離婚やむなし?措置入院となった産後うつの嫁を実家と嫁ぎ先で押し付け合う

(再びパーソナリティ)

加藤諦三:
もしもし・・もしもしい?

相談者:
はいはい

加藤諦三:
まずこんだけの状況、んになっても、実家が拒否してるわけですから。

相談者:
そうなんです、そうなんです。だから、可哀想といえば可哀想なんですが、

加藤諦三:
ええ

相談者:
だからといって、わ、我が家でちょっと引き取るわけにはいかないのでえ、

加藤諦三:
ええ

相談者:
子どもの安全ということを第一に考えた場合に、

加藤諦三:
ええ

相談者:
それとまあ、ちょっとこう、わ、我々に対しても、もうちょっと怖いというか、

加藤諦三:
ええ

相談者:
ええ

加藤諦三:
だからその、本来・・重荷を背負ってべ、貰うべきところに、重荷を背負ってもらうと。

相談者:
ええ

加藤諦三:
それでそれを通そうとすると、かなり色んな修羅場が出て来ると思うんです。

相談者:
ええ

加藤諦三:
だからその修羅場は逃げないと。

相談者:
ええ

加藤諦三:
というような、言い方しか、ちょっとできないですねえ。

相談者:
うーん

加藤諦三:
・・んで、お嫁さん自身が「別れない」と言っている。

相談者:
はい

加藤諦三:
・・でしがみ付いてるわけですよ。

相談者:
そうです。まさしくそうです。

加藤諦三:
しがみ付いてんだけど、もの凄い憎しみは持ってんですよ。

相談者:
うんそうですね。・・一生言われると思います。

加藤諦三:
ええ。だからもう、ここで大切なのは恐らく人の重荷を、あなたは背負わないってことだと思います。

相談者:
あ・・まあじゃあ、そういうところで凛としていればいいということですか。

加藤諦三:
そういうことです。

相談者:
はい

加藤諦三:
だからここはもうホン・・トに、あなた腹を据えて・・わたしの重荷は背負う、

相談者:
はい

加藤諦三:
だけど人の重荷は背負わない。

相談者:
はい

加藤諦三:
その・・姿勢をしっかり貫いて下さい。

相談者:
分かりました。ありがとうございます。

加藤諦三:
はいどうも失礼します。

相談者:
はい、どうも、ありがとうございましたあ。失礼いたします、御免ください。

加藤諦三:
修羅場は最初に作れ。

(内容ここまで)

嫁イビリの自覚のないトメが、ウツ嫁を追い出しにかかるも加藤先生から心の闇を暴かれる。

予告編からこんなのを期待してんたんだけどねえ。

こりゃ無理ないわ。

 

病院は外出を許可してるぐらいだから退院させてもいいという判断なんでしょ。
家族と同居するならね。

措置入院も、医療保護入院も、その費用はすべて行政持ち。
同居できる家族が決まらないからという勝手な事情で入院させるわけにはいかない。

だから、条件が揃うまで退院はさせないけど、これ以降は自己(3割)負担になりますよと通告されたんだな。

妻を監護する義務は夫にある。
でも離婚すればその義務は嫁の親に移る。

これが、相談者が離婚を急ぐ理由だ。

 

産後ウツってのは、赤ん坊という自分の思い通りにならない存在を前にして、責任の重さや将来への不安、完璧主義とかも相まって、孤独感を増幅させ、自律神経に支障をきたすことだ。

育児ノイローゼとも言う。

ほとんどの場合、うつ症状は自責なんだけど、あまり呑気に構えてられないのは、矛先が子どもに向くからだ。

極端な例もある。
つい先日も、4人のわが子をあやめた主婦のニュースが流れた。
罪には問えないんだとさ。(*)

(*)
2016年、福岡。
3〜10歳の兄妹4人の遺体が自宅で発見される。
母親を逮捕。
3ヶ月の鑑定留置の後、心身喪失を理由に不起訴。

 

もちろん、今日の嫁も含めてこれら全部を産後ウツで片付けるのは大雑把過ぎる。

医者  「最初の病名の延長」

ナニソレ?
家族にぐらいハッキリ言えば。

強制入院の根拠法には心神喪失者等医療観察法と精神保健福祉法の2つがある。
厚労省のサイトに行くと、強制入院の判定基準を見ることが出来る。

そこには、うつ病なんていう病名は一切見当たらない。
目立つのはやっぱりあの病気だ。

統合失調症。

 

もっとも、表向きは精神疾患でも、詳しい検査で措置入院が判断されるわけではなく、実際に自傷や他害が行われたというのが大きい。

特に他害。
なんらかの警察事案があってから措置入院というコースだ。

入院に際してもそんなふうだから、退院に際しては推して知るべし。

相模原施設事件でも、措置入院を巡るコミュニケーション不足が事件の要因の一つに挙げられている。(*)

(*)相模原施設事件の犯人の措置入院を巡る動き:
2016年3月、担当精神科医は他害の可能性は無くなったとして、措置入院を解除。
外部の意見を聞くこともなく、復帰プログラムの有無もチェックされなかった。

退院に際しては家族との同居が前提条件だったが、家族に伝わっておらず、退院直後から犯人は一人暮らしを始める。
その4ヶ月後の7月に凶行に及んだ。

 

今ではほとんど選択されなくなったけど、戦後、精神疾患に外科治療が盛んに行われていた時期がある。

代表的なのがロボトミー手術と呼ばれるもので、頭蓋骨を開き、脳の一部(意思を司る前頭葉の一部)を切除する。
早い話、外科手術で人格を変えてしまうわけだ。

映画「カッコーの巣の上で」(*)や、と「ハンニバル」(*)とかで観た人も多いだろう。

(*)カッコーの巣の上で:
ジャック・ニコルソン主演。
医療刑務所の看護師に睨(にら)まれ、最後はロボトミーを施される。
カッコーの巣とは精神病棟の蔑称。

(*)ハンニバル:
「羊たちの沈黙」の続編。レクター教授三部作の2作目。
気を失ったFBI捜査官の頭蓋骨を開け、食卓に座らせ、脳みそを鉄板焼きで女性捜査官クラリスに振る舞う。
目を覚ましたFBI捜査官は自分が何をされてるのかも理解できず、ご相伴にあづかっている。
猟奇に目を逸らすか、ギャグとして笑うかは観る人による。
金曜ロードショーで放映されとときには、このシーンはカット。

現在、ロボトミー手術が行われなくなったのは、医者の自主規制による。

 

罪を犯しそうな人をどうすべきか?

現代社会はこれに対する答えを見いだせていない。
(大昔は魔女狩りみたいのがあった)

一般人の犯率に比べて再犯率がダントツなのは、ずっと前から分かっていることなのに、野放し状態だ。

統合失調症にはロボトミー。
性犯罪者には去勢。

大量殺人や、性犯罪を前にしても、わたしたちがこうした選択をしないのは、そうした社会がなにやら別の恐ろしいものだと直感するからかもしれん。

でも、そんな中でも、実はわたしたちはすでに一つの答えを出してしまっている。
それが措置入院。

つまり、罪を犯していない人間でも、犯罪性向の高い人間は隔離し、当局の管理下に置くことが公共の利益にかなうのだということ。
法制化にあたっては、人権屋も騒がなかった。

問題は、精神医療には未だそれを正しく判定できる能力がないということだ。

 


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