訴訟は権利。防衛は自己責任。負けて得する裁判に巻き込まれ30万円失う

(再びパーソナリティ)

柴田理恵:
はい、大丈夫ですか?

相談者:
はい

柴田理恵:
はい

相談者:
じゃ、分かりました、ちょっと、かなり・・

柴田理恵:
そうですねえ。

相談者:
んうん、解決、長年の、案件だったんで。

柴田理恵:
はあい

相談者:
ええ

柴田理恵:
あの、人生つうのは何が起きるか分からないですよねえ、ホントに。

相談者:
そうですね、はい

柴田理恵:
でも・・あの・・これを・・一つの勉強だと思って・・生きてくしかないですよねえ・・

相談者:
そうですよね。

柴田理恵:
はい

相談者:
はい分かりました、ありがとうございました、すいません。

柴田理恵:
はい、はい、はい・・お大事に。

相談者:
はい。どうも失礼します。

柴田理恵:
失礼します。

(内容ここまで)

よく分からんねえ。

まず原告がハッキリしない。

相談者
「向こう側の弁護士さんから」
「向こうの訴状の内容が」

イライラ(笑)
向こうって誰よ。

運転手?
保険会社?

 

示談とは、当事者双方が合意の上で、争いに終止符を打つための手続き。

実は法律に示談という言葉はなく、和解。

民法にはこうある。
「当事者が争いをやめることを約すること」

これに沿って、示談書には決まり文句がある。

まず冒頭にあるのは示談の前提となる事実を認めること。
「乙は、甲に対して、本件事故を犯した事実を認め、云々」

甲乙というのは、相談者と運転手。
つまり、運転手が「当たってない」とか言っているうちは示談はないわけだ。

 

示談書のもう一つの決まり文句は、後腐れなく終わることの宣言。
「甲乙間においては何らの債権債務のない事を確認し、今後一切の請求をしない」

もっとも、「今後一切」というのは天地がひっくり返ろうがという意味でもない。
大迫さん言うように、蒸し返す権利はあるわけだ。

ただしそのハードルは高い。
蒸し返すには、騙されたとか、脅されたとか、あるいは示談の時点では想像だにできなかったことが起きてないといけない。

てか、その蒸し返しに対抗するのが示談書であって、ここは禅問答になる。

ただ、示談書という名の契約書であって、甲乙の署名欄はあくまで相談者と運転手。

当事者でもない保険会社は示談無効の原告になれるの?
まずここがイミフ。

まさか甲乙グルと言うのでもあるまい。
被告は相談者一人だし。
保険会社は運転手の代理人ってことかしら。

大迫恵美子 「判決見てないのでどういう主文で争われたのか分かりませんけど」

 

交通事故の蒸し返しでありがちなのが示談時には発症していなかった後遺症。
つまり被害者から。

示談の蒸し返しもレアなら、加害者からの蒸し返しは超レア。
しかも運転手は、点数は減っただろうけど、懐は痛んでいない。
訴訟がペイしないのは相談者と一緒だ。

やっぱり原告は保険会社かしら。

 

保険会社が半年で治療費の負担に区切りをつけると通告したのは業界基準。

そして、
相談者 「ま、症状固定をしたんですね」

保険会社の催促に折れたということね。

症状固定というのは治っていようが治ってなかろうが、これ以上治療を続けても症状の改善が見込まれないこと。

判定するのは医者。

ここを境に、示談金の内訳が、それまでの治療費や休業補償と、その時点の後遺症に対する損害賠償に分かれるわけだ。

自賠責がカバーする治療費などの上限は120万円。
相談者はほぼ満額受け取ったことになる。

手首ねえ・・
色んな意味で相当ゴネた頑張ったんだな。

とは言ってもプロ相手の赤子。

賠償金額の算定には裁判所で用いる基準と、保険業界独自の基準の二通りがある。

当然ながら金額は
保険業界基準 < 裁判所基準

文字通り出るとこに出て争えば裁判所基準を勝ち取ることもできるが、相談者はそんなことはしていない。

結局、機構&保険会社のいいようにまとまったハズなの。
ますます、蒸し返す理由が分からない。

 

自賠責でカバーできた以上、運転手が任意保険に加入していたかどうかは分からない。

自賠責は民間の保険会社に業務を委託されていて(引受保険会社)、契約締結から、保険料の徴収、保険金の支払い至るまで引受保険会社が行う。

任意保険との違いの一つに、自賠責は保険契約者ではない被害者からでも請求可能というのがある。

被害者救済が目的ということもあって、今日のケースのように、示談が長引いた場合などは、示談前でも保険金が支払われるわけだ。

 

会計上は引受会社が立て替えるということになるが、別にお金が国との間で行ったり来たりするわけではない。

自賠責で預かった保険金は引受保険会社にプールされていて、そこから拠出されるだけ。
自賠責による儲けはなく、余剰金は損保協会に集約されて公共性のある事業費に当てられる。

手順は、

事故発生

保険契約者、または被害者が、引受保険会社に保険金の請求書類を提出

引受保険会社が書類を確認し、損害保険料率算出機構に調査依頼

機構が請求の適格性について調査

(審査会 重大案件とされとき)

支払額決定

支払い

 

これら手続きを終えた一年後に不当利得で訴訟を起こされたわけだ。

一体何が起きたのか?

もし、本当に貰うべきでない保険金を貰っていて、それが意図的であるなら犯罪だろう。
しかも機構の調査をも一旦はすり抜けた巧妙なものだ。

それって、この相談者にあり得る?

第一、それで返還訴訟を起すのであれば、その前にやることは刑事告訴。

強制捜査も取り調べもできない民事訴訟で示談金の返還なんて、勝てるわけがない。

保険会社はそれを承知で提訴するしかなかったとしても、物言いをつけた機構は一体何がしたかったんだ?

 


訴訟は権利。防衛は自己責任。負けて得する裁判に巻き込まれ30万円失う」への5件のフィードバック

  1. 相談者は、ややこしい案件に巻き込まれてしまって気の毒としかいいようがない。
     法律に詳しくないので、分からないが、加害者側が事故にしたくない、「事故じゃない」とあがいたせいで、裁判になってしまったのでは。加害者側が、素直に事故を認めていたら、裁判になんてならなくて済んだのではと思ってしまう。そうなると、私のような素人考えだと、相談者の弁護士費用を、加害者側に請求したい気になるが、大迫弁護士はそんなこといってないから、それは無理な話ということなんだろうな。
     相談者さん、気の毒です。

     回答者の回答も、とても分かりやすいもの。

  2. 上の方と全く同じことを思いました。
    加害者はジジイかババアかは分からないけど、嘘つきのそいつが全ての元凶だね。
    当然加害者に請求すればいいんだと思いますが、裁判になると勝ってもまた弁護士費用がかかるので、実質的な実入りは殆どなさそうです。
    でも、勝てば、最後に嘘つきジジイか嘘つきババアに弁護士費用というばばを引かせることができますね。
    負けたら何もないので、まあやらんでしょうけど(笑)

  3. 素人です。
    単に、加害者がうっかり自賠責からの「お訊ね」を返送し忘れていたから、という可能性はないでしょうか?

  4. 裁判って必ず弁護士たてなきゃならないわけじゃないよね。
    ひとりで法廷行って、事故だった、負傷した、警察にも来てもらい
    事故証明もしてもらったって言えばよかったんじゃないか?
    あとは判事が結論出してOK。弁護士がナンボのもの?

  5. もし自分が相談者さんと同じ目に遭ったら、高額療養費制度を使えるのかと思ってちょっと調べたら、どうも使えるらしい。病院が嫌がるらしいが。
    それが使えたら、金額も抑えられて、審査もすんなり通ったのかな、と、思ったりして、素人の考えですが、誰か詳しい方がいらっしゃったら、御教示頂けると有り難いです。

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