課題なんだっていう風にも考えることできると思いますので、見守ってあげてください。

相談者:
あ、分かりました。
ありがとうございます。
それは・・

ドリアン助川:
はい、どうも、失礼します。

相談者:
は、はい、どうも大変失礼致します。

(内容ここまで)

母親の願いに反して息子は結婚する。
だけど動機は最悪。

 

「招待状が積まれています」

シュールだ。

この母親に嫌悪感を抱くのはその人の勝手だ。
だけど投函を躊躇するのを誰も責められまい。

この母親だって、24時間テレビ(*)に出演する難病患者に涙し、心からのエールを送るのだよ。

(*)24時間テレビ:
24時間テレビ 「愛は地球を救う」
毎年夏に日テレで放送される盛大な偽善イベント募金イベント

要は他人(ひと)事か、身内かの違い。

 

花嫁に対する不信感もあるみたい。

「何年か前に認定されたようで」
「1か月、何ヵ月前かぐらいだったので、知ったのは」

花嫁は病気を告げずに結婚話を進めていたの?
ま、ここら辺の話は息子が黙ってた可能性もあるので何とも言えんけど。

だけどね、母親が動揺してる一番の原因は花嫁じゃなくって息子なの。

「仕事で悩みがある時も相談乗ってもらった」
「俺が傍に居てやんなきゃ駄目だ」
「縁がある」
「人生のパートナー」

息子がこういうセリフを吐いて母親を笑い飛ばし、招待状の束を持って郵便ポストに走れば何の問題もないわけさ。

後日、母と息子とのこうしたやり取りを母親が嫁に伝えたら、嫁はむせび泣いて闘病を誓うだろうよ。

でも残念でした。
上のセリフはぜーんぶ、今日のドリ助のセリフなのでした。
(笑)
あんた、なに脚本家になってんだよ。

で、現実に息子が母親にこぼしたセリフは、
「この先進行した時に、やっていけるか?自信もない」

正直な不安感なんだろうけど、それ母親に言っちゃあいかんわな。
お願いだから、そこは虚勢張ってよ。
どうしても吐露するんだったら相手は父親でしょ。

「息子は本心では結婚をやめたい」んだわ、って、この母親が忖度(そんたく)したって不思議じゃないわけさ。

あとは思い込んだら命がけ、母は強しだ。
ひょっとして、今日の相談の趣旨は、破談に伴う法的責任みたいなことだったのかもしれん。

 

相槌の打ち方に母親の本音が垣間見える。

坂井:
「お互いの本音をきっちり確認しないといけない」
「きれいごとで話しちゃ駄目」
「『僕は無理だよ』って思うんだったら、結婚しちゃ駄目」

こうした言葉にひときわ力強く相槌を打つ相談者。
対照的に最後のドリ助のエピソードの紹介には相槌がピタリと止まる。

無理もない。
花嫁の病気を理由に破談させるなんて、人として恥ずかしいことだと、この母親自身が自覚しているからなの。
情緒的なアドバイスなんて今は一番遠ざけたいわけさ。

だけどね、そんな母親の願い空しく息子は予定通り結婚する。

なんでかって?

1.将来を信じ、腹を決めて結婚する。
2.成り行きで結婚する。
3.ムリ、結婚できない。

1なら素敵だ。ドリアンが紹介したエピソードまんまの世界。
2はとりあえずは結果的に1と同じなんだけど、これが最悪。
3は、最悪じゃないよ。

そしてこの優柔不断な男は何も決断できない。
つまり2。

式を中止にすれば、その理由は予定招待客の周知のものとなること必至だ。

知り合いの婚約が破談になるなんていうワクワクする異常事態の理由を知らないまま放っては置けない。
招待客の周辺にも広がっていく。

結婚式の招待客っていうのは、職場関係から、友人、親戚に至るまで当人にとって重要な人間関係の宝庫だ。

その人たちに人間性を疑われるようなことが出来る?
出来ないんだよ。

なんだけれども、招待状を出す前の今ならまだギリで引き返せる。
母子共々、こんな振り子のような心境なんだろうよ。

 

花嫁自身はどう思ってんだろうね。
少しでも迷っているのを察知したら、自ら身を引くことだってあり得ると思うよ。

そこで息子が「バカなことを言うな!」

なあんてね。
それはドラマの中のお話。 脚本 ドリアン助川

 

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